ミッシェルを終わらせてはならない

もうDVDなどはリリースされているのだが、二週間限定で新潟でも公開中の『ミッシェル・ガン・エレファント “THEE MOVIE” -LAST HEAVEN 031011-』を観て来た。

ラストライブのドキュメンタリーと銘打たれていたが、ラストライブの再編集版という内容で、合間合間に過去のミッシェルの映像が挿入されるという形になっていた。曲順も多少変えられてるようで、ぶっちゃけこれだったら、ドキュメンタリーとか、未公開映像とかあんまし言わない方がいいんじゃないかなぁと思った。

ぶっちゃけ、ぼくはラストライブの映像を見てなかったので、とても興奮した。「これだったらラストライブのDVDを観るよ」という意見もかなり出てるようだが、ぼくは編集がとてもいいと思った。ドキュメンタリーの体裁をなしてないが、過去の映像を組み合わせたことが効果を生んでいて、例えば、オーディエンスが暴れすぎて小屋が振動に耐えられずライブが中断して、チバが「ぜってーこの借りは返してやるからな」と言った後に『エレクトリック・サーカス』を流すとか、ファンにとってはグッと来る編集で魅せてくれる。曲順を変えたこともよかった。早々に『カルチャー』や『ブラック・タンバリン』などが出て来ることで、ミッシェルの歴史総決算という印象になるし、エンドロールに合わせて問題作『GIRL FRIEND』がかかるなど、映像作品としてミッシェルの歴史を総括するというコンセプトに基づいていると思う。

それにしても、改めてミッシェルのライブバンドとしてのすごさを思い知らされた。レコーディングしたものよりもライブの方がいいというバンドはミッシェルかブランキーナンバーガールくらいしか思いつかないのだが、ミッシェルは言っても王道のロックンロールを高速で奏でるバンドなのである。この昨今、ロックンロールであれだけのオーディエンスを狂乱の渦に巻き込む事が出来るバンドはミッシェルだけだった。ミッシェルが伝説とか言われるのは多分、そこなんだと思う。70年代には当たり前だった光景が、この日本でミッシェルによって蘇った。彼らが日本の音楽界に残した功績はかなり大きい。今回、その伝説的なラストライブをでっかいスクリーンで、さらに爆音で見れたことはホントに幸せだった。あと、分かってたことだけど、キラーチューンの多さにも驚かされた。もちろん盛り上がるように曲順も変えられてるのだが、どの曲を持って来ても、クライマックスになるほど、演奏も楽曲も飛び抜けている。『デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ』が外されたのは愚の骨頂で腹立たしいが、それを差し引いても、ベスト盤をそのままライブ映像に編集しなおしたのは個人的に嫌いではなかった。

DVDでの上映ということで、映像は荒めだったし、音響も決して良くはなかったが、やはりスクリーンで、爆音で観る事に意義がある作品だったことは間違いない。観終わった後の興奮はハンパじゃなく、一緒に観たバイトの子も「男に生まれたら、ああなりたい」と言い切ったほど。アベフトシのマシンガンカッティングはもう観る事も聞く事も出来ないが、ミッシェルを終わらせてはならないと固く誓った夜だった。あういぇ。

BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN [DVD]

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