とくダネ!のあの曲

最近、スタイル・カウンシルの『シャウト・トゥ・ザ・トップ』を無茶苦茶聞いてる。

このyoutubeを観ていただければ分かるが、「とくダネ!」でおなじみの曲だ。というか、だいたいの人が「ああとくダネ!の曲だね」というのがちょっと悲しい。これは『さらば青春の光』の影響でモッズコートにこだわりをもって、わざわざM-51のモデルを着てるのに、「おお『踊る大捜査線』の青島だ」と言われるというのと一緒だと思う。でも、わざわざ、それを説明しなおすのがめんどくさいので、まぁ、良しとしよう。

さて、スタイル・カウンシルのこの曲。とくダネに使われてるので、とくダネのBGMという事でスルーされてるのかもしれないが、これ無茶苦茶名曲だと思う。この曲だけ聞くと、オレら世代、そして、ちょっと下の世代は「キンモクセイの『二人のアカボシ』みたいだね」というはずだ。キンモクセイも魅惑のシティポップスという触れ込みでデビューしてるので、もちろん意識してるのだろうけど、日本でシティポップスと言えば佐野元春で、その佐野元春スタイル・カウンシルの換骨奪胎だという事は有名だ。そういう意味でスタイル・カウンシルは80年代を代表するバンドであった。だが、なぜスタイル・カウンシルが衝撃で、このようなスタイルになったのかというのをちょっと説明しないとこの感動はなかなか伝わらないと思う。

スタイル・カウンシルのリーダーであるポール・ウェラーは元々ザ・ジャムのメンバーだ。ザ・ジャムはパンク/ニューウェーブの中で、スモール・フェイセズにがっつし影響を受けたモッズバンドだった。ASIAN KUNG-FU GENERATIONがギターロックシーンを評して「ブリットポップに影響を受けた僕らみたいなバンドがどんどん出て来てるって事なんでしょう」と言ってたが、まさにそれがザ・ジャムだった。パンク一辺倒だったシーンにスモール・フェイゼズの魂を受け継いだザ・ジャムはモッズへの原点回帰を提供した、彼らの音楽は90年代にミッシェル・ガン・エレファントが売れたように受け入れられたが、ザ・ジャムポール・ウェラーの音楽的嗜好の変化により、3年活動して解散してしまう。そして、ポール・ウェラースタイル・カウンシルというバンドを結成するが、その音楽性は当時のザ・ジャムのファンには衝撃だったであろう。オレら世代で言うところのブラーの5枚目みたいなもんだ。言ってしまえば、ファンキー・モンキー・ベイビーズがナイトメアになったくらいの衝撃だったのだ。もちろん当時はその急激な変化にファンはとまどったという。そりゃそうだ、モッズが急にソウル/ファンク、ポップスになったら、なんじゃこりゃー!となるはずだ。当時は酷評もされたらしいのだが、それでもスタイル・カウンシルの音楽はエヴァーグリーンだし、再評価もされたので、やはりクオリティの高い音楽を生み出してたという事だろう。

フリッパーズ・ギター佐野元春キンモクセイに連なるおしゃれなポップスは間違いなくスタイル・カウンシルが確立したものだ。1枚目の『カフェ・ブリュ』そして2枚目の『アワ・フェイバリット・ショップ』を聞けば分かるが、ホントにおしゃれなカフェで流れるようなフレンチなテイストのポップスは今聞いても抜群のクオリティで、おしゃれなものがもてはやされたバブリーな当時の日本で人気があったというのは頷ける(ウィキペディアによると本国よりも人気だったとか)。リアルタイムでないので、どの程度日本で人気があったのかは良くわからないが、ただ、ツタヤに言ってもザ・ジャムはまったくないのにスタイル・カウンシルはレンタルでたくさんあることから、その人気は推測出来る(80年代のコンピやTVのコンピでもよく名前出てるし)

その中でも『シャウト・トゥ・ザ・トップ』は飛び抜けたエヴァグリーンだ。これからも永遠の輝きを放ち続ける楽曲だ。まるで不死鳥のようなイメージすらある。「とくダネ!の曲だね」と敬遠してる人はとりあえずスタイル・カウンシルの『カフェ・ブリュ』を聞く事をおすすめする。無茶苦茶すげーからね。あういぇ。