『ミックマック』はビックマック

9日の夕方『ミックマック』鑑賞。新潟では今頃の公開なのさ!バーロー!それでも公開してくれるだけありがたい!そういやぁ『マチェーテ』もちゃんと公開されてるんだった!ありがとうTジョイ!人が入らないとまたこういう映画は公開が危ぶまれるから、ちゃんと観に行かなきゃね!

ちょいとばかし話がそれた。改めて『ミックマック』の感想を。

――――超ド級の大大大傑作!

地雷で父を亡くし、自身も銃弾を頭に撃ち込まれ生死の境を彷徨い、そのせいで生活も家も仕事も失ってしまった男が、その地雷と銃弾を作った二つの会社に復讐するというお話。

アメリ』よろしくの凝りに凝りまくった映像表現が次から次にテーブルに運ばれるが、それをひとつひとつ味わってるヒマはないくらいカットも早いのが特徴で、CGも適材適所でツボをおさえており、大胆なセットや衣装など、まぁいわゆるひとつのジュネ節というやつが炸裂している。ハッキリ言って冒頭だけならば「あのアメリが親父になっただけじゃん」と思うだろう。もしかしたらここで拒絶反応を起こす人もいるかもしれない。

ところがこの『ミックマック』はあれよあれよという間にプロットがどこかで観たようなものへと変貌していく。

主人公が復讐する二つの武器会社は道路をはさんで向かい合って建っている。彼は仲間と共に、それぞれの会社に絶妙なイタズラをひとつずつ仕掛け、最終的にこの二つがいがみ合うようにしむけて行くのだ。

そう、これはジュネ流の『用心棒』であって『椿三十朗』なのである。

『用心棒』に限らず、『ミックマック』には古今東西ありとあらゆる映画の要素がふんだんに詰め込まれている。それホントに役に立つのか?という個性豊かな特技を持つホームレス集団はベッソンの『サブウェイ』を彷彿とさせ、携帯やyoutubeなども存在してる現代社会が舞台なのにも関わらず、ホームレス集団が生活してる場所は『未来世紀ブラジル』のようであり、さらに仲間と共に巨大な悪に立ち向かうというのは『オーシャンズ11』のようなケイパーものに通じている。ボギーのセリフを諳んじれる主人公という出だしからつかまされたし、あまり主人公が喋らないという設定もどこかサイレント映画のようだ。そういやぁ映画全体のトーンは『底抜けてんやわんや』のようなドタバタ劇でもある。

こんなに映画ファンが喜ぶような題材を『アメリ』のような映像表現で演出し、さらに映画は2時間を切る……つまらないわけがないじゃないか!!

というわけで、『アメリ』が好きだった人もそうじゃなかった人も絶対に劇場で見ることをおすすめ。個人的には『インセプション』よりもこっち。バイト先で『ミックマック』よりもビックマックだよねーなんてくだらないことを言ってたが、ホントにビックマックを喰らってるような満腹感!本年のベストワン候補だ!見逃すな!あういぇ。