Vol.0からVol.1へ『Bootleg vol.1 DYNAMITE!』

id:toshi20さんが文学フリマの会場で仰ってたように、映画評論同人誌『Bootleg』のデビューは「衝撃的」だった。

文学フリマ、約2400人来場 人気作は150冊完売
http://news.ameba.jp/domestic/2009/12/52002.html

開始一時間で行列を作って完売したこともさることながら、同人誌と言えば、このようなイメージがあったため、

見た目にも気をくばって、読む者を飽きさせない小ネタの詰まったデザインにも驚かされた(鉄板映画リストというところでは、わざわざバックに鉄板の画像を貼り付ける芸の細かさなど)。


ブログの延長線上なのかなと思った内容も、書き手の個性が存分に出ており、読み物としてのまとまりにこそ欠けるものの、名刺代わりの一発として、これ以上のものはなかっただろう。実際、マトモ亭さんのあとがきなんかは他の読み物には絶対にありえない力がある。

そんな『Bootleg』の第二弾が発売されたので、蒲田に行って購入して読んだ。正確に言えば、最初に発売されたものが「Vol.0」だったので、今回がある意味で第一弾となる。

いわゆる名刺代わりの一発だった前回よりも今回は読み物としてかなりまとまりがある。各執筆者も同じ方向にタイヤを回しており、個性の塊という印象があった前回(故にVol.0としたのだろう)より幾分スマートだ。黒人映画というくくりにしたことがよかったのだろう。イントロダクションを設けたことも大正解で、そこから「クロすぎる奴らたち」へと続いて行く侍功夫氏の文章がホントにホントに素晴らしい。特に黒人映画に深い造詣がないぼくにとっては紹介された映画はどれもおもしろそうで、これは観なければなぁという気にさせられる。もちろんそれぞれの執筆陣の記事もグイグイ読ませる力があり、特にぼくの中では日本映画史上どうでもいい監督だった五社英雄に関する真魚さんの記事は目からウロコで、マトモ亭さんの武田鉄矢の記事は名人芸の領域だと思った。ただ、黒人とは関係ないが。あと、DVDの棚を見ながらあーだこーだ言う座談会も箸休めとしてこれ以上ないくらい楽しかった。

「前回よりもデザインに小ネタは仕込まなかった」と語る侍功夫氏だが、読ませることと楽しませることにこだわったデザインのリキの入れ方はやはりハンパじゃなく、わざわざ画像を集めて作成した武田鉄矢の仕込みは特筆に値する。

というわけで、あくまで有名ブロガーやライターが集まった非公認映画評論同人誌から、一気に映画ムックレベルにまで押し上がった『Bootleg vol.1 DYNAMITE!』今回も見事に完売し、増刷が決定したようなので、気になる方は新宿のビデオマーケットでチェックだ!そして、そのまま紹介されてるような黒人映画のDVDを数本手に取って、読んだあとに観まくることをおすすめしよう。

――――個人的に次回は侍功夫さんのお家芸である「カンフー映画特集」が読みたいなぁ。でもVol.0でジャッキーを、Vol.1で武田鉄矢が出てしまったから、無理ですかいのぉ。あういぇ。