『クローバーフィールド』と『空飛ぶゆうれい船』
試写で『クローバーフィールド』を観た。
ちょーすごいです!間違いなく今年のベスト1だよ!こりゃ!
ホントに今までいろんな映画観て来た方、いろんな映画体験をして来た方…
間違いなく衝撃受けますよ!ホントに、ホントに、ホントに、ホントに、ホントにすごすぎです!
こんなにすごすぎる映画、これから観れるんでしょうか?これから現れるんでしょうか?
ピージャクの某リメイク版も韓国産の『WX3』もエメリッヒのアメリカ版リメイクも全部墓石送りだ!
とにかくすごいの一言しかない!人生のベスト作どころか、これは今までのどの映画体験よりもすごい!
『クローバーフィールド』を観て、きっとスピルバーグとバートンは悔しがってるに違いない。
『クローバーフィールド』のフォロワーは絶対に生まれない。それほど完成度が高く。衝撃的だ。
『クローバーフィールド』は『宇宙戦争』と『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と『28日後…』を足した映画で、
それ以上でもそれ以下でもないのだが、このアイデアとこの組み合わせを実現した事がすごすぎる!
冒頭、素人が撮影した普通のビデオ映像が流れる。若い男が恋人らしき女とイチャイチャしてる映像が出て来る。まったく説明がないが、どうもその若い男が東京で副社長になるらしい。ビデオにはその男のお別れパーティーが延々映されるが、そこでその恋人らしき女と男が言い争いをする。どうも、その男はなりゆきでその女とセックスをしたようだ。恋人ではなかったらしい。そして、なんやかんやしてるうちにいきなり、
ズトーン!という音がして、みんなでそのパーティーをやってるビルの屋上に登ると、遠くの方で爆発が起きてて、ギャーって感じで逃げて、道路に行くと、今度はものすごい音がして、
自由の女神の頭がぶっ飛んで来る!!!!
という衝撃的な映像から、後はノンストップ!ひたすら観客をスクリーンに引き込んでいく。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は恐怖を体験させるという点では抜群のアイデアだが、じゃあ、それが映画かどうかと言われると疑問が残る。ところが『クローバーフィールド』は、『プレア・ウィッチ・プロジェクト』の方法論で“映画”を作り上げたのだ。『クローバーフィールド』には映画にしか出来ない表現、というか、大元は誰もが観ている物ばかりなのだが、それを徹底的に「一般人がたまたまビデオで撮影した」という演出で85分を突っ走っていく。
走ってブレるカメラは手持ちカメラの迫力ではなく、あくまで素人がビデオを持って走ってるという部分に集中。あれにあれだけのCGを合成したのは脅威という言葉しかない。ズームアップもビデオの機能という感じで出るし、カメラを地面に置いてるとか、カメラを持ったまんまこけたとか全部完璧に演出していく。長谷川和彦が『青春の殺人者』で大学生が8ミリで撮った映画を演出するとき、プロのカメラマンにカメラを持たせたら、あまりに上手過ぎて、素人が撮影したように見えず「もっとヘタにしてくれ」と演出したと言ってたが、『クローバーフィールド』はそんなもんじゃない。ホントに素人が撮影した感を見事にプロが演出しているのだ。ただ素人が撮った感を演出しただけじゃなく。『クローバーフィールド』は映画なのだ。映画の中でしか起きない事。映画の中でしかあり得ない事を徹底的にあった事として描く。
それだけじゃない『クローバーフィールド』が真に素晴しいのは、
この世の地獄。究極の阿鼻叫喚しかない映画であるという事。
『アポカリプト』やスピルバーグの『宇宙戦争』など、現実は地獄よりも地獄だという映画は多々あるが、おそらく『クローバーフィールド』はその頂点だろう。85分に阿鼻叫喚だけを詰め込んだのは脅威。
ビルがぶっ潰されて、街は一瞬にして廃墟となり、略奪も行なわれ、
たかだか、数分でアメリカがこの世の地獄と化す!!!!!!!!
これ以上は公開前なので詳しく書けないが、ホントに映画は地獄だけ、地獄、地獄、地獄の連打!そこに神など決して存在しない!とばかりに現実の非常さを映し出していく。もちろん下敷きになってるのは9.11のテロだが、それ以上の事を9.11テロ風に描いていく。
音楽など流れないのだが、映画が唐突に終わると、エンディング曲が流れる。そのエンディングですべてが分かる。『クローバーフィールド』の主題。何がやりたかったのか?がだ!
