日本初のシューゲイザーバンド、Paint in Watercolourについて
たまたまフリッパーズ・ギターの『ヘッド博士の世界塔』について検索しているときだった。
渋谷系のディスクガイドとしていろんなアルバムを紹介しているサイトでPaint in Watercolour(ペイント・イン・ウォーターカラー)というバンドを見つけた。
調べてみると、日本初のシューゲイザーバンドと言われていて、その早すぎた音楽性故にアルバムを二枚出して解散したらしいが、なんと彼らは新潟県出身であり、しかも今はなきライブハウス、JUNK BOX mini(現・Golden Pigs)を拠点に活動し、そこから人気に火がついてメジャーデビューしていたということまでわかった。
恥ずかしながら今の今まで存在はおろか、その名前すらまったく知らなかったのだが、日本初のシューゲイザーバンドのわりに、シューゲイザーディスクガイドには掲載されてないどころか、ウィキペディアにも項目はない。
youtubeにいくつか音源があがっているものの、ひとつだけ飛び抜けた再生回数の動画があり、それ以外はどれも2000回いっておらず、当然ながらそれについて書いてるブログやサイトもかなり少ない。発見したときは『少年メリケンサック』を思い出してしまったくらいだ。文字通り、知る人ぞ知る存在のバンドといってもいいかもしれない。
普通に考えれば有象無象に現れては消えていったバンドのひとつということになるんだろうが、彼らについて書いている数少ないサイトでの評価は軒並み高く、同郷でシューゲ好きということもあって、上がってる音源を何気なく聴いてみたのだが驚いた。
これが信じられないくらいかっこいいのである。
ジャケットからも分かるようにマイ・ブラッディ・バレンタインのフォロワーであるが、ファーストアルバムの発売が92年。つまりあの超名盤『ラヴレス』が発売されてからわずか一年後にリリースしたことになる。曲作りや制作期間がどれくらいかは分からないが、東京ならいざ知らず、小さな田舎町に小さいCDショップしかなかった当時、いち早くこれに飛びつき、しかも英語詞で音楽を展開していたことは評価に値する。今でこそルミナス・オレンジ、アソビ・セクス、アミューズメント・パークス・オン・ファイアといったバンドが活躍しているが、彼らに先輩風を吹かせているどころか、同世代でいえばライドやペイル・セインツにも負けてない。むしろそれらのいいとこどりのような感じで、アップテンポな曲も多く、ピクシーズやティーンエイジ・ファンクラブにも似ているような気がする。ポップでメロディアスで音もしっかりしているし、何よりもセンスが良い。
いろんな情報が手軽に得られる時代にここまで謎めいているバンドも珍しいが、Twitterで検索したらメンバーの一人は現在レコード屋を営んでいるらしく、もしかしたら知らない間に遭遇してるかもしれないと勝手にドキドキしていたのであった。興味があれば是非検索して聴いてみていただきたい*1。おすすめ。
*1:動画貼り付けてもいいんだけど、一応やめておく。アルバム丸々一枚あがってるので