なぜNGT48の『青春時計』はへっぽこな“水曜日のカンパネラ”みたいになってしまったのかについての考察

立ち上げ時からローカル番組などである程度追っかけ、お披露目公演やイベントも行った程度には思い入れがあるNGT48がついに『青春時計』でメジャーデビューを果たした。 すでに代表曲としての評価も定まっており、リクエストアワードでも1位をとった『Maxと…

一週間『シン・ゴジラ』漬けだった

ちょうど『破門』を観にいった2月2日が面接の日で無事に転職したのだが、一日最低で13時間、最高で15時間残業なしで働くというブルーカラー男子になってしまったので(休憩もほぼない)、小説など読めるはずもなく『モンハンダブルクロス』も買うには買ったの…

マーケティング重視なキャスティングとは思えない/『破門 ふたりのヤクビョーガミ』

『破門 ふたりのヤクビョーガミ』鑑賞。それにしてもこのクソだっさいタイトルなんとかならんのか…… 原作は個人的に“ナニワのエルロイ”、“ナニワのレナード”と呼んでいる黒川博行の直木賞受賞作。センテンスは短く、セリフはおろか、それ以外も関西弁で書か…

関根彰子はあのとき何をしていたのか?/葉真中顕『絶叫』

葉真中顕という作家の登場は衝撃的だった。正確にいうならば、その登場の“仕方”が衝撃的だったというべきだろう。まず彼はブロガーとしてぼくの前に現われた。彼のブログは立ち上げてから半年もしない内にブレイクし、その名を轟かせていったが、そんな彼の…

ロバート・アルトマンの映画を観てるような楽しさ『デッドプール』

『デッドプール』をBDで鑑賞。 親に虐待されて育ち、トラブルシューターとして日銭を稼いで生活している主人公の元にコールガールが現われて意気投合。ようやく人生に希望の光が差し込んだのもつかの間、なんと彼は末期ガンと診断されてしまう。そんな彼に「…

夫婦を超えた先にあるもの『逃げるは恥だが役に立つ』

TV

14日の土曜日に幼なじみ一家の自宅に行き、子供たちが恋ダンスが好きだということもあって、酒を飲みながら去年話題になったドラマ『逃げるが恥だが役に立つ』を観た。 最初は飲みながらだったのでワーワーキャーキャー言いながら観ていたのだが、子供たちや…

容疑者Xの一族の焦点/レイモンド・チャンドラー『プレイバック』

この年の瀬にインフルエンザにかかった。しかもA型である。自ら望んだことではあるものの、12月22日から1月15日まで休みは元日だけというスケジュールだった。とはいえ、望まなくてもこのようなシフトになったに違いない。なぜならぼく以外の連中も同じだか…

AKBよりもタチが悪い選挙の裏側/黒川博行『喧嘩(すてごろ)』

黒川博行の『喧嘩(すてごろ)』を読んだ。 ハードカバーを新刊で発売日近くに買ったのはチャンドラーの『大いなる眠り』以来のことである。つってもそれ昔の小説じゃん……その前となるとアプトン・シンクレアの『石油』か?それも昔の小説……直木賞を受賞した『…

そして歴史は繰り返される/ジェイムズ・エルロイ『背信の都』

ジェイムズ・エルロイの『背信の都』が県立図書館にあったので、借りてきて読んだ。ありがとう図書館。 10連勤などもあり、読み終わるのに二週間かかったが、もっとじっくり読むことも出来たので、ヘタしたら一ヶ月以上はかかっていたかもしれない。戦争を知…

“ハイテンション”に“愛、かましたい”

お久しぶりです。安田美沙子です。5月から連勤続きと前に書いたが、12月に入ってもそれは変わらず、人材不足ということもあって、忙しくもないのに忙しいという謎の現象が続いている。万城目学の『プリンセス・トヨトミ』に、究極に人がいない中、仕事を辞め…

スマホ/SNS時代に銀行強盗をするということ/伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』

伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』読了。 伊坂幸太郎は東野圭吾や松岡圭祐、古くは村上龍に並んで“いけすかない*1”作家のひとりなのだが*2、この『陽気なギャング』シリーズはかなり好きな本で、一作目は三回再読してる程度にはお気に入りである。知…

ぼくが思うボブ・ディランのすごいところ

仕事を終えた21時半頃になる。スマホの画面を見たら父からメールが届いていることが通知されていた。件名は「ボブ・ディラン」だった。滅多にどころか、片手で数えるくらいしかメールをしたことがない父である。CD貸してくれ程度のことなら帰ってからでもい…

宮部みゆきが誉めた“理由”/朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』、『何者』

これから映画が公開される……からというわけでもないが、朝井リョウの直木賞受賞作『何者』とデビュー作にあたる『桐島、部活やめるってよ』を読んだ。後者は映画版も鑑賞。 ハッキリいうとみんなが大絶賛した映画版『桐島〜』はそこまでハマらず、普通におも…

加藤シゲアキの小説を全部読んだ

お久しぶりです。8月の頭から20連勤→6連勤→13連勤→12連勤→8連勤という地獄を味わっておりました。おかげで何もする気がなく、休憩中もほぼほぼ待機という扱いで本を読むくらいしかやることがなく、そのおかげというか、ちょっとした活字中毒になってしまい本…

意外や意外、ド直球のノワール/黒川博行『後妻業』

前回、黒川博行の直木賞受賞作『破門』と『国境』について書いたのだが、その二作から黒川博行という作家にドップリハマってしまい、その二冊を含むシリーズの『疫病神』、『暗礁』、『螻蛄(けら)』を全部読んだ。これが信じられないほどおもしろく、今まで…

