お前はイジリー岡田か!『スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜』

『スリーピング タイト』をレンタルDVDで鑑賞。正式名称は『スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜』というらしい。

REC/レック』で映画ファンをノックアウトさせたジャウマ・バラゲロ監督によるド変態映画。『DOOR』や『六月の蛇』と同じく、ストーカーに狙われる美女の話なのだが、こちらは完全にストーカーする側の目線で描いている。

それにしてもこの作品。よく企画が通ったなとも思うし、公開にこぎ着けたなとも思う。かなり倫理的には危うく、とてつもなくフェティッシュな世界である。アパートの管理人が好きな女の家に侵入し、寝てる間にクロロホルムをかがせて、夜ばいするだけじゃ飽き足らず、部屋にいたずらをしかけたりする――――というだけの作品。

男の欲望……と書くとかなり語弊があるだろうが、ある種の変態性みたいなものをこれでもかと詰め込んであり、この主人公の気持ちがよくわかるという人もいそうではある。企画モノのAVとかでありそうな話だが(というか、寝静まるまでベッドの下に隠れてなにがしというのは見たことある)、ハッキリ言ってしまうと好きな娘のリコーダーをペロペロみたいな、やってることがイジリー岡田の楽屋訪問とたいしてかわらない。特に勝手にハミガキを使って、それを相手にも使わせるというのは実際にイジリー岡田がやってることでもある。


今をときめくAKBにもいたずらするイジリー氏

当然、それは最初の段階であり、いたずらはじょじょにエスカレート。そこまでかしこくない主人公なので、そのいたずらがバレるのか?バレないのか?というのがサスペンスとなり、あきらかに感情移入できないが、何故か見てるこちらもハラハラしてしまうという映画ならではのマジックが中盤以降効いている。ある意味でシチュエーションムービーといえるくらいアパートから舞台は動かないが、よく考えたら『REC』もそういう映画であった。登場人物も極端に少ないため、主人公の心情をモノローグで語ってもいいわけだが、そういった禁じ手は使わず、説明的なセリフも出てこないので、この人はどういういたずらをしてるんだろうというのがよくわからず、それが後々「こういういたずらをしていたのか!?変態!!」という伏線にもなっていたりするのはうまい。

カメラはブレることなく、わりとローアングル気味にかっちり抑えるという感じ。ホラー的な演出も多いが、基本的には静かでキメカットが俯瞰になるなどシャープであり、唐突な描写などでサプライズを狙ってくる。

ぶっちゃけどういう映画なのか知らずに観たので(Twitterのフォロワーさんの今年のベストの一本という理由だけで観た)、その怒濤の展開に驚いたが、予告編がヒドくて、本編でサプライズになっているところがぜーんぶ映ってしまっている。故にこの作品に興味を持った方は予告編だけは絶対に観ないことをおすすめする。ただし、この手の映画はたいがい何かの映画を借りたときについてくる20分近くある予告にくっついているので事故的に観てしまう可能性もあるが……

スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜 [DVD]

スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜 [DVD]