『エアベンダー』でシャマランがやりたかったこと

エアベンダー』9時45分の回鑑賞。それにしても日本全国猛暑らしいですねぇ。映画館までチャリで10分足らずで着くけど、それだけで腕がヒリヒリしちゃったよ。女性のみなさんは長袖で行動した方がいいかもしれませんよ。基本的に建物の中は異常にクーラーが効いてるわけですし、日差しも防げて一石二鳥!ヒートアイランド万歳!

さて、ぼくの家族は基本的に映画の好みがバラバラで、親父は脚本のしっかりしたリアリティのある映画だけを好み、反面おかんは荒唐無稽なポップコーンムービーだけを好み、妹は血しぶき飛び散る切株映画を好む。故に映画の話を非常にしにくい家庭なのだが、唯一、シャマランだけは何故か一家揃って感想がバチッと一致していて、見方から、よかったツボまでが、まったくブレないときてる。

つまりシャマランという人は、評論家や一般の映画ファンに嫌われながらも、新潟のとある一家全員を喜ばせるために映画を作り続けてるという変わった映画監督なのである。

そんなシャマラン大好き一家を代表して、『エアベンダー』を観て来たのだが、これがホントに冗談抜きですげぇおもしろかった!!正直、監督がシャマランじゃなかったとしてもぼくはこの映画を気に入っただろう。2Dで観たのだが、3Dでもう一回観たい!!

アメリカで酷評されてる理由は『DRAGONBALL EVOLUTION』なんかと一緒だと思うが、実は『エアベンダー』でシャマランがやりたかったことはずばり『DRAGONBALL EVOLUTION』になかったものを『スター・ウォーズ』の中にぶちこみ、『300』で味付けするということなのである。


アジアを中心とした様々な文化が絶妙なさじ加減でブレンドされた衣服や建築物が画面全体を覆いつくし、多国籍というのをある種越えた世界の中で繰り広げられる、ベンダー同士の戦争という一見お固そうなドラマではあるが、初期香港カンフー映画のような演舞をバシバシ決めた後に火や水が手から放たれる一連のアクションはハッキリ言うと、かめはめ波の何百倍もかっこいいし、全体的に戦いの場面は香港映画のショーケースである。

それだけじゃなく、如意棒やシェンロン、異常なまでの身体能力、修行など世界観も含めて、『ドラゴンボール』っぽいものが様々なシーンに散りばめられる。氷の国のビジュアルは『帝国の逆襲』のようだったし、『エピソード2』のような一大バトルがあったり、そもそも、火や水、土などを自在に操って攻撃するというところが、フォースっぽく、それぞれの国にベンダーという戦士がいるのもジェダイを彷彿とさせた。

さらに『エアベンダー』はごってごてに作られたビジュアルだけを寄せ集め、物語の進行やキャラクターの心情はナレーションで説明するという手段をとった。これはアメコミをそのまま映画に移し替えた『300』と同じ手法ではあるが、その物語の進め方だけでなく、クライマックスではカメラが横移動しながら、スローと通常のスピードを混ぜ合わせたモーション感覚で敵をバッタバッタとなぎ倒していくシーンがそのまんま再現されたりして、思わずニヤリとしてしまう。

個人的にはカンフーくんのようなビジュアルの主人公が気に入った。彼は伝説の“アバター”なるキャラクターで、彼は空気と水と火と土のエレメントを操ると言われてるんだけど、彼が空気だけ操る段階で修行を諦めていて、他の能力が使えないというところも伝説のキャラクターっぽくなく、そこから修行を始めるために旅をするというのもカンフー映画っぽくて楽しかった。

ハッキリ言って子供向けの映画という意味では『借りぐらしのアリエッティ』よりもおすすめ。続編が作られると予定されて公開された『ライラの冒険』よりも、断然おもしろい。というか『エアベンダー』の続編の方が断然に観たい!と言っても、新潟のとある一家のために作り続けてる監督であるから、これほど喜ぶのはぼくらくらいかもしれないのだが……あういぇ。

ポスターもかっこいいね!