やっぱりおしゃべりクソ野郎の映画なんだよなぁ


9時15分より『ドロップ』鑑賞。品川庄司のボケの品川ヒロシ(品川祐)が初監督を務めた作品。


ぶっちゃけ、かなり良く出来た作品だった。初監督というか、いきなり映画の現場に乗り込んで行ったとは思えないような、良作だったと思う。ケンカシーンの撮り方はちゃんとワンカットを長くして、動きを見せているし、痛そうだなぁというところは痛そうに撮ってて、ああ、うまいなぁと思った。何故か、傷の治りが早かったり、なんで主人公のヒロシと達也はあそこまで心が通い合ってるのか?とか、家族の描写とか描き込みが足りないところもあったし、いかにも吉本で作りましたみたいなキャスティングも鼻に付くが、成宮寛貴水嶋ヒロ上地雄輔、若月徹はそれぞれ好演してたと思う。


『ドロップ』で一番いいなぁと思ったのは会話のシーンだ。基本的にまったくカメラを動かさないで撮ってるから違和感もあるが、ただ、会話の演出は抜群にうまいと思う。すげぇ自然で、クサい台詞も台詞っぽく聞こえない感じがして、好きだった。特に告白するシーンが、なんかリアルだったんだよなぁ。マンガ的なクリシェだったけど、間とか雰囲気とかすげぇ分かるんだよなぁ。


ただ、ぼくは不良と呼ばれる人種が嫌いだし、ヤンキー先生とかも納得いかない。人志松本のゆるせない話でも誰かが言ってたが、ヤンキーだった人が先生になったからって、人間的な地位が上がるわけがない。これはぼくの勝手な意見だけど、不良やる事はかっこ良くない。むしろ不良になったらダメだと思う。映画の中ではいいけど、実際に人を殴るのは誉められた事じゃない。


『ドロップ』で納得いかないのはそこだ。『ドロップ』は主人公のヒロシが置かれてる立場同様、なんか、妙に甘いヤンキー映画なのだ。『クローズZERO』は鈴蘭という舞台が、アナーキーな場所で、力のある者が勝つという『ファイトクラブ』や『IZO』のその後みたいな作品だから説得力があるんだけど、『ドロップ』はケンカで誰かが障害になったりするわけでもなく、殴られたヤツが死ぬわけでもなく、形だけの不良でもいいっしょ?みたいな、斜に構えた感じというか、不良をやる事に対する本気さがないのも事実。


だから『ドロップ』は全然悪い映画じゃないし、むしろ誉めるところの方が多い良作だと思うんだけど、やっぱり、どこかおしゃべりクソ野郎の映画なんだよなぁというのが率直な感想かなぁ。


ちなみに原作読んでません。どういう本なんだろう――――あういぇ。