SKE48のCDが売れる理由

こないだSKE48が好きな友人から『パレオはエメラルド』を借りた。

パレオはエメラルド【ジャケットC】

パレオはエメラルド【ジャケットC】

イントロ前にゆったりとしたヴァースのようなものがあり、サビで狂ったように転調したりと、構造的にはAKB48の『ポニーテールとシュシュ』とほぼ同じ。PVの内容やビジュアルイメージも一緒で、本店でとってもおいしいスープが出来たから味噌を入れて味噌ラーメンとして支店で出しちゃえというような潔さを感じる。実際ぼくも好きな曲である。

驚いたのは、この曲が38万枚近くも売り上げているということだ。本店であるAKBが100万枚を越えたというのは握手券などの商売方法やブームも含めて頷ける話であるが、支店であるはずのSKEでさえこの売り上げなのである。「AKBのメンバーはほぼ把握しているけど、SKEのメンバーは片手で数えるくらいしか認識してない」という人も多いだろうが、その中で大ブレイクを果たした『ポニーテールとシュシュ』に迫る売り上げを記録するあたり、その勢いを本当に感じる。

ところがだ、実際にCDを手にしてみると、なぜそれだけの売り上げを記録するのかが少しだけ分かった気がした。もちろん純粋なファンが増えてるということも実感しているが、そもそもSKEのCDはAKBのCDよりも断然にお得なのである。

ぼくが借りたCDは「タイプC」と呼ばれるもので、なんとCDの特典は楽曲のPVと「SKE48の紅白水泳大会」であった。その水泳大会は50分も収録されており、水着による楽曲のパフォーマンスや編集、ナレーションも含めて、かなり本格的な作りで特典のクオリティを遥かに越えている。

なぜこれがお得なのかというと、この水泳大会は「週刊AKB」という番組で放送した水泳大会のていをなぞっており、そのDVDが15800円もするからなのである。

http://akb48-dvdcatalog.com/shukan_sp3/

もちろんその収録内容には圧倒的な差があるが、ダイジェスト版や予告編ではなく、きっちりと作り込んだ番組のようなものが、CDとPVと握手券とセットになっているというのは確かにお得である。「ドーピング」と揶揄されるが、単純にSKEのファンであれば、そんだけいろいろ入っていて1600円ならば買うだろうなぁとも思った。

それに比べ、AKBのCDにはお得感がまるでない。買ってよかったなぁというようなコンテンツとは到底言いがたい、アニメのブルーレイと同じく「間違いなくお金を落すであろうファンから搾り取るだけ搾り取ろう」というような意志すら感じる。

実際『ヘビーローテーション』には総選挙のドキュメンタリーが収録されているが、なんとAタイプ、Bタイプで前編、後編と分かれており、全部観るためには両方買わないといけないという仕組みだ。別ユニットであるNot yetの『波乗りかき氷』に至ってはタイプAにPVが収録され、タイプBにメイキング映像が入り、さらにタイプBにPVは収録されないという両方を買う人がいるという前提で発売されている。彼女たちの最新作『ペラペラペラオ』は特典はそれぞれ1時間半というボリュームであるが、それでもタイプAにはイベントの映像とパジャマでお鍋会というガールズトーク、タイプBにはPVのメイキングと紱光和夫とコロッケの対談、タイプCにはPVの別バージョンと今田耕司土田晃之の対談と振り付け映像とバラバラであり、逆に魅力的なコンテンツを分散させて全部買ってでも見たいというファン心理を絶妙についたものになっている。ちなみに前作とは違いPVはきっちり全部に収録されている。

ライブDVDにしてもそうで、AKBのライブDVDはまずツタヤなどのCDショップには並ばない。劇場か専用サイトでないとまず買えないし*1、値段も平気で30000円くらいする。それに比べるとSKEは3枚組や4枚組でも高くて7800円くらいと、まぁ標準的な値段である。

というわけで、CDが売れないと言われてる時代に、本店と支店で明確に売り方の違いが現れたAKBとSKE。支店の売り上げの勢いにはこういったコストパフォーマンスの良さみたいなものも加味されているのではないかなと思った。あういぇ。

*1:新潟のドンキホーテに売っていたが、あれは全国どこでもそうなのだろうか