DOCUMENTARY OF AKBスタッフ「密着!秋元康 2160時間」

11日の月曜にBSプレミアムで放送された「密着!秋元康 2160時間」が予想以上におもしろかった。

テレビ番組の感想はTwitterでポツポツとつぶやいてそれで終わることがほとんどなんだけど(だいたい140文字で収まってしまう)、こうやってブログのエントリとして書いているということは、自分の中で語りたい部分が多かったのだろうと思う。

「密着!秋元康2160時間」というタイトルだけに、どれだけ多忙な日々を送っているかを映すのかと思いきや、なんとAKBの楽曲制作からMV制作の舞台裏にカメラが初潜入するという予想を裏切られる展開。『金スマ』がそうであるように、この手のあおりには肩すかしを喰らってきたが、今回はさすが天化のNHK。そこにウソはなく、今まで明かされて来なかった映像がてんこ盛りであり、去年のAKBドキュメンタリー映画に近いものを感じた。しかも番組は2時間という大盤振る舞いであり、CMが入らないため非常に濃密。プロデューサー陣にヲタがいるというのはファンにとってはとてつもない強みだなと思った。

さて、この「密着!秋元康 2160時間」は主に二部構成となっている。

前半は秋元康がスタッフに叱責する映像がメインで、そこにエンターテインメントとしてのAKB現象と秋元康の人となりについて第三者の目線から語られる。その人選もよくわかっていて、東京ドームライブの座談会に参加した人たちと、ライバル関係ともいえる音楽プロデューサーのつんく、さらに弟子の堤幸彦大根仁が登場し、48Gからは期待のエースである松井珠里奈が秋元康のすごさを語る。おもしろかったのが、田原総一朗がMIXについてインタビュアーに説明するところ「超絶かわいいっていうんですよ。超えるの「超」に絶対の「絶」で超絶かわいい。これをインドネシアの人が日本語で言ってるんですよ」って見てる人はみんな知ってるから!wwww

特にスタッフが怒られまくる映像は蔵出しとも言え、ハゲ湯浅や北川謙司など、ファンの中で有名なスタッフがガンガン怒られまくり、へこみまくる。インタビューでも「会議の一週間前くらいから胃が痛くなる」と言っていた人がいたが、あれじゃ当然だろうなとも思った。コンバットREC氏が前作のドキュメンタリー映画を観た際「多分スタッフとか秋元さんにものすごく怒られてると思うのよ、そういうのが見たいんだよ」と言っていたが、ずばりそれがこのタイミングで見れたということでもある。

そして後半。いわゆるAKBの楽曲がどのように制作され、どのようなスケジューリングでMVが撮られているのか?について描かれていくわけなのだが、ここがすごかった。

番組でも説明していたが、AKBのシングルには必ずMVが特典として入っている。しかもカップリング曲まできっちり制作され、それがタイプ別という形で発売されるため、多い時で5曲分のMVを撮らなければいけない。多忙なメンバー、そして収録の多いシングル曲、確かにどういう風に作られているのかには興味があったが、今回明らかになって驚かされたのが、基本的に作品はすべて締め切りギリギリ作られているという点である。あまりの制作体制のヒドさにインタビューするNHKのスタッフも絶句していたほどだ。

まず根本的な問題として秋元康が作詞をしているということがかなりネックになっているのではないかと思った。つまり作詞家というのはある意味で芸術家でもあり、答えが見えないものを作り上げてるわけで、いつ仕上がってくるか本人ですらまったく分からない。しかも驚くべきことにAKBには「この日が締め切りなので、これまでに書いてきてください」という概念がないのである。まぁ作詞してる人が創始者からしかたないっちゃしかたないわけだが……

発売日は決まっているし、なんとPVを撮影する日も決まっている。それなのにも関わらず一切の妥協を許さない秋元はなかなか完成系の歌詞を送らない。深夜まで待機し続けるレコーディングスタッフと振り付けチーム。こんなことはざらであり、PVの撮影日にも関わらず歌詞が送られて来ないことも多々あって、その日の撮影が中止になったこともあるそうだ。

そしてギリのギリで出来上がってくる歌詞。急遽呼び出される仮歌入れの歌手。曲も知らず、歌詞も初見でありながら、譜面を見ただけで完璧に歌いこなすというプロフェッショナルぶり。そしてその曲に急ピッチで振り付けを入れていくダンサー。深夜3時半くらいまで作り込み、朝の5時にはPVのロケ地へいくという超ハードスケジュール……

当然歌詞があがってこないチームもあり、PVを撮影するスタッフは歌を唄う以外のシーンから撮り始める。この日の午後に歌詞がこなければ本当にやばいと焦るスタッフだが、見事に撮影のスケジュールを調整し、ギリギリ送られてきた歌詞に合わせてその場で振り付けと歌詞を覚えるメンバー。そして急いでセッティングして日が暮れないうちにリップシンク(歌を唄うシーン)の撮影……

以前、大島優子が「いつもライブはあたふたしている。もし段取りとかがキッチリしていて、余裕があるステージの方がちょっと怖い」みたいなことを言っていたが、もうこういう光景は日常茶飯事なのかもしれない。メンバーは多忙で大変だなと思っていたが、それ以上にスタッフにおきてることの方が大変であり、秋元康も含め、全員ほとんど寝ていない。「そこで犬のうんち踏んじゃうかね?」という曲が送られてきたときにいたってはナチュラルハイになってるようにも思えた。

前半、スタッフのありえないミスにたいし激怒する秋元康が延々映されるが、後半のこの状況を見るとそんなミスもするよなと思えるくらいである。それでいて全員文句も言わず「いやーでもやっぱりプロですからね」と言い切ってる監督さんとか見ると映画の現場やテレビの世界で働く人を見ているようで、もはや尊敬の念しか出てこない。

というわけで、ややプロパガンダっぽかった気はするし、ライブの舞台裏だともっとよかったかなと思ったが、まとめんばーでもあがってたようにぼくもこの番組に関しては絶賛派である。こないだ公開されたドキュメンタリーと合わせて見るとすごく楽しいかもしれない。今年はAKBのドキュメンタリーが重要な作品になると前に書いたが、この番組も込みでひとつの作品として評価したいと思う。


関連エントリ

http://akb48matome.com/archives/51865018.html


http://akb48matome.com/archives/51865117.html

「DOCUMENTARY OF AKBスタッフ」というコピーは↑から引用させていただきました。