くりごはんが嫌いな男の2013年ベストムービー(ゼロ・グラビティ以外)

というわけで今年もやってまいりました。なんかネットで映画ベストテンを発表するのはどうなの?という意見も飛び交ってますが、いいじゃん。楽しいんだから。

ゼロ・グラビティ』も『キック・アス2』も観てませんが、『グラントリノ』も『レスラー』もその年のベストに入れなかったひとなので、多分ランク外になることでしょう。というわけでとっとと発表してしまいます。


元祖『ゼロ・グラビティ』こと『2001年宇宙の旅』で船外に放り出されるシーン

1.バレット
2.オンリー・ゴッド
3.ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン
4.ホーリー・モーターズ
5.ジャンゴ 繋がれざる者
6.パシフィック・リム
7.スプリング・ブレイカーズ
8.マニアック
9.キラー・スナイパー
10.チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット


1.は映画の出来としては60点くらいだと思うんだけど、ウォルター・ヒルらしさ溢れる演出と年齢を重ねふたたびアクションスターとして舞い戻ってきたスライのかっこよさに濡れた。『エクスペンダブルズ』も『ラスト・スタンド』もよかったが、そのなかでも頭ひとつ抜けていて、やっとこういうのがでてきたか!と感動。ぼくが映画に何を求めていたかを再確認。


2.は去年でいうところの『ブラッディ・スクール』枠であり、レフン作品が大好きでさらに『ドライヴ』をランクインさせたのにこれをランクインさせないわけにいかない。とにかく変な映画。変な映画としかいいようがない。これダメだって言われてもまったく何も感じないくらい好き/嫌いに分かれるのは承知の作品である。


3.はハードロックにはまるで興味がなく、あげくジャーニーにそこまで思い入れがなかったのにも関わらず大号泣した。今年日本で公開された音楽系ドキュメンタリーは傑作もいくつかあったが、そのなかでは一番おもしろかったのでこれをその枠としてランクインさせた。実話版『スラムドッグ$ミリオネア


4.は今のこの時代にゴダール全盛期クラスの傑作が観れるのか!と死ぬほど感動した。さすがに「アイシテルのサイン」的ラストはやりすぎのように感じたが、アコーディオンで“Let My Baby Ride”のリフを奏で、大勢で練り歩く「インターミッション」は文句なしに映画史に残る名シーンだ。


5.は「イングロリアス・バスターズ」のマカロニ・ブラッシュアップ版ということであれが大傑作なわけだから、今作も間違いないおもしろさ。


6.はベスト1でも問題ないが、2008年に「クローバーフィールド」をベスト1にしていて、あれで受けたショックが大きすぎて、どうしてもその影がちらつきこの位置に。しかし、古き良きジャンル映画をこの時代にスクリーンで体感するという喜びは何者にも変えられないものがある。大好きだ。


7.は作家性がやや強めのシネフィル系に分類され、見事にカイエ・デュ・シネマ誌でも2位に選ばれたが、実際は『ファスター・プッシーキャット キル!キル!』な『スカーフェイス』であって、見事にボンクラ魂に火をつけてくれる。冒頭のスローモーションは延々見続けたいし、実際ブルーレイで延々見続けていた。ムッチムチ!


8.はまさかの主観映像によるスラッシャームービー。しかも犯人側から描いているのが斬新。そして現代の『タクシードライバー』に昇華させたことも評価すべき。大傑作だと思う。


9.はフリードキン御大がまったく老けてないどころか、さらに攻撃的になってることに驚く。これがDVDレンタルのみなんだからまだまだ世界には知らない映画がたくさんあるんだろうなぁと再認識。


10.はこれからの映画界の希望。2008年の映画ながら日本では今年公開ということでランクさせた。こういう映画だけ見続けたい。ぶったまげるほどの傑作だった。


【総括】

『クロニクル』や『キャビン』は輸入盤で去年観ていて、そこのベストにしたのでとりあえず除外。毎年流行語大賞くらいに発表してたのだが、ここ三週間ばかし『モンハン』にがっつしハマってしまってそれどころじゃなかったのでありました。ごめんなさい。だって周りでみんなやってるし、狩りにいくの楽しいんだもん。

ぶっちゃけ10月まではザ・マスター、風立ちぬ奪命金、フライト、ジャッキーコーガン、コズモポリス、マン・オブ・スティールあたりがベストを占めていたのだが、上半期に見逃したヤツを観漁ってたらとんでもない大傑作が眠っており、最終的に自分の好みや映画になにを求めているのか?どういう衝撃があったか?などを基準に選びなおした。今挙げた映画も含め、基本的には全部ベスト1で同列であるという感じだが、まぁそれはそれでおもしろくないということで無理矢理順位を決めた。血まみれで上映時間は短め、さらにバカっぽくてホラーでややシネフィルと、とにかく例年以上に趣味全開になってしまった。ホントは『クソすばらしいこの世界』とかも入れたかったのだが、泣く泣く除外。

それにしても今年ほど年間ベストが決めにくい年もなかっただろう。『フラッシュバックメモリーズ』はもちろんのこと『パシフィック・リム』に関しては3Dで観るのと4Dで観るのではまったく違う体験になるだろうし、AKBのドキュメンタリーは「峯岸坊主騒動、映画の日で初日の初回の舞台挨拶付き上映、そのあとにBSプレミアムで放送された“密着!秋元康 2160時間”も込み」という体験でいえば上位にランクインするが、それは作品の質とは違う話になってくるし、まぁそういうのは選者ひとりひとりのスタンスによっても違うはずである。あと午前十時の映画祭で観た『2001年宇宙の旅』はホントに素晴らしかったし、未見だった『カリフォルニア・ドールズ』には涙をしぼりとられた。

ワーストは映画版の『ストロベリーナイト』だが、スマ4Dも試みとしてはよいが映画としては最悪の出来だった。これらに比べれば遥かに素晴らしいが、作品の出来とは別にノレなかったのは『シュガー・ラッシュ』と『世界にひとつのプレイブック』だった。