私は『20世紀少年』肯定派です

21時半より『20世紀少年』を彼女と2人で鑑賞。私の彼女は映画を1人で観たがる人で「1人で行こうと思ったのに〜」と嫌がったが、無理矢理連れてった。

私は原作の大ファンだからね、世代は全然違うけど、あの当時の文化やロックにはかなり興味あるし、何よりも浦沢直樹が好きであろうものが、私の好きなものだったりもして、わざわざTレックスだって『20th Century Boy』を選んでるあたりも好感が持てるとかさ、音が無くたって『ジャンピング・ジャック・フラッシュ』は頭の中で鳴り響いてるとか、すげぇ泣いちゃうからさ。それだけで。

片山恭一だって『世界の中心で、愛をさけぶ』よりも70年代のアイテムが出て来るという意味では、『きみの知らないところで世界は動く』の方が好きだしね。オレはね。

だからなかなか客観的に1つの作品として観れない節もあるけど、、、

私は実写版『20世紀少年』は全面的に肯定するよ。

もちろん欠点だって多々ある。まず70年代の絵がぜんぜん70年代に見えない。無理矢理平凡パンチとかレコードを置いてるだけでその辺のこだわりが一切感じられない。軽いフットワークでサクサク撮られた絵が駄々並びという感じで、ホントにTVドラマの延長線上というか、こだわりないところはホントに通り過ぎてるけど、

それでも『20世紀少年』はなんだかんだ言って、映画としてすげぇおもしろかった。60億かけた感じがしないのはキャストとCGと宣伝費と音楽の使用料で持ってかれたせいかな?なんて思ったけど、

その音楽とCGとキャストがさ、良い仕事してんだよねぇ!ディランの『ライク・ア・ローリング・ストーン』だって流れるんだよ?エンディングに『ボブレノン』もかかるんだよ?血の大みそかを完璧に映像化してるんだよ?羽田爆破も議事堂爆破もホントにすげぇよ!

まったくケンヂに見えない唐沢寿明だって、見終わった頃には彼しか居ない!と思わせるし、オッチョ、ヨシツネ、フクベエ、マルオ全部マンガから抜け出して来た感じだもん。

役者だけじゃない。映画版『20世紀少年』は原作にかなり忠実で、血の大みそかのくだりはマンガのカット割りに大分近づけて撮影されている。

1回バラして組み直したような展開と細かな部分で修正がされていて、何故かギターがマルオの家にあったり、ケロヨンがすでに結婚してたり、原作ではサクッと描かれたシーンがやけに長かったりと、ホントに細かい部分での違いこそあれ、原作のファンも大方納得の作りなのではないだろうか。

だから『20世紀少年』ってさ、やっぱり浦沢直樹が偉いんだよ。すごすぎる。自分が子供だった時の事を思い出してみるってよくあるでしょ。記憶違いとか、あーこんな事もあったなぁとか、そういう部分とノスタルジックな部分と娯楽的な要素とミステリーがバッチリ噛み合わさって、世界的にも類を見ない独自の作品になってる。自分が昔に考えたジョーダン。世界征服。それを大人になってホントに実現しようとしてるという設定がとにかくおもしろい。

監督が堤幸彦になった事でともだちのマークを強調したワンカットと効果音を拡張させた音楽という、『トリック』でもおなじみの手法もあり、タイトルバックが凝ってたり(ちょっと凝り過ぎてる気はする)ジャンプカットがあったり、左右対称のシーンがあったり、ちょいホラー要素が加わったのがおもしろいところかなと。

ただね、第一章がここまでやっちゃうと、第二章が恐いんだよね。どこまでどう映像化するのかが、ホントに見えないでしょう。第一章に関して言えば、全然良くやったと思う。映画として展開もあったし、役者も頑張ってたし、2時間半近くあるけど飽きなかったし、『20世紀少年』に居る要素は全部入ってるから。

というか、どうでもいい要素をぶちこみ『DMC』スピリッツから外れた駄作を観るくらいならば、断然に『20世紀少年』の方がオススメですよ。っていうか忘れてる部分もあっておもしろかったし、私はね。あういぇ。