渋谷109付近がネオ東京みたいに!『バイオハザードIVアフターライフ』

バイオハザードIVアフターライフ』鑑賞。つーか『バイオ4』である。それにしてもドラム缶から炎が上がって、紙くずが地面に散らばってるようなところにゾンビがわらわらというビジュアルを見るとホントに落ち着きますなぁ。

これよこれなのよ。

『キューブ』みたいな仕上がりになってた普遍的な一作目、そしてアリスというキャラ設定をしてしまったがためにジルとの区別がまったく付かなくなった二作目と、映画版はなかなかこちらを満足させてはくれなかったが、ラッセル・マルケイが監督することになった三作目は『マッドマックス』に地に足のついた地味めなアクションが融合されていて、とにかく素晴らしかった。つっても、バイオとはまったく無関係な映画になってたが。

四作目は一作目以来久しぶりにポール・W・S・アンダーソンがメガホンをとったが、ハッキリ言って映画としてはかなり破綻しかかっている。

まず、今まで引っ張って来た設定が今回も先延ばしにされるだけでなく、世界観の説明も毎回一緒で、始まった途端に映画が続くことが分かり切ってしまう。四作目ともなれば、一つのお家芸という感じで「よっ!待ってました!」となるのだろうが、世界が滅亡してから何年間も経っているために、アリス一人がどこそこへ行って、誰かと出会うみたいな物語にそろそろ無理が生じて来る。まさに『ザ・ウォーカー』の女版といった具合。

それだけでは飽き足らず、今作でも何かの続編であることは誇示されてるものの、それは物語を語るうえでの足かせだ!というのが映像からにじみ出ていて、人と出会うだけでもかなり無理目な設定なのに、前作で絡んだキャラクターを出さなければいけないという強迫観念からなのか、とてつもない偶然でもって前作で絡んだキャラクターを出したり、設定を引っ張って来たりして、それだったらいっそのことなかったことにした方がよかったのではないかと思ったりもする。特にアリス計画と言われていた、人間兵器のミラジョヴォがいきなり、注射一発で普通の人間に戻るというのはさすがに……

ストーリーもないに等しい。とにかくアンブレラという敵の正体が分からないというよりも、意味不明で、それは置き去りにされる。基本この映画のプロットはゾンビだらけの建物に行って、そこにいる人たちと協力しながら脱出を図るという、“ドーン・オブ・ザ・デッド”仕様である。ゾンビは頭がいいのか悪いのかよく分からず、『遊星からの物体X』みたいな攻撃方法しかしないのはゾンビ映画ファンとしてどうかと思うところもある。一応仲間を見つけて助けるという目的のために動くアリスだが、仲間がバッタバッタと死んでいくたびに悲しい表情ひとつ見せず、その次のカットで大量の武器を見つけると「ナイス!」と喜んだりしてるのはかなり思いきった演出であるといえる。そのたびに死で映画が立ち止まらないからいいのだけれど。

じゃあ、『バイオ4』はおもしろくないのかと言われるとそんなことはない。何よりもこの映画の最大の魅力は、映画的な見せ場の量とその時間だ。

ストーリーや続編であることの伏線みたいなものを全部削ぎ落した結果。生まれたのは、アクション!アクション!アクション!爆破!アクション!一瞬脱ぎかけるミラ・ジョヴォヴィッチ!ゾンビ!爆破!アクション!アクション!爆破!である。

特に渋谷の街が『AKIRA』の冒頭みたいになるところは、いくらCG慣れしてると言っても声が出るほどにすさまじい。

アクションは基本的にスーパースローによって引き延ばされており、スピード感はまったくないが、コミック的な決め絵のおかげで、少年ジャンプの一コマをじっくり見てるような感覚にさせてくれる。やってることは『マトリックス』なのだが、あれがここまでハリウッドのスタンダードになるとは思わなかった。それくらいアクションの文法として確立されたものになったのだろう。

というわけで『デス・レース』や『AVP2』が楽しめれば、間違いなしのいつものポールアンダーソンクオリティ。個人的にはバイオハザードシリーズの中でも三作目に次いで楽しんだ。1時間40分という上映時間も高ポイント。エンドクレジットが始まっても席を立たないように!おっぱい大きいねーちゃんでてくるぞ!あういぇ。

実はディジェネレーションの方が映画としておもしろかったりするんだよなぁ、これが。