ファースト、セカンドの呪いから解き放たれた一枚/Weezer『Weezer(White Album)』

またしても遅ればせながらWeezerの『Weezer(White Album)』を購入。

Weezerは新譜が出たら必ず買うようにしていたのだが、仕事の忙しさにかまけて放っておいたらこんなことになってしまった。大変もうしわけない。しかもそのまえにタワレコで『Pinkerton』のアナログ盤を買って聴いてるしまつである。先に新譜買えよ。

今回もセルフタイトル(無題?)でジャケットが一色に統一される。ブルー、グリーン、レッドと続いて今回はホワイト。ところが今までと違い、確かに一色に統一されているものの、今回は海辺に立つ四人が写されている。

そのジャケットの通り、コンセプトはビーチで聴くのに適した軽いポップソング集。プロデューサーもビーチ・ボーイズみたいな感じでということで注文したらしく、それにリヴァースが応えたという形になる。それこそこないだ購入したサニーデイ・サービスの『DANCE TO YOU』やNegiccoの『サンシャイン日本海』、大滝詠一の『A LONG VACATION』同様、BREEZEが心の中を通り抜けていくような一枚で、陽光が降り注ぎ海に反射してキラキラしてるような楽曲が並ぶ。ビートルズでいうと『Good Day Sunshine』を換骨奪胎したようなモロな曲もある。

その一方、リヴァースはファーストとセカンドアルバム以上のモノができてないということを意識していたようで「なんとかあの初期の二枚の頭に戻ってもらう必要がある」とコメント。その通り、これぞWeezerなド直球のパワーポップも多数用意されており、「Do You Wanna Get High?」なんかは「Pink Triangie」みたいなメロが見え隠れしてるし、「Wind In Our Sail」は前作に収録されている「Back To the Shack」の延長線上にあるような曲で、「L.A. Girlz」は「Holiday」のようなハチロク曲。キャッチーな「California Kids」は間違いなく代表曲になるレヴェルだし、ニルヴァーナのような「Summer Elaine And Drunk Dori」など、今までのWeezerが好きなら文句なしに満足できるようなアルバムになっている。

ぶっちゃけ前作の『Everything Will Be Alright In the End』があまりにも傑作すぎたため、パッと聴いた感じはピンとこなかったのだが、何度も何度も聴いていくうちに小技が効いていて飽きの来ないアルバムだということがわかってきた。やや迷走気味だった『Raditude』や『Red Album』を乗り越えて、Weezerは本当の意味で息を吹き返し原点回帰したといっていいだろう。ファースト、セカンドあたりの良い意味での鬱屈した暗さこそないが、リヴァース・クオモの才能は決して枯渇していたわけではなかった。アジカンの後藤がTwitterですばらしすぎてずっと聴いてるといっていたが、それも納得。さすがにファーストや『Pinkerton』とまでいかないまでも『Green Album』くらいの出来ではないだろうか。ぼくのなかでは『Pinkerton』→『Blue Album』→『Everything Will Be Alright In the End』の次に好き。というか、意外と捨て曲がないのもポイント。こうしてブログに書くくらいおすすめ。

WEEZER / WHITE ALBUM

WEEZER / WHITE ALBUM