こないだ始まった沢尻エリカのドラマがなかなかおもしろかった件
沢尻エリカ8年ぶりの連ドラ主演ということで話題になってるんだかなってないんだかわからないが、その波にのって『ファースト・クラス』第一話を観た。『ノンストップ』の番宣で「おっ、おもしろそうじゃん」と思って観てしまったので、番宣も無駄じゃないんだなというのがわかった。なので、ギャラが低かろうが主演してる人はバラエティ番組でもしっかりとやる気を出して企画に参加し、ゆるく番宣すること。それにしても沢尻エリカが「私は思ったことをすぐに口に出してしまう人なので」と言ってたのは笑った。バナナマン設楽が「よくわかってます」といったのも良い切り返しだったように思う。
話を戻すが、ハッキリいうとドラマとして……というか、ひとつの「作品」としてのクオリティは恐ろしく低い。監督のフィルモグラフィを見てもパッとしなかったが、ホントにドラマ自体もパッとしない。社員として、ひとつの仕事とわりきってドラマを演出しつづけるとこんな風になってしまうのかと思ったくらいだ。
いきなりナレーションで話の根幹――――大オチにあたる部分を言ってしまうのにも驚いたが、作品のテーマを登場人物にしゃべらすのも驚いた。いやいや、普段生活していて、そんなことあなたたちはしゃべりますか?しゃべらないでしょう。
それだけに飽き足らず、堤幸彦ばりのジャンプカットを見せたと思ったら、続いてガイ・リッチーよろしく、フリーズフレームからのスタイリッシュなキャラクター紹介でいきなり“今更かよ”感が漂う。本編はこれがまたアホみたいなステレオタイプの演出の連続であり、そのせいもあってエリカ様の演技も全体的に「演技してますよー」というのがにじみ出ていて、しょうもない/みっともない感じになっているのは残念極まりない。まぁこれは監督がこうしてくれということに従っているので、ある意味ではしっかりと仕事をしているということになるんだろうが……
しかし、このクソみたいな、普段なら速攻でHDDから消去するはずのドラマを最後まで観てしまったのは、その先ほど書いた登場人物がいきなりしゃべってしまう作品のテーマである。いわゆる女子同士の“マウンティング”について。どういうことかというと、女子同士は上辺だけで会話し、その奥には実は強烈な本音が隠されているというところだ。いわゆる格付けしあう女たちではないが、勝手に自分たちのなかで優劣をつけてしまうらしい。ま、これもそのステレオタイプな演出のせいでややかたよってるのかもしれないが、このシーンに関してはうまくいっている。
印象としては逆『セックス・アンド・ザ・シティ』のような、いい歳した女に熱い友情なんてものは存在しないとバッカリ切り捨てているところ。象徴的なのは女子同士の本音が字幕と共に心の声として出てくるシーンでこれには思わず爆笑してしまった。というか、ここだけ観たいがために観てるようなものだ。特にモデルの菜々緒がファッション誌で仕事をしているという設定で、モデル役の佐々木希にやりこめられるというシーンがおもしろかった。さらにそこに沢尻エリカが入り込んでくる――――もちろん役柄上はそれぞれ違うんだけど、現実のことを考えるとよくこういうキャスティングをしたなと思った。しかも意外だが、通過儀礼が根底にあって、シンデレラストーリーをファッション業界に置き換えたような作品であって、そういった意味では脚本はよくできているのかもしれない。
ぶっちゃけそこまでおもしろいのか?と聞かれるとうーんと奥歯に物がはさまってしまうのだが、女子しかほとんどいない職場でやりとりしてる方々におすすめ。というか、どれくらいリアルなのか聞いてみたいくらい。実際はここまでじゃないにしてもだ。