素っ裸で戦うから、ちんぽもケツの穴も見えちゃう!


17時からちょっと寝て、19時から映画館にて『イースタン・プロミス』鑑賞。クローネンバーグの新作という事で非常に楽しみにしていたのだが、いやぁ、なんつーの。ヴァーホーヴェンが『ブラックブック』撮ったみたいな、非常に円熟味溢れる、重厚なマフィア映画でした。

ヒストリー・オブ・バイオレンス』にあったメタファーはまったくなく、むしろ、もっと分かりやすい方向に行ってて、言葉で説明してしまうくだりもあったり、表向きはロシア料理のレストランなんだけど、実はロシアンマフィアの元締めが経営してるっていうのが、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』にも通ずるものがあるんだよね。

クローネンバーグテイストはもちろんある。激しいセックスシーンはあいかわらずなんだけど、なんと言っても、やっぱり暴力描写。痛みを感じさせるバイオレンスはさすが。

凍った死体の指をちょん切ったり

鎌のような刃物で首をざくって切ったり、

目玉に突き刺して血がダラーって出たり、

とにかく痛々しいバイオレンス描写のオンパレード。ロシアマフィアの話だから、銃で人を撃ち殺すっていうのが無くて、ナイフによる暗殺が多くて、やっぱり銃でバンバンやるよりもゾクゾクする。

1番の見せ場というかクライマックスはヴィゴ・モーテンセンがサウナで襲われるシーンなんだけど、全裸で襲われるもんだから、キンタマもちんぽも見え放題で、もしかしてR-18になったのはこれのせいなのか?とも思わせる。

だが、このシーンの描写はさすがクローネンバーグ!

ナイフを持って襲って来るチェチェンのマフィア相手にヴィゴ・モーテンセンが戦うんだけど、ここはホントにぞくぞくするというか、ヴァンダムの映画でもこんなシーンあったよね?『マキシマム・リスク』だっけか?『ダブル・インパクト』じゃなかった気はするが。

ロングコートにバシっとスーツで決めて、全身刺青で革手袋。ロシアなまりの英語を喋るヴィゴモーテンセンはまさにハマり役という感じで、最高の演技を見せ、ヴァンサン・カッセルもいかにもバカ息子のチンピラという役回りで援護射撃。ナオミ・ワッツは正直、その魅力を発揮してるわけではなかったんだけど、『ナイト・オン・ザ・プラネット』のヨーヨー役でおなじみのアーミン・ミューラー=スタールが見事。ホントにギャングの親玉に見えるから驚き。

ストーリー的にはひと捻りしてあって、ヴィゴの役に過去が見えなかったり、妙に良い人なのも、後半で納得させるという仕上がり、今までのクローネンバーグだったらあり得ないだろうが、キッチリとした娯楽映画+クローネンバーグの作家性という絶妙なバランスで作品としては見応えアリ。

もちろん一般的なポップコーンムービーではないが、変態性にメタファーとシュールを混ぜ合わせたクローネンバーグが新しい段階にいったという意味ではおもしろい。個人的には非常にオススメのマフィア映画となっております。

ただ、これ、ストーリーがあまり言えなくて、私は全然知らない状態で観たんだけど、これから観たい人はもっと何もストーリーの事は入れずに観て欲しいです。あういぇ。