今更ながら『刑事コロンボ』シリーズにハマっていた。
BSでの再放送やディアゴスティーニの販売などでふたたび盛り上がりをみせている『コロンボ』だが、なんとなく録画して観た回がエド・マクベイン原作の誘拐モノであり、全然コロンボ関係ねぇじゃん!と思って検索したところ。それはファンの間では失敗作として有名であるということが分かった。
それが逆に火をつけてしまったというか、小生『古畑任三郎』のマニアであり、コロンボを数話観てやめてしまった身としては今がいいチャンスかもしれないと、Twitterでおすすめを教えてもらいながら大量にコロンボを借りてきて片っ端から観ていた。
今、改めて観ると、いろんな監督が挑戦的な演出をしていることが分かったし、何よりも『古畑』がいかに『コロンボ』に影響されて作られていたか!
そこで今回は代表作とされるものを中心に観てきた作品の感想を『古畑』とからめながら書いていく。これから観ようかなと思ってる人の参考になればこれ幸いである。
『二枚のドガの絵』
美術の鑑定士がある人と共謀して…というのと、指紋がどうしたというくだりはそのまんま古畑の『動機の鑑定』と『黒岩博士の恐怖』に影響を与えてるのかなと思った。
『溶ける糸』
王道コロンボの展開。しかし、ラスト5分で捜査を誤り、どうなるかと思ったところ、最後の最後1分あるかないかで大逆転して終わる。コロンボは終わり方が秀逸なものが多いですね。
『断たれた音』
チェスの大会を控えたホテルで殺人事件が起こるってことで否が応でも古畑の『汚れた王将』を彷彿とさせるわけだが、内容的には『矛盾だらけの死体』にかなり近く。三谷幸喜がいかにコロンボフリークだったかが伺える。しかし、話としてはコロンボの方が一枚も二枚も上手。
『別れのワイン』
最高傑作と名高いが、それも納得の一品。ワイナリーを経営している兄とそのワイナリーを売ろうとする弟。その世界では「今年の人」に選ばれるくらいの偉人なのに弟の友達には「得体の知れないことに金をつぎこんでる変人」といわれるのがオタク的な発想であり、オレみたいな人間にとってはマジ泣ける。
『野望の果て』
これはちょっと褒められないかな。コロンボの犯人の追いつめ方はゾクゾクするわけだが、肝心のオチが……まぁ他のがクオリティ高すぎるからすこし劣るように見えるわけで…議員余計なことしすぎ。
『構想の死角』
スピルバーグ監督のヤツ。古畑のラストダンス、笑うカンガルー、笑える死体にそれぞれインスパイアを与えた作品。一回観てるはずなのに覚えておらず、なぜだろうと思ったら、話もさることながら、オチがフワっとしていて、いつもの切れ味がなかった。
『逆転の構図』
方法論としては『指輪の爪あと』と一緒。ただ、今回はとてつもなく手の込んでる計画殺人。しかも狂言誘拐付き。最後の最後でああっ!となる展開はやはり見ていて気持ちがいい。その身なりから浮浪者に間違えられるシーンに萌え。
「祝砲の挽歌」
動機があまりハッキリしないという状態で事件を捜査するというのがおもしろかった。あげく犯人が「命を狙われていた」というていであり、さらに誇り高く、一切のウソやごまかしをしない人物というのもよい。個人的にはリンゴ酒密造事件の方が気になったが。
『パイルD-3の壁』
傑作だと思うけどよくわからないシーンもいくつか。なんでこんなシーンいれたんだろうと思ったら、なんと監督がピーターフォーク自身だった。事件の肝は「死体をいったいどこへ隠したか?」であったが、空港へ向う途中でクラシック聴いたりと犯人ヘマしすぎ。あとクラシックとカントリーじゃ水と油でさぁってセリフあったけど、あれはガイシャがカントリーマニアでクラシックなんか聴かないっていう供述があったからで音楽自体が好きならなんでも聴く可能性だってあるのに。
『黒のエチュード』
カサベテス犯人のヤツ。珍しくコロンボが執拗以上に犯人を追い回し、攻めて攻めて攻めまくる。故に最後の最後が弱い。逆にいえばそれ以上に決めてがなかったということでもあるが。古畑の「絶対音感殺人」にも影響を与えた一作。
『殺人処方箋』
多分パイロット版。コロンボがどういうキャラクターなのかというのをすべて出し切ってしまってる。これ以上ないってくらいに。最後の最後で共犯者を利用するというのはやりすぎな気もするが、さすが一回目とあって展開や謎解きなど気合い入りまくり。
『死者の身代金』
『殺しのファックス』に影響を与えた一作。パイロット版と基本的な構成は一緒だが、一般市民に警察の情報を流しすぎてやないかい。そういえば犯人が女性というのをはじめて観た気がする。これまた話が凝ってておもしろかった。
『歌声の消えた海』
メキシコに向かう豪華客船の中で殺人事件。景品で当たりたまたま乗っていたコロンボがメキシコに着く間にこの事件を追う。権限もなければやることが限られてるなかで犯人を追いつめていく様は圧巻。かなりおもしろかったが、なんと監督がベン・ギャザラ!!
『ビデオテープの証言』
犯人の追いつめ方、トリックの暴き方、そしてオチと三拍子揃った良作の部類。若き日のジーナローランズがかっこいいではなくかわいく映ってるのがポイント。どうもグロリアのイメージが……
『5時30分の目撃者』
殺人現場にいた不倫相手にウソの証言をさせるという最初から犯人にとって不利な展開。なのでコロンボも犯人も駆け引きなしで真っ向から勝負するのがおもしろかった。初期の頃に見られたトラップを張って犯人に自供させるパターンのオチも良い。あと「ストッキングをかぶった犯人がタバコなんて吸えるでしょうか?」っていうセリフが出てくるけど、これ古畑で同じようなこと言ってて、古畑が実際に試して吸えることが判明するというシーンがあり、明らかにこの回へのオマージュであることがわかる。
『忘れられたスター』
事件の全貌が見えず、最後の最後ですべてが明らかになったとたん、悲しい結末が……細かい伏線もビッチリ張られた脚本、長回しを多用した演出、すべてがお見事。
「4時02分の銃声」
ゲイに対する偏見があったり携帯電話が普及しはじめたばかりだったりと、トリックや動機も含めていろいろと新鮮。しかし、犯人の追いつめ方がイマイチかなと。それ以外は安定のおもしろさ。コロンボがやたらとボケキャラだった。
『死を呼ぶジグソー』
出ました!エド・マクベイン原作。コロンボかんけーねーじゃんシリーズ!しかし話はなかなかおもしろい。一番怪しいヤツに完璧なアリバイがあって容疑者から外れるんだけど、やっぱりそいつが犯人だったというのはいかがなものかと…
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