ブロークン・フラワーズ

ブロークンフラワーズ [DVD]

ブロークンフラワーズ [DVD]

ブロークン・フラワーズ』のDVDがツタヤで980円で売っていたので、買ってすぐに鑑賞。今のところジャームッシュ監督の最新作である。私はジャームッシュが好きで好きで、もしかしたらキューブリックとかよりも好きで、ペキンパーとかよりも好きと言える存在かもしれない。コーエン兄弟とかもそうなのだけれど、これは人生のベストだ!と胸を張って言える映画はないんだけど、全部の作品が好きだし、全部の作品に外れがないのがジャームッシュの映画。

ブロークン・フラワーズ』は観よう、観ようと思いながらも、レンタルをしなくて、というか、ジャームッシュの映画は『イヤー・オブ・ザ・ホース』と、『パーマネント・バケーション』以外は全部DVD買ってるわけで、んで、さらにそれぞれ絶対に10回以上、特に『ナイト・オン・ザ・プラネット』は間違いなく、50回以上は観ているので(毎日1エピソードずつ観てた)ジャームッシュは買ってから観たかったというのもある。ジャームッシュの映画はとにかく繰り返し観ても飽きない。飽きないように作ってある。オムニバスっぽい映画が多いので、短編集を読む感じで気軽に観れるのも特徴だ。

『デッドマン』と『ゴースト・ドッグ』で独自の死生観を出してきたジャームッシュだったが、『コーヒー&シガレッツ』で独自のテイストに戻した。というかずっと撮りためてた企画だったんだけど。『ブロークン・フラワーズ』はまさにジャームッシュ節が炸裂した傑作だと思う。

とぎれとれの会話、独自の間、クールな音楽の使い方、ちょっとだけ人生を考えさせられるテーマ、
少しおかしくて、少し切ない人間そのものと、どこを切ってもジャームッシュ印。

老いたプレイボーイの主人公の元に昔の恋人から手紙が届く。それは別れた後で、妊娠してしまって、そのまま子供を産んだという報せだ。おせっかいな隣人に引っ張られ、昔の恋人に会いに行く事を決める主人公だが…

『ハイフィデリティ』とか『アバウト・シュミット』を足して2で割ったようなストーリーと絵作りが、ジャームッシュの新境地と思いきや、もうこってこてのジャームッシュなんですなぁ。

「子供がいるなら会いに行け」と隣人に言われ、子供を捜す旅に出かけるのだが、これ、子供に会いに行く名目で、昔の女に会いに行ってますよね。もちろん息子を捜すというのも後々大事な要素になってくるんだけど、昔、付き合ってた人がどうなってるだろう?って単純に誰でも興味があるわけで、それを息子探しの旅に組み合わせて、さらにジャームッシュテイストのオムニバス風の物語に見せる。

コンピューター会社でボロ儲けして、金はある。でもなんか虚しいと。モテモテで金もある。でもすごくそれがイヤミに感じないのはさすがジャームッシュというか。人生って満たされたとしても、何かが足りないって常々思ったりすると。4人の過去の女に会いに行くんだけど、その人達1人1人がチャプターになってるというか、『ストレンジャー〜』から『ナイト・オン〜』までのジャームッシュ作品の良い所取り。同じ事をやってるんだけど、洗練されてて、ある意味で円熟味がある。

1枚の絵を繋げていくという映画において当たり前の演出を完璧にこなし、全てのカット、全てのシーンに意味があるようになってる。セリフの無いシーンでさえも心情が被さり泣けるようになってて、これぞ映画の演出、これぞ本当の映画だと思わせる。

ブロークン・フラワーズ』は個人的にジャームッシュの中でも3本の指に入る傑作。どのカットもどのシーンも完璧だけど、1番好きなのは……


主人公がフレッドペリーのジャージを着てるところ!

あー!モッズコート買ったのに!それで諦めたつもりだったのに!アディダスじゃなくて、フレッドペリーなんだよ!そのジャージも後で伏線になってるんだけど、、、、、、

フレッドペリーのジャージが欲しい!うあー!!!!!!!『さらば青春の光』でもフレッドペリーが出てきたけど、なんでこのタイミングでフレペばっかり出てくんだよ!

という事で、フレッドペリーのジャージを使うとはなかなかやるねぇと思ったのでした。あういぇ。