直木賞を受賞した作品としなかった作品/黒川博行『破門』と『国境』

黒川博行の『破門』と『国境』をそれぞれ読んだ。 元々読書量が多くなく、不勉強ながら黒川博行という作家のこともなにひとつ知らなかったが、唯一読書とウォーキングが趣味の親父が「ここ最近読んだ本のなかでダントツにおもしろかった。読んだ方がいい」と…

不倫も描き方によってはド級のミステリーになる『毒島ゆり子のせきらら日記』

TV

新潟では遅れて放送された『毒島ゆり子のせきらら日記』を観た。 前田敦子が主演というだけで見始めたのだが、恋に落ちる相手に新井浩文、親友役に「飲みカワグランプリ」でおなじみの中村静香(ショートが似合わない)、さらに友川カズキ、役者としても活躍す…

“ヒップホップの寓話”『TOKYO TRIBE』

『TOKYO TRIBE』をレンタルDVDで鑑賞。 ウォルター・ヒルが日本で撮った“ヒップホップの寓話”って感じであり、その元々『ストリート・オブ・ファイヤー』が持っていた薄っぺらい部分やダサさも含めておおいに楽しんだ。バトル・ラップ・ミュージカルと銘打っ…

人におすすめされなければ絶対に観てない『超高速!参勤交代』

『超高速!参勤交代』をレンタルDVDで鑑賞。職場の上司と「自分では絶対にレンタルしないけど、人におすすめされて観て、それでいておもしろかったといえる映画を貸す」という遊びをしていて、その人は基本的に映画を観るという行為をあまりする人ではなかっ…

山崎貴の気になる監督とは……『寄生獣 完結編』

『寄生獣 完結編』をレンタルDVDで鑑賞。 『DEATH NOTE』にはじまり、近年、漫画原作の映画は前・後編で二部作になることが多いが、そのなかでもわりと失速せずに前編のいきおいのまま、突っ走ってる部類で、むりやりふたつに分けてる感じがなく、もっといえ…

山崎貴、12年振りの傑作『寄生獣』

『寄生獣』鑑賞。かなり前にテレビで放送されたバージョン。 言わずもがなの超人気漫画の映像化。山崎貴自身原作の大ファンで映像化されるされないの前から自身が所属する特撮会社で勝手にデモ映像を作っており、もし監督できなくてもなんらかの形で関わりた…

演劇のえじき『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』をレンタルDVDで鑑賞。いわゆる後編。いいかげんほとんどの人が観てると思うのでネタバレします。 「うそだろ?」と言われるかもしれないがマジでおもしろかった。しかも観た人全員が怒り狂ったで…

越えろ!『パシリム』の壁を!『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

遅ればせながら『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』をレンタルDVDで鑑賞。いわゆる前編の方。 いきなり言うがおもしろかった。原作は三巻まで読んで飽きてしまったので、すっとんきょうなこと言うかもしれないが、まず、100年前にかつて巨人に襲われた村が、もう…

ダグラス・サークの映画にハズレなし!

以前『天はすべて許し給う』と『心のともしび』については感想を書いたが、急転直下な展開が待ち受ける重厚なメロドラマなので、ダグラス・サークに関してはこの二本でお腹いっぱいになってしまい、他の作品はいいかなーとスルーしていた。ただ、もうひとつ…

アウトレイジ ビヨンドビヨンド『龍三と七人の子分たち』

『龍三と七人の子分たち』をレンタルDVDで鑑賞。 もうさんざ語り尽くされてると思うのでいろいろ割愛するが、すごく興味深い作品だった。主人公はかつてヤクザとしてその界隈では名を馳せたおじいちゃん。息子夫婦、孫と同居しているのだが、息子はヤクザだ…

ジャケは白いが中身は黒く/Negicco『ティー・フォー・スリー』

Negiccoの『ティー・フォー・スリー』を聴いた。 Twitterでお世話になっているイシダドウロ(@Tarumizizou)さんが神戸からわざわざ新潟競馬場でのイベントとサイン会に参加されるということで、もしお会いできるようであればアルバムをお渡ししますよと言われ…

「うぁんちゃんさぁああ」から「あ、あんちゃん……」へ『そして父になる』

是枝監督の作品があまり好きではないことはわりと前から公言しているのだが『海街diary』があまりによかったので、その前に作られた『そして父になる』をDVDで観た。 いろいろすばらしいところはたくさんあるのだが、なんといっても福山雅治に驚いた。福山雅…

なぜテレビで出来て映画で出来ないのか『エイプリルフールズ』

『エイプリルフールズ』を鑑賞。結構前にテレビで放送したヤツ。最近こんなのばっかりだな。 『リーガル・ハイ』の監督、脚本コンビによる劇場作品ということで、かなり期待していたが、あまり良い評判を聞かず結局スルーしてしまった。おかんが「思ったのと…

人は都合のいいように記憶をねじまげる『白ゆき姫殺人事件』

『白ゆき姫殺人事件』を鑑賞。テレビで放送したヤツ。 Twitterでラーメンのレビューを投稿することを日課とする制作会社のディレクターに、元カノから社内でも美人と評判なOLが陰惨な殺され方をしたという内容の電話がかかる。その人の元でたまたま働いてい…

真実とはえてしてそんなものである『ソロモンの偽証』

『ソロモンの偽証 前篇・事件』と『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を鑑賞。前者はテレビ放映で、後者はレンタルBDで観た。 ある学校の一人の生徒が屋上から転落死し、一人の生徒が「これは殺人です」という告発状を出し、そのせいで一人の生徒が疑われた。警察…