一週間『シン・ゴジラ』漬けだった

ちょうど『破門』を観にいった2月2日が面接の日で無事に転職したのだが、一日最低で13時間、最高で15時間残業なしで働くというブルーカラー男子になってしまったので(休憩もほぼない)、小説など読めるはずもなく『モンハンダブルクロス』も買うには買ったのだが、数回しかやっていない。帰ってくるとかなり疲弊しているため、メシを喰らって酒飲んだらテレビを見ながら気絶するようにリビングで寝ているという生活。おかげで8キロ痩せ、入社したときにサイズを測って注文した制服のズボンが速攻でブカブカになった。

しかし、隔週で土日休みがあるため、わりとDVDやBDなんかで映画を観るという余裕はそれなりにあり、観たかった『シン・ゴジラ』を特典映像付きの三枚組を購入して鑑賞したのだが、これが本編を含め、買って大正解のソフトであり。ここ一週間は仕事終わったら本編と特典映像を観るという生活を送っていたくらいハマった。今更ながらおすすめである。

話としては東京湾ゴジラが現われ、東京の街を破壊しながら原発に向かっていってるのでなんとかして止めろ!という非常にシンプルなもの。その時、政府はどのように対応するのだろうか?というのを徹底的にシュミレートしていく。

もうさんざ語り尽くされてるだろうが、1954年の『ゴジラ』が戦後わずか9年で公開されたように『シン・ゴジラ』も恐怖の対称として3.11をエクスプロイト。通常の映画の二倍の厚さとも言われる脚本だが、1.5倍速で観ているのかというくらいすさまじい早さで演者はしゃべり、カット割りもめまぐるしい。ほぼ政治家と官僚と専門家しか映り込まないなか、その役職も字幕で表記されるが、読ます気ないだろうというくらいの早さで消えていく。未使用テイクには逃げ回る群衆やエモーショナルな演技はもちろん、偽のニュース番組など、怪獣映画にはよくあるものも多いが、それをあえて編集の段階で切り捨て、なるべくドライにデタッチメントに演出。見終わったあとの興奮はこの種類のものでは『パトレイバー2』以来であり、こういう映画をずっとずっと待っていたんだ!と素直に思った。

津波が押し寄せるという映像は丸々完コピなんじゃないかと思うほどであり、それを前半に持ってくることで、3.11をフィクションで超えてやるんだという気概に満ち満ちている。みんながネタバレしてくれなかったおかげで、最初のキモイあいつマジなんだよとも思ったが、そこからのサプライズを経て中盤、東京の一部が破壊しつくされるというシーンではあまりのすごさにマジで打ち震えた。ハリウッド版が一体何だったんだ?というくらいゴジラというジャンルは日本で作られるべきなんだなと思い知らされた。

あと、当たり前っちゃ当たり前なのだが、映画は監督のモノとよくいったもので、この作品は新しいゴジラでもありながら、エヴァンゲリオンがいない『エヴァ』でもあり、音楽も後半の展開もあえて意識していて作られている。『進撃の巨人』と同じ役者も出ているのに、学芸会調の仰々しい演技は見られず、そのあたりで庵野秀明樋口真嗣の才能の差も改めて感じられたが、会見では『エヴァ』の新作ができてなくて申し訳ないと言っていたので、そのかわりのサービスだったのかもしれない。それでいて、伊福部明の音楽もかなり使っており、先代の『ゴジラ』へのリスペクトも忘れてない。

まぁとにかく、他にも言及すべき点は山ほどあるが、長くなるのでこのあたりで。ぼくのなかでは完璧な映画であったことは間違いない。これからも末永く付き合っていくことになるだろう。文句なしの大傑作でオールタイムベストテン入り確定である。三枚組ブルーレイがおすすめだ。

最後に特典映像の見所をいくつか。

・偽のニュース映像集がとにかくおもしろい。本編の話の流れもわかるようになっていて、こういうスタイルの映画が作られるんじゃないかくらい。

・プロモーション映像集の石原さとみが素晴らしいコメントをしている。

・NGテイクの大杉漣がおもしろい。

・発声可能上映にて、島本和彦に「ごめんね、ありがとうね」を連発する庵野秀明に萌え。