2012-01-01から1年間の記事一覧

普遍的なラブストーリー『へんげ』

『へんげ』をレンタルDVDにて鑑賞。 『へんげ』の特典映像として、公開時に同時上映された短編『大拳銃』が収録されているが、まずこれがなかなかよく出来た作品であった。借金で首が回らなくなってしまった工場長に組織の人間から「拳銃を作ってほしい」と…

枯渇しないイマジネーション『プロメテウス』

『プロメテウス』を3Dの吹替版で鑑賞。 一応ティーザーや宣伝では伏せてるみたいだけども、ハッキリいってしまうと『エイリアン』の前日譚であり、セルフリメイク作品。リドリー・スコットといえば『エイリアン』と『ブレードランナー』というエポックメイク…

よりシンプルによりポップにZAZEN BOYS『すとーりーず』

ZAZEN BOYSの『すとーりーず』を聴いた。 毎回毎回ZAZEN BOYSの音楽には驚かされるが、今回も驚かされた。しかもかなり新鮮な驚きであった。なぜかというと、とてもシンプルでポップだったからだ。「ZAZEN BOYS III」あたりからアーバンなエレクトロニック路…

超残虐な西部劇『ホーボー・ウィズ・ショットガン』

『ホーボー・ウィズ・ショットガン』をレンタルDVDで鑑賞。 タランティーノとロドリゲスによる『グラインドハウス』は商業的にイマイチだったかもしれないが、業界ウケがよかったのか、その後、この手のアクション映画が結構作られ、新潟では公開こそされな…

感情を編集でむきだしにする『監督失格』

『監督失格』をレンタルDVDで鑑賞。 当時不倫関係にあったAV女優の林由美香との自転車旅行を*1収めたAV*2を発表した平野勝之監督。なんでもかんでもおもしろいと思えるところは余すところなく撮りなさいと言われたが、肝心なシーンになると尻込みしてカメラ…

『ギンガムチェック』を90分引きのばしてみました『ブラッディ・スクール』

AKBの『ギンガムチェック』のPVを観たときになんてぶっ壊れてる世界観なんだと素直に思った。 ひとことでは説明できないが「グラインドハウス」のフェイク予告編風のPVで、楽曲のイメージは完全無視し、5分半のあいだに、ミニスカポリスのような衣装で銃撃戦…

なぜこの映画で西島秀俊は殴られ続けるのか?『CUT』

『CUT』をレンタルDVDで鑑賞。 映画監督であり、シネフィルでもある秀二は兄の真吾から資金を提供してもらって映画を撮ったり、アート系の映画を観るように拡声器で演説して警察に追われたり、さらに即席の映画館を作り、かつての巨匠たちの作品を自主上映し…

ジェイクとエルウッドは大人になる『ザ・マペッツ』

『ザ・マペッツ』をレンタルDVDで鑑賞。 田舎町でマペットのウォルターと兄弟同然のように何十年も暮らしてきた男が交際10年の恋人と旅行に出かけることになった。そこにウォルターも同行するのだが、子どもの頃に見つづけてきた番組『マペット・ショー』の…

『アンチクライスト』の姉妹編『メランコリア』

『メランコリア』をレンタルDVDで鑑賞。 冒頭、本編のダイジェストを超絶的なイメージの連続で見せる8分間の映像は素晴らしく、監督の前作『アンチクライスト』同様、うっとりしてしまうが、それを過ぎると、映画はある一組の夫婦の結婚式の様子を映しはじめ…

AKBの新曲『ギンガムチェック』のPVの監督の映画を観た

『トルク』をレンタルDVDで鑑賞。 リメイク版の『トータル・リコール』を観た直後に『ブレードランナー』が観たくなり、そのいきおいでメイキングなんかも観てたら、ジョセフ・カーンという監督さんが『ブレードランナー』の魅力について語っていた。そのと…

AKBも嵐もミスチルもゆずもみんなで「どっどっどー」

「SONG TO SOUL」という番組がすごく好きである。 BS-TBS「SONG TO SOUL〜永遠の一曲〜」 誰もが知ってる名曲中の名曲を取り上げるドキュメンタリーであり、その取り上げた一曲だけで50分まるまる放送するという画期的な音楽番組だ。その曲のファンや作り手…

夏休みはまだ終わっちゃいないぜ!『アベンジャーズ』

『アベンジャーズ』鑑賞。いわずとしれたスーパーヒーロー大集合の作品。 ぼくはこの手の映画は好きで率先して観にいくけれども、その反面。心の底からおもしろかったぁ!と思ってスクリーンを出ることはそんなになく、逆にいえば、ある程度のおもしろさを分…

『ブレラン』以降の近未来描写のごった煮『トータル・リコール』

『トータル・リコール』鑑賞。いわずとしれたシュワちゃんの大ヒット作のリメイク。 そもそも原作にあたる『追憶売ります』は平々凡々に暮らしていた普通の男が実は……というありがちなプロットながら、それを「もしかしたら俺は本当の俺ではないのかもしれな…

『悪魔を見た』がお好きな貴方に『哀しき獣』

『哀しき獣』をレンタルDVDで鑑賞。 朝鮮族と呼ばれる人種が集う中国の自治州でタクシードライバーとして生計をたてている男が主人公。彼の妻は韓国に出稼ぎにいっているのだが、送金も連絡も途絶え、妻を韓国にいかす際にかかった費用の返済に首が回らなく…

圧倒的なリアリズムで見せる医療ドラマ『震える舌』

『震える舌』をレンタルDVDにて鑑賞。『あの頃映画 松竹DVDコレクション』の第一弾にして、長らくDVD化が望まれていた作品でもある。今回まんをじしてのHDニューマスターという気合いの入ったパッケージングで登場した。 ある日、泥んこ遊びをしていた女…

