藤原竜也の演技だけなら最高傑作と言える『カイジ』


今日はのんきに昼飯を喰らってたら、古泉智浩さんから「『カイジ』か『ヴィヨンの妻』観ません?」とお誘いいただいたので、映画館へ。古泉さんは「死亡遊戯」と称して、朝からEさんと危険な匂いのする映画をハシゴするという荒行を行っていた。

とりあえず『ヴィヨンの妻』では観た後にあーだこーだ言えないかなと思い、『カイジ』にしたのだけれど、これがなかなか良い意味で期待を裏切ってくれた。

カイジ』は冒頭が良い。いきなり暗黒の帝王かと思うような濃過ぎるキャラクターが非現実的な言葉をまくしたて、出てくる役者も極端なオーバーアクト。この時点で「あ、そうか、これはリアリティとはかけ離れた映画なんだな、そうか、なるほど」と観る側を一気に納得させることに成功している。だからシナリオが破綻してようが、展開がどうなろうが、まったく違和感がなく、設定からキャラクター、セリフの一つ一つが非現実的なリアリティの欠片もない世界なので、世間的にいうところの「マンガっぽさ」みたいなものが、隅から隅まで十二分に詰まっていて小気味よかった。

だからこの世界の中で藤原竜也を主役に据えたのは大正解。ぼくは藤原竜也が好きで、何が好きかって言うと、『ロミオ&ジュリエット』のときのディカプリオのような、全身全霊を使った舞台仕込みのオーバーアクト。この無敵の演技が誇張された世界のなかで炸裂していて、彼の演技だけだったらある意味で最高傑作だと言える。

映画は理不尽なところや意味不明なところが多々あって、言い出せばキリがないが、日常で絶対に言わないようなパンチの効いたセリフの応酬はとにかく素晴らしくて、あまりのインパクトのデカさにぼくと古泉さんとEさんは声に出してマジで爆笑してしまった。特に死ぬほどうまそうにビールを飲んだ後に言う「悪魔的なうまさ」はぼくも普段からマネしたいほど。「クズどもが!」とか「ファックユー!」とかいちいちセリフがかっこいい。

心理戦になった時の心の声の再現はハンパじゃなく、絵的には香川照之のアップしか映っていないのに、心で思ってることをものすごい早口で大量に詰め込んでいて、ずいぶんと思い切った演出したもんだなと思った。

ギャグの配分やハラハラさせるところもしっかりあって、物語の構造はかなり破綻していたが、それを補って余りあるパワーがあったように思う。言えば『特命係長只野仁』のような分かってるねぇあんた!的な作品。正直、この手の映画ではかなり満足した方であった。

てなわけで、心の底からおすすめは出来ないものの、暇つぶし的に見るのであれば、非常に楽しめると思う。

それにしても、マジで声に出して爆笑したシーン(これはホントにバカにしてるんじゃなくて、狙ってるところで笑ってるんですよ!)がいくつもあったのだけれど、他の人は笑ってなかった。もしかしたらあの時見ていた人とかにブログで、「妙なところでゲラゲラ笑ってる人達がいた、正直、うざい」とか書かれてるのかも、あういぇ。

【追記】
古泉智浩さんのシネコン死亡遊戯の様子はこちら↓

シネコン死亡遊戯古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』
http://vivaall.cocolog-nifty.com/douteijanee/2009/10/post-e994.html

藤原竜也の演技が最高なこの辺りはまじでおすすめ↓

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