『クローバーフィールド』は映画の歴史に深く刻まれるであろう衝撃作。
私から言える事は絶対に映画館で観ろ!という事だけだ。
あ、予告編で『インディ・ジョーンズ』の新作が出たけど、これもちょーおもしろそうだったよ!
んで、10時に起きて、ホットケーキを喰らう。その後、ネットで『クローバーフィールド』の事を調べる。んで、そうすると、架空の会社のサイトにたどり着いた。これもどうやら仕掛けらしい。
その架空の会社が日本のタグルアト社という会社で、youtubeなんかではそのタグルアト社の事故映像なんかも出て来る。
これも仕掛け。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と一緒だ。
タグルアト社などを調べていくと『クローバーフィールド』の背景が見えて来る。『クローバーフィールド』には一切説明がない。なんつったって、何かが起こってるところに一般人が投げ込まれ、それをひたすら記録し続けた映画だからだ。
だから、どういう背景があったのか?というのを全部ではないが、ちょこちょこ公式サイトで出している。んで、タグルアト社は石油採掘の会社で、その子会社がsiusho!というジュースを出してる事が分かる。
まぁ、それを全部観ると、タグルアト社というのは石油採掘をして、あるもんを見つけて、それをジュースに入れて出してたのだろう。それが原因でアメリカがとんでもない事になる。
以下、軽いネタバレ。
まず『クローバーフィールド』の元ネタの1つは間違いなく『ゴジラ』だ。海から来て、タンカーを破壊して、それは東京から来た物らしいというのは全部『ゴジラ』に当てはまる。さらに主人公が東京に行こうとしてるという事とラストに流れる音楽も全部『ゴジラ』に集約される。これはいろんなところで言われてるだろうから、今更ネタバレって感じでもないだろうけど。
ネタバレ終了
さて、いよいよ本題に入ろう。日本の会社?ジュース?架空のサイト?そう、これでピーンとくる。これは『空飛ぶゆうれい船』に似ているのだ。
とてつもない内容だからアメリカで観れるのかどうかは不明だし、J・J・エイブラムスも観てるかどうか根拠はゼロだが、『空飛ぶゆうれい船』にはボアジュースという架空のジュース(恐らくコーラ)のCMが出て来て、それが作品の重要なキーポイントとなっている。さらにそれが日本の企業と関わってるという事が、ものすごく『クローバーフィールド』に似ているのだ。作品の中には出て来ないが、作品の外で展開されてる事と繋がっている。
んで、観てる時はその映像に圧倒されて、気付かなかったんだけど、『空飛ぶゆうれい船』でも、主人公の少年が親と車に乗っていると、急にゴーレムというマシンが街を襲って、その街中に急に戦車が現れて、車を潰して、街を破壊するゴーレムを攻撃するというシーンがあり、これがものすごく『クローバーフィールド』を感じさせる。
『空飛ぶゆうれい船』は60分しかないアニメだが、ものすごく良く出来たストーリーで、イーストウッドの『ガントレット』などを彷彿とされるシーンもあり、政治的な絡みなどあるが、子供にも理解しやすいように、大胆にもそれを言葉でベラベラと説明して(笑)後半は無茶苦茶なスケールになっていくアニメだ。泣かせて、恐くて、興奮する。娯楽大作である。
レンタルビデオ屋にもなくて、じゃあ、なんで観てるのかというと、私の好きな映画評論家の町山智浩さんが映画秘宝のオールタイムベストで挙げてて、んで観たいなぁと思ったら、たまたまBSでやるって事で、それを録画してて、それ観て書こうと思ってたんだけど、まさか、『クローバーフィールド』とかぶるとは思わないでしょう(笑)
『空飛ぶゆうれい船』を見返す。やっぱりだ。類似してるようなシーンもあるし、何よりも後半にボワが出す、例の○○だよ!似てる!しかし、アメリカでこれ観れるのだろうか…
いろいろ検索したら、やっぱり『空飛ぶゆうれい船』との類似点を指摘する声がちらほら。一体どうなんだろう、、、たまたまなんかなぁ。