パクリ?偶然の産物?「ワイルドだぜぇ〜」の元ネタ……っぽいものを発見

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

ロバート・B・パーカーの『初秋』という作品は、ハードボイルド小説の名作としていまだに読み継がれているが、この作品のあとがきに衝撃的な一文が載っていたので、ここに引用する。

いまから二十年ほど前、「おれ、ハードボイルドだど!」という過激なギャグがはやったことがあります。


ボードビリアンの内藤陳氏がテレビのお笑い番組で連発して、たちまち全国に波及しました。花王石鹸のマークを思わせる内藤氏の長い顔も見事でしたが、それにともなうズッコケの所作もまた秀逸でした。同じお笑い番組でも、あのころのテレビにはまだ文化があったなと、いまにしておもいます。


そして、あれだけの才能の持ち主が、いま日本冒険小説教会の会長として、おもしろ本のおすすめ屋に徹しているのは、ちょっともったいない気がしてなりません。いまのテレビには内藤氏の毒のある笑いを受け入れるだけの余地がないのでしょうか


その後、あとがきにはそのギャグとハードボイルドの関連性について、延々語られているわけだが、この「おれ、ハードボイルドだど!」って………スギちゃんの「ワイルドだぜぇ〜」の元ネタじゃね?

正直、不勉強ながら、この内藤陳という方についてぼくはまったく知識がない。当然ながら、そのギャグがどのような所作で行われたのか知る由もないので、親父に当時の話を聞いてみたら、これが誰も知らないひとはいないくらいの大ヒットギャグであり、テレビがある程度普及してはいたものの、どちらかというと、音声や映像というよりは、芸能雑誌にその文字が踊っていたという印象があるという。さらに大藪春彦の小説がヒットしていたこともあり、ハードボイルドという言葉が一人歩きしはじめ、その波に乗って生まれたギャグとも考えられる。

『初秋』の文庫本が発行されたのが、1988年。その時点で二十年まえくらいということは、1968年ごろのギャグだと言える。スギちゃんが生まれる5年前の話だが、もし、特番かなんかで流行のギャグを振り返るような特集があったとしたら、ものごころついたときにスギちゃんが耳にしていたとしても不思議ではない*1

実際「おれ、ハードボイルドだど!」と口に出してみると耳馴染みもよく、どこでも使えそうなキャッチーさがある。まぁ、ギャグというのは往々にしてそういうものでなければならないのだけれど。

一応、元ネタ発見とタイトルには書いたが、実際スギちゃんのネタは、小道具がすでにシュールであり、路線としてはまるで違う。もし、これが偶然の産物だったとしても、ファッションと一緒でギャグも時代はまわるということなのだ。

スギちゃん 「ワイルドだろ~」 [DVD]

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*1:実際、ぼくが生まれる前のギャグやお笑いだって、その手の特番で知ることはよくある