世界の映画がオタクが選んだベスト100の78位『ポイント・ブランク』

『ポイント・ブランク』をDVDで再見。『殺しの分け前』でも『標的にされた男』でもない。

『Cut』という雑誌の「世界の映画オタク10万人が選んだ史上最高の映画ベスト100」特集にて、78位に堂々ランクインしながらも、その100本のなかで唯一存在すら知らなかった作品。なので当時急いでDVDを購入して観た覚えがある。

レーガン政権絡みで殺し屋として生きていくことになった男が主人公。ずーっと同窓会に誘われていたものの断り続けていたが、たまたま次の標的が自分の地元にいくということもあり、10年ぶりに故郷へ帰ることに。そこでかつての親友や恋人に再会するも、彼のを追う別な組織の殺し屋がそこにやってきて……というのが主なあらすじ。

ジョン・キューザックが高校の同窓会に出席したときのことをヒントに脚本を執筆。実際にその中で起きたことも映画の中に取り込まれている。

わざわざ『パルプ・フィクション』のスタンディを登場させ、それを破壊するなどジョン・キューザックなりのタランティーノシンドロームであり、引用も激しくストーリーに直接関係ない小粋なダイアローグなど、その影響は顕著。

愛する人のために組織と対立する殺し屋というプロットと、二丁拳銃がこれみよがしに出てくるのはジョン・ウーの『狼/男たちの挽歌・最終章』であり、殺し屋が同級生に会ってしまうというはウォン・カーウァイの『天使の涙』。ベニー・ユキーデをキャスティングしてカンフーさせたのは『スパルタンX』や『サイクロンZ』で、『007は二度死ぬ』のパロディがあるなど、他にも細かいことを言いだしたらキリがない(というか把握できてないネタもちらほら)。さらにガンズ・アンド・ローゼズザ・ジャム、クラッシュ、クイーン、デヴィッド・ボウイなど、80年代のヒットソングが随所に使われ、やや懐古主義的な感じも見られる。

もちろんこれだけ雑多なだけにジャンルもコロコロ変わり、何を観ているのか途中からわからなくなるが、メインとなっているのは、かつてどのような恋愛をしてきたかをその時代の音楽に乗せて回想するというもので、これは同じくジョン・キューザックが脚本と主演を担当した『ハイ・フィデリティ』に受け継がれていく。

とてもおもしろく大好きな作品だが、ほとんど知られてないのか、検索してもまったく引っかからないので、興味がある方は是非TSUTAYAあたりで手にとっていただけると幸い。『ヤング・アダルト』や『ロミー&ミッシェル』が好きな方におすすめしたい。
それにしてもなぜこれが本国(恐らくそのランキングはアメリカ人の投票がほとんどだったのではないかと思われる)でここまで人気なのか。それだけは謎だ。

ポイント・ブランク [DVD]

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