転校生 オレのあそこがあいつのアレで
転校生―オレのあそこがあいつのアレで (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 古泉智浩
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/01
- メディア: コミック
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ビートルズを延々かけながら『アドルフに告ぐ』を読む。
妹が、「兄ちゃんさ、『ジンバルロック』買ってたんだね、あれちょーおもしろいね、絵も話も最高!」と言っていた。妹とは確かに好みが一緒なのだが、まさか古泉智浩さんのマンガにハマるとは思わなかった。部屋にあるヤツ全部読むと言ってた。
2日夜
古泉智浩さんの『青春☆金属バット』を読む。一人の女によって人生を、生活を狂わされて行く男の話。二人の間には恋人としての過去がなく(主人公には過去があるのだけれど)、お互いに好き同士なのかもよくわからない。分かるのは、セックスをしていて、互いが互いを必要であるという事だけ。主人公の男は確かに女に生活を狂わされるのだけれど、それをあまり苦に感じてないようにも思える。行動だけを描いて行くという部分でタランティーノの作品を彷彿とさせるのだが(そもそも『ジンバルロック』もそうだった)、『青春☆金属バット』になると、その手法がすごく良く合ってる感じがした。
登場人物が基本的に狂気スレスレのところを行ってるんだけど、やっぱりどこか笑えるし、登場人物達が考えてる事って、どっか自分でも心の奥底で思ってたりする事だから、読んでて、うんうんと頷いてしまうところがあるんだよなぁ。
しかもこの作品には文学的な匂いがする。そもそも女に一生を狂わされるというのはよくある設定なわけで、それが古泉智浩さんというフィルターを通すとこうなるんだろう。「新しい絶望」という短編が素晴らしくて刺さった。あの主人公はぼくだ。ぼくだって一歩間違えば引きこもりにすぐなるような人間なのである。うーん、おもしろいなぁ。映画版も観たい。
あと、古泉智浩さんのマンガに出て来る新潟が好きだ。風景や新潟弁など、新潟の人が読んだらさらに笑えるところがいい。小林まことの『ホワッツ・マイケル』を思い出すんだが、古泉さんって新潟が好きなんだろうなぁ。いや新潟良いところですよ。ホントに。
2日深夜
忌野清志郎の訃報を聞いて、寝れなくなる。
3日朝
古泉智浩さんの『転校生 オレのあそこがあいつのアレで』を読む。元ネタは言わずと知れた大林宣彦監督の名作『転校生』とその原作である『おれがあいつであいつがおれで』主人公の男が通う学校にかつて近所に住んでた幼なじみ女が転校して来て、ある日、二人が階段から転げ落ちてしまって、起き上がると、二人の身体(というか精神)が入れ替わってるというユニークな設定の作品。
古泉智浩さんの『転校生』はこの設定を使い、神社の階段でセックスをしていたら、互いの性器が入れ替わってしまったというなんともらしい作品になっているが、ハッキリ言って、これすげぇ傑作と思う。
古泉智浩さんの『転校生 オレのあそこがあいつのアレで』は男女の精神は入れ替わらないのだけれど、性器が入れ替わる。するとセックスに対するスタンスが当然変わる。男の性器を持つ女は性欲が増して、ところ構わずセックスをするようになり、女の性器を持つ男は、性欲よりも一緒に居る事の喜び、温もりやら、メールや電話による繋がり、愛される事を求めるようになる。セックスのスタンスも変われば、今度は男女の恋愛に対するスタンスも変わって行って、そして、最終的に性格まで変わって行く。これをまったく説明的なセリフを使わず、マンガと言う表現を最大限に使い、限りなくリアルに描いて行く。
だが、これは別に性器が入れ替わらなくてもある事だったりする。ぼくは非常に恋愛に対して女々しく、非常にハートは女子モードなので、電話やメールが無いと不安になったり、「なんで電話しないんだよー」とか泣きついたりするが、前に付き合った彼女は男のように電話やメールがめんどくさいと言ったり、会うのも頻繁じゃなくていいと広言する女の子だった。だから男女が逆転しているカップルというのはよくある事だったりもして、それを性器が入れ替わる事でフィクショナルにした事がおもしろかったんじゃないかと。ちゃんとリアルなセックス描写もあるし。というか、ぼくはすごくこのマンガに共感するんだよなぁ。
こういう突飛な発想の作品の場合、その奇妙な設定の中で物事の本質を捉える事が出来るとすごく共感するし、反映させるメタファーの核となる部分がしっかりしていると、とてもおもしろく飛躍する。だからゾンビ映画というのは、死者が蘇って来る事によって生まれる物事の本質を捉えているからおもしろいのだ。ゾンビが支配する事でもって、世の中に起きている事を反映させてるから、深いしおもしろくなる。同じ古泉さんの『ライフ・イズ・デッド』も同じようにニートやフリーター、介護などの社会的な事を反映させていたからおもしろかったんだけども。
この『転校生 オレのあそこがあいつのアレで』は妹もおもしろいと言ってた。まぁ、女の子は反感買う人も多いかもしれないけど、この間読んだ『クピドの悪戯』といい、『モテキ』といい、童貞魂を感じる作品というのは音楽しかり、映画しかり、いいもんだ。いやぁ、とにかく参った。『転校生 オレのあそこがあいつのアレで』は大傑作です。
3日昼
アメコミの『マウス』を読み始めた。これはコミックじゃない、立派な文学だよ。
3日夜
仕事が終わって、ばあちゃんの家へ、いとことゲームセンターCXのDVD特典ボンバーマンを観る。1時帰宅。
4日朝
これから仕事あういぇ。