ZAZEN BOYS4

ZAZEN BOYSのニューアルバム『ZAZEN BOYS 4』をがっつしと聞き込む。結構聴いてから記事を書こうと思っていたが、音的にも楽曲のクオリティとっても、文句なしの最高傑作と言っていいだろうなぁ。つーか、これ作ったら、次ホントにどうなっちゃうの?感じだし、ここまでバンドが急激に進化し続けると怖いよ、階段3段飛ばしくらいで駆け上がって来てる、ロックの高みまで。

1枚目は自身のスタジオで録って向井秀徳自身がミックスして出したんだけど、妙に音が悪いというか、やっぱり限界があって、それで2枚目、3枚目はちゃんとしたスタジオで録るようになって、んで4枚目にして、NUMBERGIRL時代のプロデューサーであるデイヴ・フリードマンに依頼すると、アメリカレコーディングだし、自分でレーベルも運営してるから、金ないかと思ったけど、そうか、ZAZEN BOYSアメリカレコーディングが出来るようになったか。よかった。よかった。

ZAZEN BOYS 4』は全9曲、前回よりもキャッチーな分かりやすい曲は減ったものの『Pink Heart』だとか『Lemon Heart』みたいな明らかな捨て曲は無くなり、ぐっと、いい曲だけを集め、その曲数には潔ささえ感じるし、目標にしているレッドツェッペリンに法って、4枚目は9曲で行くというような事も感じられる。(ZAZEN BOYSは目標にしているレッドツェッペリンと同じようにアルバム名をバンド名が同じで、さらに2枚目からは、2、3と名付けており、レッドツェッペリンの4枚目は無題だが、通称4と呼ばれており、ZAZEN BOYSの4枚目と同じように9曲入りである。)

ZAZEN BOYSになってから向井秀徳のボーカルが全面に出始め、言葉そのものをがつんと聞き手にぶつけるようになってきたんだけど、今回はよりもっと全面に出て来てるというか、シンセを使った曲以外はダブっぽいミックスをスパイス程度にして、もっとエッジが効いてるサウンドになり、音のクオリティは郡を抜いて良い。NUMBERGIRL時代だとギターの曲でも、もっともっとダブっぽい感じだったのだけれど、そこでZAZEN BOYSとの違いを明確にさせる。

変化で言うと一番はギターの音でテレキャスターなのは変わらないのだけれど、ジャキーンっていう音から、もっと柔らかい歪みの方にシフトしていて、カッティングを多様する曲が増えたからなのか、ギターの音がすごくファンキーになっている。

私は『ZAZEN BOYS 3』の時のメンツが一番好きで、町田のヤンキーこと日向っちが抜けてしまったのは痛い。ところが、新しいベースは音がボンボンいう感じで、ちょっと専門的な事は分からないのだけど、ベンベンベケベケからボンボンという音になったというか、音がもっと丸くなったというか、そりゃ弾いてるヤツが違うんだから音が違って当然なんだけど、もっとブーストが効いてるというか、そういう専門用語分かんないから、ホントにあれなんだけど、またその音がいいんだよね。ドラムがアヒトイナザワから柔道二段松下に変わったのは大正解で、だからこそ『Riff man』とか『usodarake』のテイク2とか出来たりしたんだろうし。とにもかくにもリズム隊の面で日向っちが抜けた穴は問題ないように思える。でもオレ日向っちのパワフルなステージングが好きだったんだよなぁ、、、、

シンセリフと打ち込みメインの『Asobi』というイントロダクションから『Honnoji』『Weekend』『Idiot Funk』『Memories』『Fureai』『Taratine』という6曲の完成度が高すぎて、聴いてる側から、こんなにクオリティの高い曲をこんなに並べていいのか?という感じ。
オアシスでいうところの『モーニンググローリー』レベル。『The Drifting / I Don't Wanna Be With You』というタイトルに変わったシングル曲は、なんと10分以上の大作になり、アレンジもがらっと変わっている。『Asobi』と同じようなシンセメインの『Sabaku』で締めくくるなど、アルバム1枚の流れとしても完璧。しかも『sabaku』はZAZEN BOYSには珍しい歌メロの曲である。

あ、言ってなかった、ZAZEN BOYSメロディが存在しないバンドなので、歌が入ってる曲っていうのはホントに珍しいのである。

私は元々熱狂的なナンバーガール信者だったので、ZAZEN BOYSは今ひとつ入って行けなかった感があり、それで『2』も買ってなかった体たらくだが、『Himitsu Girl's Top Secret』という曲のかっこよさにしびれて、シングルを買い、アルバムを聴き、今ではナンバーガールよりもZAZEN BOYSの方が好きだ。むしろ、ZAZEN BOYSは日本でもトップクラスのバンドである事は私が言うまでもないだろう。

とりあえずZAZEN BOYSを知らない方はこの曲からどうぞ。『Himitsu Girl's Top Secret』↓

向井秀徳本人は

エキセントリック・エイトビート&7/4ビート&5/4ビート&16ビート・ツェッペリン・ロックグループ"ZAZEN BOYS"のニュー・ダンス・ミュージック

と名付けてるが、聴けばそれも頷ける最高峰のロックミュージック。


ニューアルバムから『Weekend』

あとZAZEN BOYSがすごいのは、これだけ複雑なブレイクと変拍子を使ってるのに、レコーディングはオーバーダビングなしの一発録り。どういう事かというと、マイクに向かって、メンバーが、いっせーのせ!で録る。まぁスタジオでライブするみたいなもんだ。だから、ライブでもCDと同じクオリティ、もしくはそれ以上、さらにライブによって、曲が進化していくので、ライブそのものがもはや大道芸みたいな、職人技になってしまっている。

そのいい例がこちら↓

ZAZEN BOYSの音楽性は、バンドのグルーヴ感を全面に押し出すという事を突き詰めたものである。その為に、メロディは一切不要。だが、向井秀徳には言いたい事があるので、そこに言葉を羅列するようになった。この音楽性は最初聴いた時に、拒絶反応を起こしそうになるが、初めて聴いて、その音楽性の意味が分かる人は実は少なくて、私も全然最初は何がやりたかったのかわからなかったが、ZAZEN BOYSがどういう事をやろうとしてるのかというのを、バックボーンを知らずに聴いただけで当てたヤツは私の周りでは、カナデフウビの翔と、あと、オフ会に行く時にお世話になってるいとこだけだったりするので、この2人の音楽的なセンスは信じざるを得ないなぁ、と思ってるんだが、まぁZAZEN BOYSのロックっちゅーのは絶対に売れるわけないんで、ZAZEN BOYSが好きだって人を地道に探すとしようか。