ビールかけをすると地獄に引きずりこまれるぞ!


時間軸を戻して、月曜日:絶対に『スペル』を観てやると意気込んで、以前『キラー・ヴァージンロード』を観て「笑えましたよねー」と言ったバイトの娘を連れて鑑賞。月曜はふたりで2000円だからというのもあるが、一人で観るのも怖かったので、むりやり地獄にひきずりこんでやった。まさに『Drag Me to Hell』である。

んで、観たわけなんだが……『スペル』さいこー!!!

ダークマン』以降のサム・ライミ作品ならば最高傑作と言いたい。よく考えると、サム・ライミがド直球のホラー映画を撮ったのは『死霊のはらわた』だけで、『死霊のはらわたII』からはコメディの要素が含まれている。『ギフト』が公開された時もぼくらのサム・ライミが帰って来た!という触れ込みだったが、ホラー色が強かっただけで、そこまで「ホラーを観た!」という感覚は薄かった。

『スペル』はサム・ライミの原点回帰だ。確かにバカ要素も含まれているが、見終わった後の満足感は『死霊のはらわた』よりも高く。おすぎが『エクソシスト』以来の傑作!と言うのもちょっとだけ頷ける気がした。「ああ、これだよ!ホラー映画を観るってこういう感覚だよ」という感動に包まれた作品で、99分あっという間のジェットコースターであった。

元来ホラー映画好きではないサム・ライミだが、ホラー映画への探究心は強く。『THE JUON/呪怨』の制作に携わったりしていて、彼なりに『死霊のはらわた』以来のホラー映画の構想が出来始めたのだろう。『スペル』でのライミの怖がらせ方、見せ方はホラー映画好きにとって極上品だ。

『スペル』の怖がらせ方は日本のホラー映画と似ている。特に制作にかかわった『呪怨』に近いものがあると思う。血がブシュブシュ出るわけでもなく、呪いや怨念で主人公に恐怖が襲いかかるのもそうだが、いったん出始めると、とことん出て来るというところもかなり影響されてると思う。実際『死霊のはらわた』に出て来るようなケレン味溢れるカメラワークはほとんど出て来ず、見せ方はわりかし正攻法だった。ところが、そこはサム・ライミ。出るぞ!出るぞ!と思わせといて、いったん出始めると、それが『呪怨』以上で、笑えるくらい容赦なく、さらにバカ要素を加えている。しかも血が出て痛いとか、幽霊そのものが出るわけじゃなくて、鼻血が止めどなく出るとか、緑色の液体が口からドバーっと出るとか、目玉が飛び出すとか、文字通りいろんなものが飛び出してくるのである。この緩急の付け方が日本のホラーとは違っていて、ジメーっとした怖さではなく、幾分ライトに仕上がっているのも魅力だ。

あと、ホラー映画は是非映画館で観よう、見始めたら逃げ場が無く、音響効果も良くてこわいぞー。つーか、もっとホラー映画やれ!

んで、昨日は『リーピング』という映画をBDで鑑賞。

リーピング 特別版 [DVD]

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ダークキャッスル制作だが、ジャケットが気持ち悪かったのでスルーしていた。キリスト福音派の田舎で、伝染病が流行り、それを調査しに来た科学者のお話。

主人公は夫と娘を生け贄にされて以来信仰心を失った元牧師という設定。家族を失ったり、科学者だからということで、神を信仰しない人というのはアメリカ映画によく出て来るが、その信仰に関してのオチが『リーピング』ではすさまじかった。そのために主人公もああいう設定にしたのかと思った。わらにもすがる思いという言葉があるが、人は信仰を失うことは決してないのだなぁ。

映像に関して言えば、モーゼが予言した十の災いをファンタジックにではなく、生々しく描いたことは評価に値すると思う。というか、個人的には嫌いな映画ではない。映画の中のテキサスしかり、こういうところに行くと、生きて帰れなくなるという風に思わせるなぁ。

ちなみにリーピングというのは収穫という意味らしいが、釜とか死神とか、刈り取るとかそういう意味もあるらしい。つまり、死神が釜を持って首を刈りに来るというイメージだろうか。

そういやぁ、悪魔や死神のことを書いて思い出したのだが、デーモン小暮閣下が「ビールかけは卑しい行事。飢えている人が何億人といるのに失礼」って書いたらしい。ビールかけをすると悪魔に呪われるぞ!気をつけろ!あういぇ。

20周年アニバーサリー 死霊のはらわた [DVD]

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