クリスマスに地獄の猟犬がつきまとう

クリスマス・イヴですねぇ。恋人たちはとても幸せそうに手をつないで歩いているからねーですよ。

最近番組を見てると「一足早いメリークリスマス!」なんて言ってますけど、あれなんなんですかねぇ。クリスマスに一足早いってあるんですか?だって、一足お先にあけましておめでとうなんて言わないでしょう。ああいうのをなんとかしてほしいもんです。

さて、今日はクリスマス・イヴということでおすすめのクリスマスソングを紹介しようと思います。フリートウッド・マックの“Hellhound on My Trail”です。


地獄の猟犬がつきまとう(超訳)


オレは動き続ける
オレは動き続ける
地獄の猟犬がつきまとうから


今日がクリスマスだったらな
今日がクリスマスだったらな
まぁ明日はクリスマスイブだけど
(セリフ)待たなくてもその日は来ちまうけどな


オレは動き続ける
オレは動き続ける
だって地獄の猟犬がつきまとってるから

この曲はロバート・ジョンソンのカバー曲ですが、歌詞が原曲と違っていて、本来クリスマス・イヴにならなければいけないところがクリスマスになっています。さらにもっと長い曲なのに歌詞を大幅にカットして、クリスマスのくだりを強調しています。それが証拠にエリック・クラプトンもこの曲をカバーしてますが、こちらは原曲に忠実です。

元々この曲は南北戦争以降の黒人の状況を唄った歌だと言われてます。『俺と悪魔のブルーズ』を読むと分かりますが、歌うたいとしてギターを持ちながら放浪してただけでも黒人は殺されかけるくらい危険な目にあっていました。

「地獄の猟犬」とはそういった自分の身にふりかかる「危険」のメタファーだったのでしょう。歌詞を調べたら「俺は逃げ続ける」と翻訳している人もいたくらいです。

さて、なぜフリートウッド・マックがこの曲をこのように省略したのかは分かりませんが、この場合ですと、「世間じゃクリスマスって騒いでるけど、俺は生活のために働かなきゃいけない、なんつっても労働者階級だからな」と言ってるように思えて来ます。まるで「ヨイトマケの唄」クリスマスバージョンです。クリスマス・イブとクリスマスを逆にしたのも「今日がクリスマスだったら忙しいのも今日で終わるのに、まだクリスマス・イブすら来てねぇ!」なんていう魂の叫びに聞こえて来ます。イギリスのバンドであるということもあいまって、なおさらそれを感じさせます。実際、元の曲もワークソングと言われたりしているので。彼らなりのブルーズ解釈だったのでしょう。

というわけで、書き入れ時という意味での「クリスマス」に働くみなさんはこの曲を聴きながら頑張ってください。オレも頑張りますので……あういぇ。

俺と悪魔のブルーズ(1) (アフタヌーンKC)

俺と悪魔のブルーズ(1) (アフタヌーンKC)

参考にしたエントリ
http://blogs.yahoo.co.jp/cyerry0405/archive/2010/4/13