君たちがおっさんクサいと言ってるモノは当時若者が熱狂してたモノだ

ホントに最近の話だが、やっとバッファロー・スプリングフィールドのかっこよさが分かって来た。ぼくは一時期、昔のロックに狂っていた時期があって、バイトで稼いだ金をほとんどCDに使うという事をしていた。しかも、ぼくは携帯を不必要だと考えてた人間だったし、17歳くらいだったから免許を取得してもなかったので、車にかかる金もなく、当然彼女なんて居なかったわけなので、デート代に消える事もなく、服に金をかける事も愚の骨頂だと思っていたので、金はCDとDVDと本に消えていた。

ビートルズが好きで、その時はストーンズの良さがいまいち分からなかった。ストーンズにはキャッチーなメロがなかったというのが最大の理由だ。リフが生むグルーヴ感のかっこよさに気づくのは大分後になってからの話で、その時に好んで聞いていたのは、フェイセズビーチ・ボーイズ。日本のロックもそのときくらいに知って、はっぴいえんどに狂ってからバッファロー・スプリングフィールドに行き着いた。バッファロー・スプリングフィールドはウエストコーストロックの代表格だったが、ストーンズの良さも分かってない生っちょろいガキがバッファロー・スプリングフィールドなぞ理解出来るわけもなく、その時は全然良いと思わずに投げ出す始末。パンクやニューウェーブは意味不明だったが、モッズには肩入れしてて、オーシャン・カラー・シーンからスモール・フェイセズを知り、太い高音、しっとりと歌い上げる事もシャウトする事も全てが100点満点の、スティーブ・マリオットはぼくが最も好きなボーカリストの一人となった。

バイトの先輩にスタジオミュージシャンが居た事で、彼からブルースを教えてもらい、その中でスワンプ・ロックの匂いをぷんぷんに放っていたデレク&ザ・ドミノスを知ってからは、もうアメリカ南部のルーツロックに一直線。暗くて、たるいと思っていたザ・バンドの『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』やストーンズの『ベガース・バンケット』はホントにホントにすげぇ名盤だったんだと気づき始める(今ではぼくの中でもマスターピースだ)ちなみに未だにレオン・ラッセルはベストを持ってるだけでオリジナルアルバムは聴いてない。

バッファロー・スプリングフィールドの名前に再び出会うのはそこからさらに数年後。きっかけはマイミクにも居て、この日記にも良く登場する安部兄やんである。

当時、仕事で一緒になった安部兄やんと音楽の話になり、オアシスが好きだという事から、盛り上がって、その時、安部兄やんが好きだったのはドゥービー・ブラザーズだった。そのとき、ぼくは不勉強でドゥービー・ブラザーズの事は知らなかったのだが、ウエストコーストという事で、イーグルスの名前が出て、さらにその後安部兄やんの口から、バッファロー・スプリングフィールドCSN&Yが出て来て、大変驚いた。若いのにねぇ。安部兄やんも基本的には何かが気になったら、調べるタイプの人間だったようだ。

もちろん安部兄やんも「ちょっと理解出来ない分野なんですよねぇ」と言っていたが、それはぼくも同じ事で、「オレもCD持ってるけど、よーわからんのよねぇ」とそん時は言っていたのだが、最近、新しいiMacを買って、HDDの容量が30GBから250GBになってから、家にあるほとんどCDをiTunesにぶち込んだ時に聞いたら、いやぁ、すげぇかっけーじゃんって思った。先ほど挙げたザ・バンドやヴェルヴェットアンダーグラウンドなんかも良さが分かるまで時間がかかったから、やっとそういう年頃になってきたんじゃないかなぁと思う。つっても『アゲイン』しか持ってないけど『Mr.soul』はストーンズっぽさもあるし、はっぴいえんどもカバーした『Bluebird』は当然かっちょいいし、特にジャズっぽい『Everydays』は、クリームと並んで、当時としてはかなり先進的な音だったのかもしれない。

それでも、今思ったのだけれど、こういう音楽を好んで聞いていると、若者から「おっさんクサい」とか、「渋い」とか言われるんだけど、あのさ、こういうロックって当時若者が熱狂してたものですよね?なんで、それを今更若者が聞くと、渋いとか言われるんだろう。あと、こういうのを好きっていうと「生意気だねぇ」っていう人も居るでしょ。ブルースとか、でもロバート・ジョンソンだって、20代ですよ、あれ録ってたの。だから別に18歳くらいでブルースが好きって公言しても問題ないと思う。まぁ、それは関係ない話だが、その時代を反映するとか、時代遅れとか関係なく、若者の心を掴んでいたロックはいつ聞いても、若者が感化されるべきなんだと思うんだがなぁ。あういぇ。

アゲイン<SHM-CD>

アゲイン