ビックリするほどスピルバーグ愛『宇宙人ポール』

『宇宙人ポール』をレンタルDVDにて鑑賞。ツタヤのワンコーナーを占めていたので、まだまだ回転率も高いのだろう。 アメリカに強い憧れを持ち、SF&コミックオタクであるイギリス人のグレアムとクライヴは、コミコンとUFOが目撃されるという場所を訪れるため…

番外編とはいえ水準以上『イップ・マン 誕生』

『イップ・マン 誕生』をレンタルDVDにて鑑賞。 ブルース・リーの師匠として映画ファンからは有名なイップ・マンを主人公にした『イップ・マン 序章』と『イップ・マン 葉問』のエピソードゼロ。まだ道場をかまえる前の若き日のイップ・マンを描いた作品。ド…

人を殺して夢を買え!『ドリーム・ホーム』

『ドリーム・ホーム』をレンタルDVDにて鑑賞。 不動産価格が高騰し続け、マイホームを持つことが夢のまた夢になってしまった2007年香港。香港では殺人事件が起こったマンションの部屋とその隣の部屋が極端に値下がりするため、高級マンションで殺人事件が起…

「伝説」から「神話」へ………『ダークナイト ライジング』

『ダークナイト ライジング』を吹替版で鑑賞。 いわずとしれたノーラン版バットマンの3作目にして、完結編。前作から8年後、デント法なる新たな法が制定され、凶悪犯罪はへり、そのデントを殺害したという無実の罪によってバットマンの活動は鳴りをひそめ、…

「AKB48選抜総選挙 BOMB文学賞」に応募して落選しました

アイドル雑誌「BOMB」で「AKB48選抜総選挙 BOMB文学賞」というのを応募してまして。 君は、何を見たか? 「AKB48選抜総選挙 BOMB文学賞」開催! | BOMB編集部 オフィシャルブログ「BOMBlog ボムログ!」 賞金5万円に目がくらんで応募してみたんですが、も…

写真家と映画監督の違い『へルタースケルター』

『へルタースケルター』鑑賞。 世間的に人気というか、評価が高いであろう、蜷川実花が監督したAKB48の『ヘビーローテーション』のPVをぼくはあまり評価していない。理由は至極単純でアイドルとしての魅力が引き出されてるとは到底思えないからだ。「美味し…

そのパーティーでリア充をぶっとばせ!『PROJECT X』

『PROJECT X』をUK盤BDにて鑑賞。日本公開されたら『プロジェクト X』になるんだろうか。NHKの番組とかぶるから、またクルクルパーな邦題になるかもしれない。 学校内でもイケてない高校生の3人組が、旅行にいくという両親の留守を利用して、パーティーを開…

とかくに人の世は住みにくい『モンスターズクラブ』

『モンスターズクラブ』鑑賞。 雪深い山奥でひとり孤独に爆弾をつくりつづける男がいた。外の世界との接触をさけるように必要最低限のものだけで生活をしているその男。彼は「効率化の進んだシステム社会が、個人の自由を奪っている」という思想の元、システ…

『サマーウォーズ』を観てから二年が経ったのだが……

昨日、日テレで『サマーウォーズ』が放映された。 一般層からもアニメ好きからも映画好きからも認知されている超特大ヒット作である。観客動員数は123万人。結構値がはるDVDやブルーレイも5万枚以上のヒット、さらにテレビで放映されれば13%という数字を記録…

「ブレラン」の“あの”カットが好きなあなたに『崖っぷちの男』

『崖っぷちの男』鑑賞。 ニューヨーク45番街、ルーズベルト・ホテル。男はフロントでの世間話もほどほどにチェックインした。通りに面したながめのいい部屋をとると、着いて早々「こんな時間からはまずいか?」とボーイにシャンパンを頼み、メモ帳に文字を書…

なぜ村上春樹にとって『リトル・シスター』が「愛おしい作品」なのか?

村上春樹が新たに翻訳したチャンドラー三作品を読んだ。ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/09/09メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 38回この商品を含むブ…

“WHITE ASH”というバンドがかっこよすぎる件

ハッピーMusicという番組を毎週楽しみに見ている。この番組は本格的なロックバンドから、西野カナ的な会いたくて震える系の音楽まで、わりとはば広くダイジェストのように紹介していて――――というのは昨日のエントリにも書いたので割愛させていただく。まぁよ…

マキタスポーツがあるバンドのある曲の出現をすでに予言していた件

ハッピーMusicという番組を毎週楽しみに見ている。この番組は本格的なロックバンドから、西野カナ的な会いたくて震える系の音楽まで、わりとはば広くダイジェストのように紹介していて「へー、いまこんなのが売れてるんだぁ」とか「こういうバンドがでてきた…

小野恵令奈の所信表明『えれぴょん』

小野恵令奈のデビューシングル『えれぴょん』を聞いた――――正確にいうとテレビから流れてきたというべきだろうか。 いやぁ、ぶっちゃけナメてました。タイトルが自身の愛称である『えれぴょん』で、さらにアイドル全開のかわいらしい振り付け。あげくのはてに…

1917年の“ア↑コガレ”『きびしい冬』/レーモン・クノー

レーモン・クノーの『きびしい冬』を読んだ。きびしい冬 (レーモン・クノー・コレクション)作者: レーモンクノー,Raymond Queneau,鈴木雅生出版社/メーカー: 水声社発売日: 2012/02メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る『地下鉄…