2008年のM-1でNON STYLEが優勝した理由。

ネットやらニュースやらでも、出尽くしたので今更の感はあるが、M-1王者のNON STYLEよりもオードリーの方がおもしろかったという評価が非常に目立つ。実際mixiでもオードリーのキーワードの方が多かった。私の周りでもオードリー推しの人が多く、妹も「オードリーのファイナルの選挙演説のネタは10回以上見た」と言ってたし、ヒラシタもファイナルのネタを推してた。私もそれについては同意見である。

個人的な感想を言えば、2008年のM-1でおもしろかったのはオードリーだ。私はレッドカーペットもエンタの神様も死ぬほど嫌いなので、まったくの予備知識が無い状態で見たが、春日という強烈なキャラのツッコミがボケ化していて、それに対して若林がさらにつっこむという、さまぁ〜ずの三村に笑い飯を足したようなスタイルが新しかった。さらにオードリーがすごかったのは笑いの多彩さ。スカシ、ノリつっこみ、顔芸、「ウィ」という単発のギャグ、ピッチャーに例えるならば、変化球の球種が多彩。さらに春日が噛んだ後のフォローが完璧で、なんでオードリーが敗者復活からだったのか不明だ。大竹まことがコメントで「こんな漫才見た事ないねぇ」と言ってたが、細かく分析すると、今までにないスタイルだった事が分かる。

さて、ファイナルに行った3組だったが、彼らの中で優勝したのはNON STYLEだった。最後に勝ち残った3組の中で飛び抜けた差はなかったように思える。島田紳介も「全員技術はあるから、後は審査員の好みになる」と言ってた。だが、その中でも優勝したのはNON STYLEだった。

じゃあこの3組の差はなんだったのか?と思った時に、ナイツの塙が松本の「4分間の中に何個笑い入れてんねん」というコメントに対し、「37個くらいです」と答えたのがパッと思い浮かんだ。http://news.livedoor.com/article/detail/3949642/この記事を書いてる人もちらっと言っているが、スピード感と笑いの数というのが、やはり漫才でのおもしろさに繋がるんじゃないかと。

ナイツは37個で多いと言われたが、果たして、他の2組はどうだったのだろうか?という事で、数えてみる事にした。あの記事書いてるヤツも信用ならなかったし。

ナイツは寄席で鍛えたというだけあって、テンポはゆっくりしている。いとこい師匠を思わせるが、個人的にナイツに感じるのは初期のダウンタウンの漫才だ。初期のダウンタウンはテンポがやたら遅いが、それを見事に自分のスタイルとして昇華した。それは後世に対して悪しき風潮を生んだが、ナイツの漫才はこのスピード感を完璧に継承している。そんなナイツは1つのネタの中に30個の笑いを入れていた(2度のツッコミは1とカウントした)

次に最高得点を稼ぎだしたオードリー。オードリーの場合、「ウィ」や「キャー!」などの奇声はカウントせずに、純粋にボケに対するツッコミで数えたが、その数はなんと、40個で、多いと言われていたナイツよりも10個上回る。

そして、NON STYLEだが、なんと決勝での笑いの数は50個だ。NON STYLEの場合、自分を戒めるという動きと共にボケをさらに重ねるという事をしていたが、単純にテクニックや間と関係なく、笑いの数だけ取るとNON STYLEが1番多かった。

さらに言うとNON STYLEはなんと決勝とファイナルでは漫才のスタイルが若干違っていて、その違いが、優勝につながったと思われる。

ファイナルに残った3組は1つのネタに詰め込んだ笑いの数が多かったのだが、その中でも飛び抜けていたのはNON STYLEだったのだ。だからおもしろいか、おもしろくないかの基準だったら、笑いが多く起こった分、彼らが優勝するのは当たり前であり、そこに文句を言うつもりは一切ない。

ただ、オードリーは笑いの数こそ、少なかったが、一発の重みと多様性があった、それがM-1後のネットでの評価だったんだろう。