『ルイージマンション2』めっちゃ楽しいよ!!

今更だが『ルイージマンション2』にハマっていた。

そもそも『ルイージマンション』は任天堂のゲームのなかでもわりと異色の部類であり、「ホーンテッドマンション」の中を『ゴーストバスターズ』のような武器を片手に、謎を解きながら先へ進んでいくという、映画から引っ張ってきた要素が強い作品。ダッシュで走り回ったり、三段ジャンプで飛び跳ねたりするというアクションは皆無で。操作性や謎解きのシステム、洋館のなかを歩き回るという部分も含め、まったく怖さのない『バイオハザード』といってもいいくらいだった。

特筆すべきはグラフィックとプロダクションデザインの妙である。

それまでも挑戦していた光と影の演出が次世代ハードによって完璧に表現できており、ピクサーのアニメかというほどなめらかでポリゴン感もなく、舞台となるルイージマンションの作り込みは広大ではないものの、細かく設定されて描かれている。アニメ映画の美術のように、その世界においてホントにありそうだという小道具のリアリティが絶妙で、それらを掃除機でバンバン吸い込んでいくという背徳感は他のメディアでは味わえない魅力があった。そんなマンション内をあっちこっちゆっくりと歩いてまわりたいという、今までとは真逆のスタイルで作り上げられたのが『ルイージマンション』だったといえる。

それから11年……まさか続編が3DSから発売されるとは夢にも思わなかったが、任天堂は第一作目の完成度が高い故に、続編になるとやや変化球気味になる傾向があり『ルイージマンション2』もそうなってしまうのではないかと危惧した。しかし、今回は新しいことに対する挑戦と、前作の良さを徹底的に残すというバランスがとにかくお見事で、このことによって昔からのファンはおろか、新規のユーザーも取り込むことに成功。なんと100万本を突破する大ヒットとなった。

開発に携わったのはカナダの会社、ネクストレベルズゲームズ。任天堂のソフトを何本か手がけており、そこに原作者という形で宮本茂が参加。作ったものを見せてもらったり、触ったり、時には会議の段階でダメ出ししつつ、適度に舵を取り(スタッフはもっと自由にやらせてくれよと思ったこともあったらしい)、3年かかって制作。

3DS自体、64のソフトをリメイクできるくらいのパフォーマンス力はあるが、さすがにゲームキューブレベルというわけにはいかず、ややカクっとしたポリゴン感も残っている。だがそのポリゴン感すら味として、動かすアニメの一部として演出に取り込み、立体視できることもあってか、圧倒的な奥ゆきがあり、その場所を徘徊するだけで楽しいという部分は前作以上になった。

その徘徊できる楽しさをいろんな場所で味わってみたいという欲求が前作にはあったが、続編ではちゃんとそれにもこたえていくつかステージが用意されている。特に雪山のステージは猛吹雪のなか、雪をかきわけてすすんでいく感じがとてつもなくリアルで、それこそウロウロするだけで一時間くらいあっという間にすぎさっていく。

しかも『ルイージマンション2』は今時珍しく、ほぼノーヒントで直感的なプレイが要求されるのが特徴。

これは映画と一緒で巧みな演出もあるのだが、ほとんど文字が画面上にでてこないうえに、セリフもないので、画面内のルイージ同様、部屋に入った瞬間プレイヤーも「で?どうすればいいの?」と一瞬、頭が真っ白になる。しばらく熟考したのち、「ここをこういじれば、こうなるはずだから、そうしたらこういう行動を取ればいい」というひらめきが生まれ、それが当てはまったときの快感は前作を優に超える。

さらに高度なテクニックを要求されるわけではないのに難易度が高めで、わりとゲームに慣れ親しんだ人も苦労するところが多々ある。このライトユーザーからコアなファンまで全員を満足させたいというバランスは宮本茂が重視しているところだが、同じようにアニメが動いてる感じが強く、立体視に向いていた『ドンキーコングリターンズ』に比べると、早さや反射神経を問われないぶんそれは特出しているようにも思える。

なんやかんやで12時間、じっくりゆっくり遊んだのだが、それでも終わらせたくない。先を行くのがもったいない。まだまだこの世界を堪能したい……久しぶりにそんな気持ちにさせてくれるゲームである。モンハンのように一度狩りに出たら電話に出ることもままならないということもないので、夜、部屋でグラスを傾けながらごゆるりと楽しませてもらっている。かつてゲームをやっていたが、卒業してしまったなんて人におすすめしたい傑作だ。


関連動画

松本人志が『ドンキーコング64』をプレイしたときの話をしているのだが、任天堂のゲームの魅力をズバっと言い当ててるような気がした。こういう感じなのである。


引用記事→http://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/aggj/vol1/index.html

ルイージマンション2 - 3DS

ルイージマンション2 - 3DS