ペット・サウンズやロング・バケーションに匹敵する名盤/サニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』

サニーデイ・サービスの『DANCE TO YOU』を聴いた。

仕事の移動中にiPodをつないで音楽を聴けるという環境になり、小沢健二の『流動体について』や、NGT48の『青春時計』など、久しぶりにCDを定価で店頭で買って聴くということをした。それで火がついたのか、「あ、サニーデイの新しいアルバムまだ聴いてねぇや」と、朝の4時過ぎにホントに思いつきでiTunes storeで購入して聴いた。CDじゃなくてごめんなさい。ホントに思いつきだったもので。てか、リリースほとんど一年前だし……

んで、視聴もせず、何の情報も入れずに聴いたんだけど、これが……マジでぶったまげるほど良くて驚いた。なのでこうしてブログを書いている。

この意見には賛否あるかもしれないが、最初に聴いたとき、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』や大滝詠一の『ロング・バケーション』を彷彿とさせた。共通点は陽光が海に差し込み、キラキラと反射してるような音像であるが、どこか引きこもって聴くのが適してるという感じがあるということだ。陰と陽のバランスがちょうどいいというか、少なくともリア充のための音楽ではないということはいえる。その後、何度も何度も聴いたが、その印象は変わらず、むしろなぜそのような評価がないのか不思議に思ったくらいだった。

アルバム自体はドゥービー・ブラザーズの『ロング・トレイン・ランニング』やウィーザーの『バーント・ジャム』のような、あまり歪ませないギターのカッティングでグルーヴを作るタイプの曲が中心。これにそのグルーヴを邪魔しないソフトなメロディが寄り添うように深く染み込んでいく。ただ、それだけでなく、はっぴいえんど的な『青空オンリー』、ビートルズの『ワイルド・ハニー・パイ』的な『血を流そう』に、ティーンエイジ・ファンクラブを落とし込んだ『パンチドランク・ラブソング』。フィッシュマンズを内包した『冒険』など、ダンサブルな楽曲にはさみこまれるように、ヴァラエティに富んだ珠玉のポップソングが並ぶ。

全9曲にしたことでヘビロテしやすく、メロディよりもトラックに比重がいっているため、BGMとしてもいいという点で優れている。

サニーデイ・サービスの最高傑作は『東京』かセルフタイトルの『サニーデイ・サービス』になるのだろうが、個人的にはそれに匹敵する……むしろそれ以上の思い入れがある作品になった。これがこのご時世にできてしまったという意味でも感動を覚える超大傑作。なぜ発売日にチェックしてアナログ盤もカセットテープ盤も買わなかったのか……サニーデイ・サービスごめんなさい。これから死ぬまで聴きます。まじで定価で買っても問題ないくらいおすすめ。サニーデイ・サービスを知らない人ほど聴いて欲しい。

DANCE TO YOU

DANCE TO YOU