「ニンニク入れますか?」にこめられた真意/ラーメン「イエロー」

最近イエローというラーメン屋にハマっていた。

写真を見てもらったら分かると思うが、アブラたっぷりの澄んだトンコツスープに濃いめの醤油、ぶっとい麺に大量のもやしとニンニク。いわゆるひとつのラーメン二郎から影響を受けた二郎インスパイア系と称される部類のラーメンである。

店はかなり広く、お座敷まで用意されているというのに、カウンター席しかないという奇妙なつくりで(東京のひとが見たらデッドスペースの多さにおどろくだろう)、できあがる直前に「トッピングいかがいたしますか?」と聞いてくるので、そこで「ヤサイ、ニンニク、アブラ」とコールするなど、そのインスパイアぶりは徹底されている(もちろんマシマシも可能)。

本家二郎といっしょで食べたひとの意見は賛否両論――――いや、否のほうがおおいかもしれない。知り合いのジロリアンですらあんましうまくないといい、そいつのおかげでぼくも足が遠のいていたわけだが、やはりじぶんの舌でたしかめないことには、といっかい行ったらまぁハマった。聖地巡礼としてラーメン二郎の三田本店にもいったことのあるぼくから言わせてもらうとすこしだけ上品になった二郎であり、その再現度はこれまでのなかでもピカイチ。からだにわるいのはわかっているのでなるべくガマンするようにしているが、出来れば週一でいきたいくらいである。

さて、新潟にも二郎インスパイア系のお店はあり、いままでこのブログでも紹介していたが、ここまで再現されたものはなかった。もちろん他のお店もおいしいのだけれど、イエローにかんしてはこれまでにないくらいハマっている。おかげでこれまで足しげく通っていたお店には行かなくなってしまった。

なんでこのお店だけそんなことになっているのか考えたが、ポイントはニンニクなんじゃないかと思っている。

イエローのニンニクはおそらく生ニンニクをみじん切りにしたものだ。これが全体の味の決め手になっているのではないか。風味もパンチ力も香りも他のお店とは段違い。ここまでいくとニンニクを求めてこの店にいってるんじゃないかと思うほどである。よく彼氏に無理矢理つれてこられたような女の子がニンニク抜きで注文するシーンに何度かでくわしたが、そのたびに店主が「ニンニク入れるのもおすすめなんですけど……よろしいですかねぇ」とわざわざもう一回聞き返すくらいなのだから、よほどそこにこだわりがあるのだろう。

これまでのお店はおいしいんだけど、ことニンニクに関しては業務用スーパーなんかで見かけるすりおろしたものだったり、みじん切りされているものだったり、生であることにはこだわりを見せていない。「なおじ」も「万人屋」も「ラーメン富士」も「東横」の東じろうもその辺はツメが甘いと言わざるをえない。

そこへいくとイエローは何が二郎であるのか。その本質を深く理解しているような気がする。

そんなことを考えていたら、youtubeに驚くべき動画が上がっていた。

本家二郎がここまでニンニクにこだわっているのになぜ他のお店はこれができないのか?不思議でならない。まぁ単純に原価や手間ひまの問題なのだろうが、まぁこれくらいのことは最低限やっていただきたいものだ。

というわけで、「ニンニク入れますか?」には思ってた以上のこだわりがあることがわかったのだが、まぁだからといって、二郎もイエローもそこまでうまい喰い物ではないということだけはハッキリいっておく。興味があるからといっておいそれと食べにいくと痛い目にあうかもしれない(先日後輩の職場の同僚が食べにいったらしいのだが、ひとくち喰ってそのまま残して帰ったそうだ)。ただし、ニンニクはなるべくなら入れて食べることをおすすめする。ホントにとても悲しそうに/そして申し訳なさそうに「ニンニクおすすめなんですけどねぇ……」と言うので。

ちなみにこのイエローというお店は店主の笑顔もチャーミングであり、この手のお店特有のいちげんさんおことわり感がないのも特徴。興味があるなら是非に。

ラーメンと愛国 (講談社現代新書)

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ラーメン二郎にまなぶ経営学

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