MOCO'Sキッチンはいつまで続くのだろう
ことのはじまりはAKBのレギュラー番組「なるほどハイスクール」を見たときまでさかのぼる。
この番組は低視聴率ということもあり、始まった当初は奥さま層を引きつけるためか、半分グルメ番組のような形相をしていた。
石塚英彦がレポーターの極意を教えたり、川越シェフがありえない組み合わせの食材でおいしい料理を作ったり*1、焼き肉や餃子の歴史をたどってみたり、あげくの果てにAKBのメンバーがふりかけを作って、それを街行くひとに食べてもらって投票してランク付けする「ふりかけ総選挙」なんてのもあったりした。
そんなヲタが見ても、一般層が見ても中途半端な内容の中、とある回でゲストにきたのが俳優の速水もこみちであった。
最初はもこみちに「AKBのメンバーの中で友達にしたいのは誰?」というお決まりの質問をしたりして、イケメン枠ならではの起用を思わせるような企画をやっていたのだが、その後がすごかった。
なんともこみちが、いきなり料理をしはじめたのである。
え?料理?いや、グルメ番組だし、俳優が料理したりするのって「チューボーですよ」とかもあるから普通じゃね?とお思いだろう。ところが、その料理をするだけの企画がまぁすごくて、言葉では言い表せないほどの衝撃を受けたのだ。
まず、もこみちが取り出したのはマイ包丁!ガンマンか!と言いたくなるほど立派な革の入れ物に入れられており、そのもこみちホルスターから引き抜かれたのは、新潟県燕市に本社をかまえる「グローバル」のオールステンレス三徳包丁と、これまたオールステンレスである「ツヴェリング」の肉切包丁にペティナイフ!この三本だけでiPodが買えてしまうくらいの値段!!
その包丁を取り出し、これから作るものをさっと紹介したら、そこからはもこみちオンステージとなる。
自慢の包丁でまな板を鳴らしたと思ったら、いきなりレッドオニオンなるものをものすごいスピードで切り始めた!!さらにクミンパウダーやチリパウダーなどを使って、ものすごく高そうな肉にすりこんでいき、切った野菜と一緒にボールに入れて、赤ワインに漬け、ライムをまな板に叩きつけて*2高い打点からかっちょよく絞り、その後は赤いシャレた容器に入った塩とこしょうをわしづかみにし、高い打点で振りかけたあと、大量のオリーブオイルをかけ、それを冷蔵庫で冷やした!
冷やしながら、次に用意するのは炒めごはん。普通の白米を使えばいいものを、わざわざこの料理のためだけにタイ米を使い、それをバターで炒め、卵を入れてかき混ぜたら、皿に移し、それとは別に漬け込んだ肉を強火で両面カリカリに焼き、一緒に入れていた野菜のマリネも焼いて、先ほど炒めたタイ米の上に肉と一緒に乗せ、その後にパクチーを刻み全体にかけ、さらに食べられる花を添え、トドメに飾り包丁でライムを花の形に切り刻んで乗せて完成――――――――その名も「ピリ辛メキシカンどんぶり」――――なんなんだ!この料理は!!
