Aチームを豪快に平らげろ!

特攻野郎Aチーム THE MOVIE』を朝10時の回で観て来た。

例えば、目の前にサンドウィッチがあったとしよう。そこにあるのはまぎれもないサンドウィッチだ。サンドウィッチ以外の何者でもない。ハッキリ言ってしまえば味もだいたい想像がつく。

ただ、よく見ると、パンは妙に分厚く、中には様々な肉らしきものが大量にはさんである。パッと見ただけでもベーコン、ローストビーフ、ハンバーグ……ツナや玉子、フルーツなんてものは一切はさんでない。気持ち程度のレタスこそあるが、それはしゃきっとした食感を与えるだけにすぎない。そのレタスにも肉汁がべっとりと付いている。匂いをかげばニンニクやペッパーの匂いまでたちこめる。マスタードはこぼれ、皿に垂れ流されている。横にはぶっとい一本もののピクルスにバドワイザーまで置いてある。

子供が食べたら胸焼けするかもしれない、ちょっとスパイスの利いたサンドウィッチをベタベタと手を汚しながら、ビールで流しこんでみよう。するとどうだろう。もうある程度味は想像してても、誰もが同じような満足感を味わうんじゃないだろうか。

「あー喰ったぁ、満腹満腹、うまかったぁ!もう何もいらねぇ!」

特攻野郎Aチーム』はそんな肉喰らい野郎の腹を十二分に満たす、ちょー豪快でちょー頭の悪い、ちょー素晴らしい悶絶級の娯楽作だった。

一歩間違うとなんてことのない普遍的な映画になってしまうところをこんなに魅力的な映画にしたのはやはり登場人物。もうしわけ程度のモーション感覚によるオープニングに乗せ、登場するキャラクターをかっちょよく紹介するのだが、その紹介の仕方よりも、役者たちの方が遥かにかっこよく、活き活きと画面の中で動いている。

言ってみりゃ、イケメンと呼ばれる、髪の毛のフニャフニャした妙に体の細い、なよなよした女みたいなアホは出て来ない。出て来るのは、脂ぎった顔でがっしりとした体の、男臭い連中である。監督は渋い絵作りでカルト的な人気を博す『ナーク』のジョー・カーナハン……

そうだよ!オレが映画に求めてるのはこういう男たちなんだよ!!まるで『大脱走』の中に混じっててもおかしくないようなこういう男たちなんだよ!よくわかってんじゃんか!

展開もすごい。これでもか!これでもか!とこちらの想像を遥かに越えるド級の映像が次から次へとやってくる。ところが、しっかりと画面設計がされてる上に、テンポもいいので、まったく胸焼けすることなく、気持ちよく観れる。アクションに関して言えば、こちらが欲しいと思う物は全部ぶち込まれてたのではないだろうか。モヒカンや葉巻、女好き、クレイジーなどのキャラクター・スタディがきちんとストーリー上で活きてるのもうまい。

クライマックスで船が○○するシーンには空いた口がふさがらず心の中で拍手喝采!「でも、やるんだよ」の精神に満ち満ちた内容と良い顔の役者、一服の清涼剤となる美人も出て来て、映画ファンの胃袋をわしづかむこと必至の要素満載!さいこー!ちょーさいこー!全ての映画ファンマジ必見!あういぇ。