この期におよんで希望だと?

20日
手塚治虫の『奇子』を読む。

奇子(1) (手塚治虫漫画全集)

奇子(1) (手塚治虫漫画全集)

「大の手塚ファン!」と胸張って言えるほど読んでないけど、その中でもかなり好きなマンガで、三浦綾子の『氷点』がバイブルな私としては、そのテイストに近いという事で、読み返してもやっぱりおもしろかった。戦後直後の混乱の中で、殺人と近親相姦を繰り返す天外家の悲劇的なストーリーは、SF的な要素が無いにしろ映画化は絶対に不可能。10年前くらいに新潟で女の子を9年間拉致した事件があったが、『奇子』は23年間も女の子が監禁されてしまうのだから驚く。人体破壊描写といい、その辺も手塚治虫の暗黒面なんじゃないかなぁ。

私の好きな手塚マンガは『どろろ』『紙の砦』『ルードウィヒ・B』『奇子』なんだけど、妹も『ルードウィヒ・B』と『奇子』が好きと言ってた。「『三つ目がとおる』とかは読み返そうと思わないけど、『奇子』は読み返したくなる」らしい。

20日
古本市場で『おぼっちゃまくん』の8巻を買って帰り、しりあがり寿の『方船』と『ジャカランダ』を読む。

方舟

方舟

ジャカランダ

ジャカランダ

『方船』も『ジャカランダ』も両方ストーリーは一言で説明出来るくらいシンプルなもの。ただ、前者は「世界の終わり」を描いているのに対し、後者は「再生」を描いている。

『方船』はある日全国に大雨が降る。最初は雨が止まないねぇとのんきに過ごしていた人達も、あまりに雨が降り止まないので、次第に焦り始める。雨は勢いを増す事もなく、静かに静かに降り続き、やがて、東京を飲み込んで行く。人間ドラマも無ければ、物語に起伏も無い。ひたすら雨が降り続け、そして世界が終わって行く状況を淡々と描き続ける。

『方船』は静かに静かに雨が降る。そして、ゆっくりゆっくり人々が狂って行き、ゆっくりゆっくり死んで行く。『方舟』にはそれしかない。それだけである。黒沢清の『カリスマ』や『回路』『叫』に似た世界の終わりだが、マンガならではのスケール感で東京が沈んで行く。

そして姉妹編と言うべき『ジャガランダ』は真逆で、ある日、地面から葉っぱのようなものが生えてる事に近所の人が気づき、それをTVが取材したり、見物人が訪れたりすると、その植物が猛スピードで成長していき、東京中に根っこを張り巡らせる。根っこはガス管を喰い破り、さらにタバコの火が原因となり、大爆発、東京が火の海になるというマンガだ。

『ジャガランダ』には人々の阿鼻叫喚と東京が破壊されて行く描写しかない。あとがきで書いてあるように、東京が大火事になって破壊されていくシチュエーションだけが延々に続き、それがなんと300ページにも渡って描かれて行く。

私は「○○だけしかない」という作品が好きだ。例えば、去年だったら、怪獣が暴れ回る描写しかない『クローバーフィールド』とか、人がぶっ殺される描写しかない『ランボー 最後の戦場』など、いろんな要素がまんべんなく入ってるのも好きだが、何一つが特出している作品も好きだ。

そして、世界が破壊されて行く描写が多い作品も好きである。この世の終わりというか、阿鼻叫喚、地獄が展開されていく作品もとにかく好き。『クローバーフィールド』もそれだけしかないから好きだし、世間的に評判が悪い『スチームボーイ』もクライマックスでこれでもか!と破壊するから好きだ。というか『AKIRA』も『童夢』も脚本を担当した『メトロポリス』も破壊が目立つという話も。映画は観てないが、望月峯太郎の『ドラゴンヘッド』の冒頭、映画だと『マッドマックス2』や『WALL・E』の冒頭なんかもディストピアな世界が出てくるから好き。

そういう破壊描写というか、ディストピアな世界が死ぬほど好きな私にとって、それしかない『方舟』と『ジャカランダ』は傑作と思う。映画化出来るような題材だと思うが、もし映像化したら、かなり実験的な映画になるんだろうなぁ。

20日
仕事中に妹からユニクロレトロゲームのTシャツが売ってたんで、買い込んで来たというメールが来る。魔界村もあったらしいのだが、全部売れたとかで、店頭にはない。。。。魔界村のTシャツが欲しいよぉ。

帰って、二着も妹からプレゼントされた。ディグダグボンバーマンのTシャツ。ドット絵がナイス。

21日朝
10時にイオンのユニクロに行くが、ほとんど売り切れたようだ。売ってる事知らなかったなぁ。

22日昼
ヒラシタの家に行く。『カンフーパンダ』のブルーレイを買ってた。うらやましい。あういぇ。