とにかくぼくが今まで見て来た料理番組の中でも群を抜いているというか、俳優が料理をしているという範囲を遥かに越えた特殊なエンターテインメントだった。使ってる道具、所作はもちろんのこと、作り上げた料理までもスタイリッシュで*3、それまで大好きだった川越シェフのスマイル付き川越イリュージョンをその場で墓場送りにしてしまったくらいのインパクトを持っていた。
そもそも彼がこの番組に呼ばれた理由というのが、朝の情報番組ZIPで「MOCO'Sキッチン」なる料理コーナーをやり、さらにレシピ本も出してるからであり、ぼくはそのことをまったく知らなかったので、その衝撃度もデカかったのだと思われる。
となると、当然ながら、オリジナルである「MOCO'Sキッチン」を見たくなるのがSAGAというもんで、それを見てからオンエアの時間に起きて見るようになったのだが、まぁ、これがホントにすごかった……あれだけ衝撃的だった「なるほどハイスクール」でやっていたのは序の口、朝飯前、日常茶飯事だったのだ。
と、長くなってしまったので、彼がMOCO'Sキッチンで何をやってるかというのはこれ↓を見ていただくとしよう。
http://blog.livedoor.jp/nicovip2ch/archives/1747387.html
ぼくと同じようにこれが衝撃的におもしろい*4と思ってる人はかなり多いらしく、実況スレではここまでの盛り上がりを見せるわけで、実際この時間帯の視聴率はかなりいいらしい*5。7:55という決まった時間に始まるのもポイントなのだろう。Twitterでもこの時間に「もこみち」で検索するとトンでもないことになる。
上記のサイトにも書かれてるように、基本的にMOCO'Sキッチンでは一般家庭で作れるような料理は出て来ない。東京近郊に住んでらっしゃる一部のハイソでブルジョアな方々が高級スーパーに行って食材を買い、おされに作るようなものばかりだ。
MOCO'Sキッチンに関する伝説は多々ある。ここ数日だけでも鶏肉を使ってダシを取ったのに、ダシに使った鶏肉は使わないという荒技を披露し、さらに「鶏肉はとりのぞきます」というダジャレをかますなどノリノリ。高い打点の塩こしょうやオリーブオイルはすでにネタにされており、実際スタジオで見ている司会者たちもワイプからつっこみを入れるほどである。
しかも最近ではもこみち自身がどういう風に見られてるのかを分かってるらしく、オリーブオイルや塩こしょうを使うときはあえてカメラにアピールするようになってきたし、MOCO'Sキッチンの本はベストセラーでさらにDVDも発売されるなど、とにかく大人気の企画なのだ。
ところがである。三種のチーズを使ってみたり、オリーブオイルを大量に使って揚げ物をしてみたりと、とにかくハイソ感ただよう破天荒な料理を作るのが魅力のMOCO'Sキッチンなのだが、最近どうも手抜きというか、レパートリーに限界が近づいて来ているように思えるのだ。
こないだはひなまつり用のスイーツというテーマだったのだが、メインはりんごを砂糖水で煮込んだだけのものだった。立派に盛りつけて、それなりの料理に仕上げたが、スタジオからは「もこみちさんは盛りつけとかのセンスがいいからそれだけでおいしそうに見えますよね」とフォローが入ったくらいで素人目にも簡単すぎるのは明らか。さらに今日作った料理もトレビスという野菜と、湯通して、ごま油をまぶしたきくらげを使う以外は普通の中華風サラダだった。
確かに毎日月曜日から金曜日までの放送分のレシピを考えるのは大変だ。それは誰にでも分かる。しかもネット上ではオリーブオイル=もこみちのイメージがついてしまってるだけに、オリーブオイル以外で攻めたいという気持ちもあるんだろうが、それにしても最近のレシピには切れ味がない。
正直、ぼくはMOCO'Sキッチンの大ファンなので、このまま続いて欲しいという気持ちもあるが、だからといってコーナーのクオリティが下がるのも困る。普通の料理をかっこよく作り続ければコーナーも持続すると思うが、ある程度料理を作る人にとって、ありきたりのメニューでは納得するはずもなく、この先MOCO'Sキッチンは続いていくのだろうか?という心配が先行してしまい、最近はまともに見ていられなくなってしまった。
というわけで、すごく大変だろうが、これからももこみちくんには独創的かつ味は保証するような料理を考え続けていただきたいと思う。ロザンの宇治原*6や佐藤江梨子*7みたく、本業を捨てて、テレビで料理を作りまくる人になればいいんじゃないかなぁ、あういぇ。
影響受けまくってグローバルの包丁買っちゃったよ。まぁ、おかんの誕生日プレゼントも兼ねたんだけどね。
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