『インシテミル 7日間のデスゲーム』にINしてみた。

インシテミル 7日間のデスゲーム』鑑賞。サービスデーということもあって、かなり人が入っていた。マイガッ!

インシテミル』というタイトルは「INしてみる?」という意味らしいですねぇ。

コンビニでバイトを探してるフリーター結城にとてもキレイな女の子が「バイトにはお詳しいですか?ちょっと相談したいんですけど…」と声をかける。あまりのかわいさに胸ときめかせた結城が見たのはケータイサイトの「時給11万2000円で7日間の実験」というとても怪しい超高額バイトの文字。あやしすぎるんでやめた方がいいのではと思いながらも、その女の子と金目当てに、その実験に参加することを決めるのだが、それは疑心暗鬼に陥ると人はどうなるのか?ということを実験するゲームだった……

カイジ』や『ライアーゲーム』の二番煎じっぽい感じだが(映画として)、その藤原竜也が出ている。『カイジ』は個人的になかなか好きな映画で、出だし一発の「これはマンガの世界だよ!」という刻印から、「キンキンに冷えてやがるっ!」「悪魔的にうまい」などの名台詞、藤原竜也お得意のオーバーアクトもあいまってかなり楽しんだ。故に『インシテミル』もあの感じが楽しめればいいやくらいの感覚で劇場に足を運んだ。石原さとみ綾瀬はるかという若手人気女優の共演も見れるしね。

恐怖に歪んだ顔や人を殺すときの表情の演出があきらかに他とは一線を画してるなぁと思っていたのだが、なんと監督は『リング』の中田秀夫であった。納得。特に石原さとみが見せる「ぬわー!!」という驚きの表情は顔面の形がこれでもか!と歪み、さすが『リング』の人だなぁと関心させてくれる。だが、ホラー的な描写はいっさいなく、人間の疑心暗鬼の醜さ/怖さを直球に描いたとインタビューで言っていたが、それにしてはまったく恐怖を感じなかったのは逆におもしろいなぁと思ってしまった。あの疑心暗鬼のゲームは全世界(恐らくネットを通じて)に見られているという設定だったが、ホントにその設定の通り、疑心暗鬼になってるさまを映画を見ている客が楽しんでるというある種のメタ的な構造になっていたのである。怖かったのはホントに人形の顔くらい。


こーわいっ!声はなんとバナナマンの日村だ!

複雑極まりないルール設定は原作からのいただきだろう。原作は未読なのでここからは完全に推測で書くが、恐らく、原作は推理ものであったはずだ。そこからの駆け引きは映画にも活かされている。だが、映画では人々が疑心暗鬼になる様に焦点を当てた。そのせいで、複雑極まりないルール設定が足かせになっているように感じてしまったのだ。だったら最初から心理ゲームとして批判覚悟でナレーションなどを多用し、推理ものにシフトすべきだったのではないかなぁという不満が少し残った。

主人公のキャラ設定も正直鼻につく。ベッキーの所作にイラつきを覚えるのと一緒で、「すごく君の言ってることは正しいし、ホントに偉いと思うけど、その正しさみたいなものがオレには眩しすぎるんだよ!」みたいな感じと言えばいいだろうか。『アイアムアヒーロー』をがっつしと読み込んでるせいで、ああいうキャラ設定が最高だというのがインセプションされたのかもしれない。最後の最後で藤原竜也がとある行動を起こすんだけど、それにはさすがにはらわたが煮えくり返った。『カイジ』とは対になるような終わり方なんだけど、そんなにあんたは正しい人間でいたいのかよ?みたいなやり場のなさすら感じた。よっぽど他のキャラクターの方が好感持ったわ!

ただし、その主人公を演じた藤原竜也のオーバーアクトはさすがの一言。『バトロワ』や『デスゲームデスノート』『カイジ』に続いて、「もうここから出してくれよぉ!実験は終わりだろ!?」とワーワーのたうち回りながら叫ぶシーンが見れただけでもファンとして満足だ。サミュエル・L・ジャクソンの説教がいつ出て来るんだろうみたいな感じになっちゃってるなぁ、この人。

あと映画を観た後に調べて分かったことなんだけど、これ「ホリプロ」の創業50周年記念作品なんだって。それでこの題材ってのもなかなかすごいな。だって、ホリプロの若手から人気役者、大御所が一堂に会して疑心暗鬼を繰り返しながら殺し合いするんだぜ?一体何のジョークだよ、まったく。

まぁ、金曜ロードショーあたりで放送した時にでも観てもいいかなという感じ。あういぇ。