HIVは会話しただけじゃ感染しません

地獄へ道づれ - 男の魂に火をつけろ!

id:washburn1975さんが書かれたこのエントリが素晴らしい……というか、大正論なんだけども、なんとネットの世界では、こっちの方が間違ってるとされてるみたいです。

多分、ギリギリぼく世代くらいの人なら、「HIVは会話で感染する」なんてバカげたことは言いません。何故ならば、HIVに関する作品が目に触れるところにあったからで、今日はその辺の作品を紹介したいと思います。


フィラデルフィア』はトム・ハンクス演じる弁護士がHIVに感染したということを理由に事務所をクビになってしまいます。不当解雇だとして、事務所を訴えるトム・ハンクスですが、そこで明らかになっていくのはエイズに対する偏見と差別です。

トム・ハンクスのことを弁護するデンゼル・ワシントンも同じようにエイズに対する間違った認識を持っているんですが、医者の説明を聞いたり、裁判の資料を集める中で、だんだんとHIVに関する知識を深めていくんですね、これが観ている観客とリンクしていきます。

最終的に裁判はトム・ハンクスがゲイだったということにまで発展して行きます。トム・ハンクスの恋人をなんとアントニオ・バンデラスが演じています。

トム・ハンクスはこの作品でアカデミー主演男優賞を受賞しますが、その翌年に『フォレスト・ガンプ』でもノミネートされて、なんと二年連続で主演男優賞を受賞することになりました。『フォレスト・ガンプ』で獲ったことは広く知られていますが、『フィラデルフィア』で獲ったことは意外と知られてないようです。



『マイ・フレンド・フォーエバー』もHIVに感染した少年が登場します。この映画はテレビでもたくさん放送したから観てる人も多いと思います。ジュブナイル的な世界観の中にHIVの問題をぶち込んだ作品です。

2008年に亡くなってしまったブラッド・レンフロが主人公を演じていて、彼の家の近くにHIVに感染した少年が引っ越して来るんですね。もちろんそこには偏見があるんですが、こちらも『フィラデルフィア』と同様に、徐々に主人公はHIVに関する理解を深めて行きます。

この作品で重要なのは、HIVに感染した少年が食べ残したアイスを主人公が食べようとするシーンです*1。その少年の母親が「医者からは、唾液では感染しないって言われてるけど……一応……ね?」って止めるんですが、これはとても良いシーンだと思います。


神様、もう少しだけ [DVD]

神様、もう少しだけ [DVD]

神様、もう少しだけ』は日本のドラマです。これは当時大ヒットしました。

深田恭子が女子高生で、援助交際をして、それでHIVに感染してしまいます。その女子高生と金城武演じる音楽プロデューサーが出会うんですが、このドラマにも二人がキスするシーンがあって、これも「キスではHIVに感染しない」ということを明確に表したシーンだと思います。そもそも日本には『私を抱いてそしてキスして』という南野陽子の映画があって、そのタイトルが表すように抱きしめても、キスしてもHIVには感染しないんですね*2


確かに映画にはプロパガンダといって、危険な要素も含まれますが、この紹介した作品に共通するのは「握手しても、キスしても、HIVには感染しません」ということです。もし本気で「HIVは会話で感染する」と思ってる方がいらっしゃるのでしたら、是非これらの作品を手に取ってみるといいと思います。おすすめです。

*1:お菓子だった気もしますが、ちょっと記憶が……

*2:ん?この場合は生まれて来た子供の視点の意味なのかな?ちょっと手元に作品がないものでまた記憶が曖昧ですが…