BUMPの楽曲「三人のおじさん」がすごすぎる件

BUMP OF CHICKENの新曲『HAPPY』と『魔法の料理』を借りて聞いた。

HAPPY

HAPPY

魔法の料理 ~君から君へ~

魔法の料理 ~君から君へ~

バンプはもうミスチルとかスピッツの領域に踏み込もうとしているんじゃないかなぁと思った。ロックというジャンルを越えた作品を生み出そうとしているというか、藤原基央自身も童謡を作りたいと公言していたり、実際『シャボン玉』とか『ブーツをはいたぞうさん』をラジオでカバーしてたりするから、こういう曲になってくるのは必然なのかもしれない。

今回はカップリングも含めて、両方ともかなりクオリティが高い。

『HAPPY』も『魔法の料理』も今までの楽曲群が手探りに感じてしまうくらいの澄み切った曲になっている。特にカップリングの『キャラバン』が気に入った。『HAPPY』は『涙のふるさと』をもっともっとロックンロールに寄せた曲になってて、ギターの音やフレーズが土臭く、ホントに藤原基央はサザンロックに影響を受けてるんだなぁと思った。

ただ、今回はそれらを全部吹き飛ばすド級の名曲が収録されていた。

それが『魔法の料理』に収録されてるシークレットトラック『三人のおじさん』である。

なんとこの曲、ニコニコ動画の再生回数は表題曲である『魔法の料理』よりも上で、4月22日から6日間、音楽のカテゴリで再生ランキングが一位になっているくらいの反響を巻き起こしている。ネットでも検索するとトンでもない量の記事にひっかかる。

シークレットトラックということもあって、歌い方もふざけていて、お笑いのメソッドも強いが、三位一体となって冒険をし、通過儀礼を経て、神から特殊な力を授かり、やがて、文明を作り出し、大陸を作り出すという神話的な要素を含んでいて、海が怒り狂って旅人を襲うという『グングニル』と同じ世界観を持っている。

『三人のおじさん』は賢いおじさんと強いおじさんと素早いおじさんの物語である。

言ってしまえば、有名な三人のおじさんの一人がちっとも役に立たないというだけの歌。二人はその特殊能力を活かして冒険をするんだけど、一人だけ、どう深読みしても役に立ってない。

ところが、それがやがて『Ever Lasting Lie』のような壮大なスケールの物語になっていき、三人の有名なおじさんは、神のような存在にまでなっていく。それでもやっぱり一人は役に立たない。

役に立たないどころか、最終的にオチでずっこけてさせてくれるのだが、その辺も物語調の楽曲を得意とする藤原基央の面目躍如と言ったところだろう。

ぶっちゃけおじさんというワードが親しみやすく、物語調の歌詞やギターの弾き語りということも相まって、こっちのほうが「みんなのうた」でかかってる感じがする。それくらい素晴らしいので、BUMP OF CHICKENが好きな人も興味ない人も聞いてみてください。おすすめです。あういぇ。