怖いけど底知れぬ愛を感じる『キャビン・フィーバー』

キャビン・フィーバー』をレンタルDVDで鑑賞。

新潟は旧作80円で2週間レンタルという破格な値段で借りられるのだが、そこのホラー映画のコーナーを眺めていたら発見したので速攻借りて来た。『ホステル』の1と2はとても好きな映画だったので、その監督のイーライ・ロスのデビュー作ということで気になっていた。

あらすじは5人の若者が夏休みに山小屋でのんびり過ごしているところ、血だらけの男がやってきたことで事態は一変するという、まぁホラー映画によくあるもの。

まず『キャビン・フィーバー』を観て素直に感じたのは底知れぬスプラッターホラーへの「愛」であった。とにかく妙なメタファーや捻ったような言い回しは皆無で、素直に「好きだぁ!」という魂の叫びを感じる。ところが映画はそれだけに留まらずキッチリと観る者を恐怖のどん底に突き落としていくという相反する感情が同居した作品になっている。

取り込まれたものは枚挙にいとまがないが、山小屋で夏休みに浮かれる若者たちがキャッキャしてると今にも人殺しそうな地元民が怖い顔してやってくるとか、感染して人間がエラいことになるとか、そこからさらに疑心暗鬼に陥り極限状態の中で狂気が炸裂するとか、さらに無意味におっぱいが出て来るとか、基本的に作品はアメリカのスプラッターホラーのクリシェによって構築されている。それこそ『キル・ビル』がそうであったように、この『キャビン・フィーバー』も、さまざまなスプラッターホラーのごった煮である。

演出はかなりうまく、映像だけで何が起こるのかというのを的確に表現しているし、「志村!うしろ!うしろ!」的なサプライズとサスペンドが物語をラストまで牽引していく。描写は容赦なく、基本的には目を背けたくなるくらいエグいが、『スクリーム』なんかに物足りなさを感じていた人はこれぞスプラッターホラーだぜー!いえーい!という感じで後半はノリノリになっていくのではないだろうか。

奇しくもぼくはこれを『ドリームキャッチャー』と一緒に借りて観たのだが、結構この二作には共通点があった。山小屋の中があんなことになるというのはビジュアル的にも一緒だし、バスルームで問題が起こって血まみれになるというのも似ていた。そもそも妙にスケールが大きくなっていく後半の展開はほぼ一緒で、○○に感染源があってそれ故に若者たちが感染していくというのは『ドリームキャッチャー』に対するアンサーのようにも感じた。むしろ『ドリームキャッチャー』でモーガン・フリーマンがやろうとしたことをこの映画ではラストでやってしまうという怖さもあった。

というわけでこの低予算ホラー、なかなか良く出来ていておすすめ。この作品のバージョンアップが『ドリームキャッチャー』という風に考えるとなかなかおもしろいものがあるなぁ。

ちなみにぼくは『ホステル』が大好きなのだけれど、それよりも『ホステル2』の方が好きだったりする。最近は役者としての活躍が目覚ましい彼だが、よろっと新作を観たい。『ホステル』に対してあーだこーだ言ったナルシスワインバカは三池監督と一緒にイーライ・ロスの新作に出て殺される役でもしろ。あういぇ。

キャビン・フィーバー スペシャル・エディション [DVD]

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