9mmの『Revolutionary』は今までの不満が一気に解消された力作だ!

9mm Parabellum Bulletのニューアルバム『Revolutionary』を聞いた。

Revolutionary

Revolutionary

全二作に比べると楽曲に派手さはないが、その代わりアルバム一枚としてのトータルバランスがとても良く、全10曲の内、オープニングが1分に満たないショートトラックになってたりとかなりタイトな仕上がり。無駄が一切ないという意味で一番何度も聞けるアルバムになってると思う。

9mmと言えば、メタルチックなリフに歌謡曲やGSっぽいメロを付けて、しかもそれが歌モノじゃないという独自性を持ったバンドという印象があって、だからぼくは初めて聞いた時にミッシェルとイエローモンキーがパッと浮かんだ。パッと浮かんだと書いたが、だからと言ってその2つのバンドからはまったく影響を感じない。

『Revolutionary』を一曲目から聞いてまず驚かされるのは、その9mmの武器が全部封印されてることだ。簡単に書くと『Black Market Blues』のような9mmらしさは微塵もない。故にこれまでのファンはちょっと戸惑うんじゃないだろうか。

初期からあった楽曲をリアレンジして収録したりしてるらしいが、基本的に4曲目まではメロもパキッとしておらず、リフから派生したような曲は見当たらない。ビルドアップしたサウンドはかなりダウナーで、ブレイクを駆使した音の厚みで聴かせることを重視している。

ところが中盤のシングル2曲を過ぎた残りの4曲で9mmらしさが全開になる。特に『光の雨が降る夜に』は珠玉の出来。ジャズからのアプローチで聞かせる『キャンドルの灯を』も素晴らしいが、やはりタイトルチューンの『The Revolutionary』は特別な光を放つ楽曲になっている。

ぼくは9mmに関して言うと、アルバム一枚を振り切って作っても問題ないと思っていて、今までアルバムを聴いてて、いわゆる箸休め的な楽曲になると萎えてしまうことがあった。『Termination』だったら『砂の惑星』とか『Butterfly Effect』がそれに当たり『VAMPIRE』だったら『悪いクスリ』や『次の駅まで』がそうだ。

奇しくも、今まで出して来たアルバムは、全12曲収録。だからこういう曲を削って、全10曲くらいにして、突っ走ってタイトに終わればいいのになぁとずっと思ってて、それが9mmに対する不満だったのだが、『Revolutionary』では、その不満が一気に解消された感じだ。

しかも、それらの曲を削っただけに終わらず、攻撃的な曲の中で色分けがしてあって、前半と後半でハッキリ楽曲の質を変えたのは今までの9mmには無かったことだ。楽曲に派手さは無いと書いたが、それは『Black Market Blues』のようなキャッチーさが無いというだけで、実際アルバム曲である『Invitation』はシングル曲である『Cold Edge』に引けをとってない。

ということで、サウンドをビルドアップさせただけじゃなくて、ちゃんとトータル的にバランス良く仕上げた『Revolutionary』は好き嫌いは別にしてもダントツの最高傑作だと思う。ぼくはおすすめです。あういぇ。