蜘蛛の糸

そばを喰らいに行き、帰って、iTunesを整理してたら、スキマスイッチの『糸の意図』という曲が偶然かかり、良い曲だなぁと思ってなんとなく聞いてたら、これ芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をモチーフにして書いた曲なんですね。なので、久しぶりに『蜘蛛の糸』が読みたくなって、本をひっぱりだした。

実は私、この『蜘蛛の糸』という小説が無茶苦茶好きで、この物語のすべてに魅了される。様々な解釈が出来るし、短編であっという間に読めるし、その前にビジュアルですよ。

地獄に1本の糸がぶら下がってて、そこに地獄に堕ちた亡者どもが、ワラワラと群がる。

こんな鮮烈なビジュアルを想像させてくれる文章ってなかなかないですよ。元々はキリストの話とか、なんか他の作家の話をそのまんまパクったらしいんですけど、いやいや、そんな事はこの際どうでもいい!オレは芥川龍之介が好きなんだよ!『トロッコ』とか『羅生門』とか『薮の中』とかこう人間の薄汚い部分がむき出しになってる感じがすげぇ好き。

よく考えたら、オレ芥川龍之介って中学の時くらいにめっちゃ読んでたのに、なんで、好きな作家に挙げてなかったんだろう??いや、好きなんですよ、芥川龍之介。っていうか、これ絶対に映画化出来るだろ!CG使ってやれよ!いや、オレがやる!オレにやらせろ!!(笑)

蜘蛛の糸』はホントに古典中の古典だし、物語自体はホントに誰もが知ってると思うけど、今、改めて読みなおすと(ものの10分で読んだ短い!)キリストの世界観がやっぱりベースになってる。

お釈迦様が神様だとすると、生きとし生けるものは神のもとに創造され、コントロールされてる。カンダタは大泥棒で人殺しもするし、放火もするような極悪人だが、ある日、ふと蜘蛛を逃がす。お釈迦様は恐らく人間を試したんだと今になって思った。別にカンダタを助ける気なんて最初からないんだ。元々悪だとされてる人間がある日気まぐれで蜘蛛を逃がす。もしかしたら人間ってのは悪ではないのかもしれないと、地獄に極楽へ行ける糸を垂らす。

するとカンダタはその亡者どもにたいして『バカヤロー!これはオレの糸だよ!』っつって、本心を出す。結局お釈迦様は人間ってのはやっぱり欲深い、悪の塊だと思って、糸をぶった切る。ある種のテストだったんだなと。例えていうなら面接みたいな?(笑)カルネアデスの板だっけ?アレとは違うか。

蜘蛛の糸』ってあと、ドラえもんとかにも出てきそうなモチーフだいね。のび太が道具を出してもらって、それを使って欲にかられて調子こいて、痛い目あうみたいなところが、

私は『氷点』とか『浮雲』とか『人間失格』とか『山の音』とか人間の薄汚い部分がてんこ盛りになってる小説が好きで、『蜘蛛の糸』はそこに教訓めいたものもあって、なんか好きなんだよなぁ。説教されてるわけじゃないでしょ?あれに惹かれるっつーか、なんで私もこの物語に惹かれるのか分からない。世界にはいろんなお話があって『赤ずきんちゃん』とか『白雪姫』とかそういう児童文学っつーの?あるけど、ダントツで『蜘蛛の糸』が好きなんだよなぁ、やっぱり私はどこか歪んでるのかもしれない。

今日から好きな小説の中に『蜘蛛の糸』いれます。古典中の古典すぎて忘れてた。久しぶりに『氷点』とか『箱男』とか読もうかなぁ。