壬生義士伝

壬生義士伝』を読む。浅田次郎、初の時代小説。映画は見たんですよ、この間のブログに書きましたけども、映画版はまずまずでした。この小説は親父が大好きで「絶対に読め!」とうるさく言われていたので、読む事に、私ね『燃えよ剣』がすごく好きなんですよ。あれはマジに傑作だと思いますね、『竜馬がいく』は読んでないんですけども。あんなに燃えた小説は未だかつてないですな。だって『ラストサムライ』よりも、土方歳三の方がラストサムライでしたもの。んで、『燃えよ剣』が好きならば絶対に読めと言われてまして、『壬生義士伝』は新撰組の話なんですよね、浅田次郎が今更に新撰組の話を書くという時点でちょっとテンションが上がってしまいまして、読み始めたんですけども、これがおもしろいのなんの!!

新撰組の中で、あの沖田総司が『真剣に戦ったら私でも負けてしまうかもしれません(劇中のセリフ)』と語ったほどの腕利き、吉村貫一郎にスポットを当て、守銭奴と呼ばれた彼がどういう人物だったか?というのを、同僚、先輩、後輩、息子の友達などなど、様々な立場の人物が語っていく。冒頭で吉村貫一郎切腹を申し付けられる。そこから時代は大正になり、彼と少なからず親交があった人々が、次々に彼の人柄、彼が起こしたエピソードなどを語っていく。時間軸はずれ、語るエピソードも真っすぐ進まないが、この時間軸のずれが、物語に決定的な深みを与えている事は間違いない。

上巻の280ページまで読んだが、この段階ではすべてが入ってる小説である。時代小説の枠を越えていると言ってもいい、家族愛、男の生き様、チャンバラ、師弟愛、ドラマ、歴史、とにかく濃い小説なのだ。