3Dで観た方がいいよ!という刻印『アリス・イン・ワンダーランド』

アリス・イン・ワンダーランド』を2Dで鑑賞。しかし、2Dで鑑賞と書かなければならないくらい、もう3Dが定着してるということなんでしょうなぁ。

今回は『アリス・イン・ワンダーランド』とはあまり関係ありません。というか、感想でもないです。思い出です。旅行日誌みたいなもんだと思ってください。

ティム・バートンはその名前だけで客が呼べる監督だと言っていいだろう。あまり映画を観ない人でも、どういう映画を撮るのかというのはある程度知ってると思う。

ということで、ティム・バートンと『不思議の国のアリス』のコラボは各々が想像してる通りの世界だった……と書くとまたいろいろと語弊があるかもしれないが、少なくてもぼくにとっては、このコラボレーションは必然であって、キャンキャンの表紙にエビちゃん――――いや、西山茉希くらい相性が良かった。完璧なエスタブリッシングショットは否が応でもワンダーランドに観客を誘い、それに加えて、奇形、消える猫、池に浮かぶ生首、取れる目玉、喋る芋虫と、なんともバートンらしさに満ちあふれたガジェットがその世界を彩る。『Dr.パルナサスの鏡』をストーンズだとするならば『アリス・イン・ワンダーランド』はビートルズと言った具合。

ただ『アリス・イン・ワンダーランド』は至るところに3Dでなければならない刻印が押し付けられていて、それがとても気になった。

ぼくも全部観てるわけではないのだけれど、3D映画を観ると「これは2Dでも問題ないだろう」という映画と「これは3Dでなければ意味がないなぁ」という二つにハッキリと感想が分かれることがある。『くもりときどきミートボール』や『ボルト』、『コラライン』は2Dでもまぁ違和感ないと思うが、ゼメキスの『クリスマス・キャロル』や『ブラッディ・バレンタイン』は3Dを前提に作られた作品だと言える。『アリス・イン・ワンダーランド』も後者だった。

両者の違いは何なのか?と考えたら、トラックバック/アップの多用だろうという結論に行き着いた。いわゆるカメラがズームせずに筆写体に向かって、前進や後退しながら撮影する方法である。

アリス・イン・ワンダーランド』は穴に落ちて来たアリスを始め、城に入って行くカットや、デッカい竜と対決する時の動きなど、やたらと3Dを意識していて、これがバートンの作家性みたいなものと合わなかった。絵作りは完璧なのに、カメラがあたふたとせわしなく動いてるような印象が付きまとっていたのだ。

まぁ、結論から言うと、3Dで観れば問題ない映画だったわけなんだけれども、もしこれが成立してしまうと、3D映画は映画とは別のジャンルになってしまうかもしれない。

ぼくは3D映画は好きなのだけれど、それでも2Dの延長線上というか、3Dで観ても、2Dで観ても、どっちでも楽しめるよ!という物であって欲しいという気持ちがある。

この先、3Dでなければ、まったく楽しめない映画というのが続々出て来てしまったらどうなるのだろう。『アリス・イン・ワンダーランド』はティム・バートンだっただけに、そういう危惧が頭の中を支配して、映画に集中出来なかった。

というわけで、ちっともタメにならない感想なのだが、もし今から『アリス』観るよ!と思ってる方は、迷うことなく3Dで行くことをおすすめする。いや、映画はおもしろかったんですよ。すいません。ホントにすいません。あういぇ。