ツェッペリンのリマスター盤を聴いた
レッド・ツェッペリンの「2014リマスター/デラックス・エディション」を全部聴いた。二枚組のヤツ。
買おうかどうしようか迷っていたところ、オアシスのリマスター盤を買った後輩*1が「金ないのにツェッペリンのリマスター盤買っちゃいましたよー」とメールしてきたので、その後輩の家で視聴会をすることになった*2。うーむ。持つべきものは同じ趣味人か。ありがたい。
先に書いておくが、ぼくは熱心なZEPマニアではない。10年前に出たDVDと『祭典の日』と『IV』のリマスター盤(かなり前に出た紙ジャケのヤツ)と「II」、「III」、「フィジカル・グラフィティ」、「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」のアナログ盤を所有していて『最終楽章』と『BBCライブ』は聴いておらず、あとの作品は全部レンタルしてiTunesにつっこんである“程度”に好きである。
最初に「II」のリマスター盤を聴いた。ハッキリいってそこまで目の覚めるような澄みきった音という風には感じなかった。実際買った後輩も違いがよくわからないと言っていた。ところが「I」をかけたらこれが非常に素晴らしかった。ドラムが前面に押し出されており、アコギもクッキリしていて、ハーモニカの音なんかは「目の前で吹いてるのか?」と錯覚するくらいで、晴れたようなくっきりした音像になったなと感動した。
――――ところが、よくよく考えたらそれはZEP自体をちゃんとしたオーディオで聴くというのが久しぶりだっただけで、そのあとに旧盤(前にリマスターされたヤツ)と聴き比べたらそこまで大きな差異はなかったことがわかった。これがオーディオカルトというヤツなのだろう。人間というのは錯覚しやすい生き物である。
もっといえばiTunesに入れてiMacのスピーカーからかけると、もはやどっちがどっちだが聴きわけるのはほぼ不可能。「ちょっとは音圧が違うかな………なんかクリアかな……」くらいには感じるが、それこそオアシスのリマスター盤ほど「おおっ!音が澄みきってる!」とは言いがたい。そりゃそうだ。だって今回のはジミー・ペイジが自らリマスターしなおしただけであって、前に何回かリマスターされてんだもん。渋谷陽一氏がペイジ本人に「今回のリマスターは素晴らしいです『胸いっぱいに愛を』が新曲みたいに聴こえました!」って言ってるけど、当の本人も「だろ?」といいつつすぐさま未発表の音源のことを話したりして噛み合ってなかったりする。一応ヘッドホンで聴いたり、イヤホンで聴いたり、SHM-CDとも比較してみたが、あんまり変わらないという印象は最後まで拭えず、最終的にアナログ盤までかけてしまった始末*3。
じゃあ今回のリマスター盤は買わなくていいのか?と聴かれれば「NO」と答える。その理由はコンパニオンディスクと銘打たれた二枚組の二枚目の存在。これが非常に素晴らしいのである。
言ってしまえばビートルズの『アンソロジー』であり、録音素材でいえばあちらのほうが数は上なので「これ完成版でもいいじゃん!」っていう驚きは少ないが、それでも聴き応え充分でミックスも違っていてやたらと新鮮に聴こえる。むしろ今ではこっちばっかり聴いてる。ペイジは今回のリマスター盤を作るのに二年かかったといっているが、それはこのコンパニオンディスク制作のための年月じゃなかったのか?と言いたくなるくらいだ。
「I」はレコーディングに30時間しかかけられなかったので当然別テイクは存在せず、コンパニオンディスクは未発表のライブ音源となるが「II」に収録された代表曲の数々の別テイクやバージョン違いはおもしろく聴けた。しかもZEPはメロディが際立ってるわけではなく、トラック自体が素晴らしいのでインストになったとしてもロックとして成立してしまうのがすごいなと改めて実感させられた。特に「III」のコンパニオンディスクは飛び抜けて素晴らしく、それまでぼくは「III」がいうほど好きではなかったのだけれど*4、これは最後まで楽しく聴けた。むしろこれからぼくは「III」のオリジナルではなく、コンパニオンディスクのほうを聴くかもしれない。
先ほど書いたようにぼくはZEPマニアではない。こんなこと書くとぶっ飛ばされるかもしれないがZEPに関しては5枚目以降の方が好きで(もちろん4枚目までも素晴らしいのはわかったうえで言っている)、ファンの間では賛否両論作とされている「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」がムチャクチャ好きなので、こちらのリマスター盤の方を楽しみにしている*5。というか、このコンパニオンディスクのおかげで楽しみになったと言っていいだろう。今回「III」までしか出さなかったのは前フリで実際「IV」からが本番というくらいクオリティが高いのかもしれない。
てなわけで、長くなってしまったが、今回のリマスター盤。二枚組で発売されるものに限り「買い」だと断言できるので、購入に迷っているならば思い切って買ってみてはいかがだろうか。
まぁ、ぼくとしては音質がどうしたこうしたってことよりも、こうやって改めて大々的に再発売することでレッド・ツェッペリンというバンドの話題で世間が盛り上がることが嬉しいんだけどね。
関連エントリ
レッド・ツェッペリン<2014リマスター/デラックス・エディション>
- アーティスト: レッド・ツェッペリン
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2014/06/04
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