HAPPYの『HELLO』が大傑作な件。

HAPPYの『HELLO』を聴いた。

正直、人からおすすめされてそのまま借りたので、このバンドがどういうビジュアルで、どういう音楽性で、どういう層に人気があるのかとかまったく知らない状態で聴いたのだが、最初の一音で驚かされ、そのままラストまで飽きることなく、感動しっぱなしで聴いてしまった。

聴き終わってすぐに『ラバーソウル』と『リボルバー』をいっぺんに味わえるようなそんなアルバムだと思ったが、その貸してくれた人によると、本人たちは「このアルバムは何に似てますか?」という質問に対し『サージェント・ペパー』と答えてるらしく、あながち間違いでもないことがわかった。

しかし、作った本人がそう言い切ってしまうのも頷ける傑作だ。むしろ、これは世に放たれた瞬間からクラシックになる名盤だといえる。スーパーカーのデビューに立ち合ったような衝撃、オアシス以降の現代のビートルズといってもいいだろう。古今東西ありとあらゆるロックミュージックを取り込み、それをこれ見よがしに引用しない圧倒的なセンス………マンドゥ・ディアオアークティックモンキーズリバティーンズのファーストのような、いきなり頭一つ抜けたような存在感……しかもそれが新世代で日本から出てきたというのが嬉しい……

ビートルズを基調としながら、ELO、クイーン、ビーチボーイズジェリーフィッシュ、ストーンローゼズ、マイブラ、ハッピーマンデーズを感じさせる楽曲がずらり。特に『ラバーソウル』的なビートルズモータウンアプローチの『Run Run Run』、「Getting Better」やジェリーフィッシュの「Sebrina, Paste And Plato」を彷彿とさせる『Time Will Go On』、「Mr. Blue Sky」をモータウンビートにリアレンジしたような『Lucy』、そのELOの「Twilight」からエレクトロ部分をぶっこ抜いたような『Wake Up』、「Rain」や「She Said She Said」のようなジョン・レノン風の『Cycle Of Life』が気に入った。もちろん捨て曲は一切ない。

いまどのくらいの知名度があるのかは分からないが、音楽のクオリティでいったら原段階でトップクラスの邦楽バンドのひとつといえる。惜しむらくは一曲一曲のミックスにバラつきがあるというか、トータル性がなく、もっと攻撃的でもいいかなと思ったが、セルフプロデュースということで、やりたいことがやりたかったんだろうというのも伝わった。まぁ曲の完成度が高いし、アレンジも凝っている故にそれを壊されたくないという意味での選択だったのだろうが、ぼくは逆に第三者が聴いてどうミックスし、どうアレンジに口出しするのかも見てみたい気がした。

とはいえ、まだ若く、これがファーストアルバムなのだ。今後が楽しみなバンドにようやく出会った気がした。心の底からおすすめしたい。だからこそこうやって記事にしているわけだが………

これ業界人はどういう風に受け入れるんだろう……そのあたりも興味があるな。永井ルイ先生とか気に入りそうではある。

HELLO

HELLO