号泣必至!『かいじゅうたちのいるところ』


今年一発目の映画として『かいじゅうたちのいるところ』を鑑賞したのだが、予想以上の出来でホントに驚いてしまった。あまりに早過ぎる1時間40分で、「このまま終わるな!」って何度も思った。センダックの『かいじゅうたちのいるところ』の映像化としてはほぼ完璧で、最初から最後まで絵本のまま。それだけでなく映画でしか出来ない動きのあるものにしてたことにも驚く。

だって、かいじゅうがちゃんとそこにいて、動いてるだけじゃなく、マックスと一緒に踊ったり、マックスを投げ飛ばしたり、砦を作ってくれたり、木をへし折ったり、ドロ団子を投げたりしてくれるのだぞ!!ぎゃー!!

予告編の時点で分かってたことだが、ちゃんとマックスに着ぐるみを着せて、そこにかいじゅうが寄り添ってる絵を作り上げただけで大正解だった。しかも原作に描かれない映画独自の展開が、これほどまでに原作の持ち味を活かしたものになるとは思わなかったし、かいじゅうたちに名前があって、そこに性格を付けたのも見事。全てのキャラクターがマックスの複雑な感情と環境、希望を代弁し、見てる我々を優しく包み込む。原作で最重要だった月が、映画では太陽になっていた点も見逃せない。躍動感溢れる手持ちカメラが揺れなくなり、太陽が出て来なくなった時、マックスはちゃんと思い悩むのである。

特に、満たされてるようで満たされてない現実の不満に対して答えを見つけ出せないままいら立ち続けるマックスと、彼と同じような感情を持つキャロルが呼応する瞬間は号泣必至。つーか泣いた。派手さは無いがこの映画の最高のクライマックスだろう。

誰もが同じようなことを書くと思うが、マックスを演じたマックス君(名前一緒!)がホントにホントに素晴らしい。CGを使わずにかいじゅうを着ぐるみで演じさせたこともすごいのだが、それよりもマックス君の全身全霊の演技に心奪われたことだけはハッキリと言っておきたい。

シンプル故にいくらでも解釈可能な原作をここまで完璧に映像化した『かいじゅうたちのいるところ』はその絵本のように何度も何度も観たくなる素晴らしい作品に仕上がっていた!必見!

あと、ぼくは吹替版で見たのだけれど、こども店長の声はよかったのだろうか……ぼくはミスキャストと感じたよ……ぶっちゃけ大人の声優さんでよかった気が……うーん、「どーせ話題作りにこの声にしたんだろ!」とか思ってしまって、うがった感じで見ちゃったかなぁ…あういぇ。

かいじゅうたちのいるところ

かいじゅうたちのいるところ