今年のベスト1!『ハッピーフィート』

彼女と一緒に『ハッピーフィート』を観賞。私はペンギンがすごく好きなので、映画がどうでもペンギンを見るために観に行ったようなもんだが、これが…

信じられないほど大傑作!だった。

ハッキリ言ってこれ以上映画に何を望む?という完璧な映画。ジョージ・ミラー待望の新作は『マッドマックス2』のスピード感に『ベイブ』の思想を組み合わせるというトンデモない大傑作になった。スピード感溢れるアクション、『ムトゥ 踊るマハラジャ』に匹敵するミュージカル、ラブストーリー、成長物語、家族愛、友情、差別や偏見はよくないという思想、障害、カルト宗教、一歩踏み出す事の勇気、権威に対する攻撃、資本主義が生んだ問題、とありとあらゆる物がてんこ盛り、さらにこれをバランスよく配置しながら、こちらにちょっとずつ思想を植え付けるだけなので、まったく説教臭くない。脚本を書いた『ベイブ』では動物の目を通して偏見が生む差別問題を取り上げたが、ジョージ・ミラーはこれで終わらなかった。さらにもう1つ上のステップを目指した。この動物社会の差別問題を軸にこれでもかというジェットコースターを用意したのである。

ハッピーフィート』はペンギンの社会が舞台。卵を落としたらよくないとされる中でメンフィスは誤って卵を落としてしまう。誰にも言えずひた隠して、卵を孵すが、マンブルと名付けられた子供は普通に歩けない、さらに歌が唄えないという障害を持ってしまう。だが、マンブルはそのマトモに歩けないバタついた足で踊るという才能を見出す。だがペンギンの世界は歌が命で歌がすべて、彼は仲間や家族にまで見放されてしまう…

ハッピーフィート』には明確なメッセージがこれと言ってない。あるのは娯楽要素だけ、メッセージが強いと娯楽映画としての印象は悪くなるが、『ハッピーフィート』はそのタイトル通り、とてもハッピーになれる作品である。ジョージミラーはCGアニメというツールを得て、ペンギンの世界をイキイキと演出。フェイドイン/アウトやワイプ、ラブシーンでの360度パンなど古典的な手法を取り入れたり、長回しであり得ないカメラワークを実現させたり、映像だけでも大興奮の連続なのに、大人数のミュージカルシーンを入れたり、とびきりロマンチックにしたり、スピード感溢れるアクションシーンを散りばめたりして、1分も飽きさせない。さらにそこに現代社会が抱える様々をてんこ盛りにし、考えさせられる作品に仕上げた。○○を未知の物とし、エイリアンと呼ばせた時点で勝利は見えていた気もするが、何よりも差別や偏見はよくないと言い切ってる思想が素晴しい。

私はこの映画なんの知識も無く見た。何故かと言うとペンギンが大好きだから(笑)観に行って初めて監督がジョージミラーだと知って、にやりとし、さらに映画自体も『マッドマックス2』と『ベイブ』だからさらに、にやりとした(笑)だからその感動を味わって欲しいためにあえてこれ以上書かない。

とりあえず言っておきたいのは本年度No.1候補の大傑作!『300』と『アポカリプト』と本作が今年日本で公開されたのはホントに嬉しい限りである。