早く部屋から出ろwwwwwww『皆殺しの天使』

『皆殺しの天使』をDVDで鑑賞。

昨年のベストだという人も多かったウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』の中で、1920年代のパリにタイムスリップした主人公がルイス・ブニュエルにむかって「いいアイデアがあるんです。晩餐会を開くんだけど、客がその場所から出られない」と言い、何度理由を聞いても主人公が答えてくれないというギャグがあったが、それの元になっている作品。最近シネフィルな後輩が入ってきて、おすすめされたんだけど、これがビンゴだった。レンタル店にはないんだけど、図書館にあるというので借りた。そもそも図書館で映画を借りるという発想がなかった。

上記で軽く触れたが、ストーリーはほぼなく、ブルジョアな方々が「ご機嫌いかがざんす?」って感じで、明け方までパーティーを開くんだけど、何故かそのパーティー会場から出られない/帰れないという不条理劇。

宇多さんが『エル』のことを「コメディなんですよ。恐ろしいコメディ」って評してて、そのときは「そうかな…」って懐疑的だったんだけど、これを観てその意味がようやくわかった。元々こういうシュールな笑いのセンスを持ってる人だったということだ。

とにかくこの作品は笑える。うがった見方とか、ほころびをツッコミどころとして笑うのではなく、単純に主人公たちの行動とセリフに笑う。とにかく名言連発ですべり知らずである。

映画は朝までパーティーをしているところからはじまる。最初は「なんで誰も帰らなかったんだ?」 「まぁ、その内ね、誰か帰るわよね」とか言ってるんだけど、一晩たってもだれひとり帰らない。

んで、段々おかしいってことに気づいて「もうこんな状況耐えられない!」 「子供が心配してるから帰らなきゃ!」とか言い出すんだけどやっぱりみんな帰らない。

「重い病人がいるのよ!」 「この状況を打開する努力が不可欠だ、誰か勇気を出して、この病人をここから連れ出そう」「先生とても苦しんでいるわ」 「一刻も早く鎮痛剤が必要だ、アスピリンすらないのか、この家には」といよいよやばい方向になっていって、飲む水はないわ、食料がないわの大騒ぎ。ついには水道管を破裂させたり、家の家具を破壊して暖をとったり、あげく、死人が出るわ、幻覚見るヤツあらわれるわ、夜ばいかけようとするヤツいるわ……警察まで駆けつけるわ……






――――いいから早く部屋から出ろwwwwwww



あまりよくわからないがモンティ・パイソンとかこんな感じなのかもと思った、日本でいうなら「世にも奇妙な物語」でこういう話はわんさかありそうである。ダウンタウンのコントとか好きな人は受け入れられやすい世界観かもしれない。帰らないという意味では『おとなのけんか』とか影響を受けたのかなと思ったりもした。

確かにオチのせいで、いろんな解釈が出来るようになっているし、実際部屋から出て行くヤツが3人ほどいて、その3人だけはなぜ出れたのか?と劇中のキャラクターがいうくらいなので、それなりに階級がどうしたとか、やれ人間の本性とは?みたいなのはあるのかもしれないが、これはハッキリ不条理なコメディとして見るべきだと思う。実際ウディ・アレンだってネタにしているわけだし。

というわけで、個人的には文句なしのオールタイムベスト。ものすんごくおもしろかった。そういう芸術的な感じのヤツは……って人に特におすすめしたい。東京だとデッカイTSUTAYAとかに置いてあるのかな?新潟の人は図書館へGO!

皆殺しの天使 [DVD]

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エル [DVD]

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